噂の人に会いました。
遅くなってすみません。
ギックリ腰っていつ治るのでしょう?
それから1週間は何事もなく、授業にも慣れてきて、少しずつクラスメートと会話をするなどして過ごしていた。
私は、火と風と地の属性があるらしい。3つは珍しいみたいだけど、両親も兄も地水火風の4属性を持ってるので、他の3属性持ちの生徒とは逆に、何で3つ?みたいな扱いをされた。
ソフィアとドロシーも3つだったからちょっと嬉しかった。
魔法属性で珍しいのは、もちろん光と闇。お母様は闇を持ってるので、髪の色が同じ私にも闇属性があるのでは?と期待されていたらしい。
闇属性で出来るのは、人の影に潜り込む事と、敵の影を操る、自分の影に敵を攻撃をさせる事。
所謂スパイだ。
今は平和だから需要は無いけれど、200年前は、他国にたくさん送り込んでいたらしい。
今のこの世の中では、闇属性持ってても使い道がないと思うんだけど。影に潜り込まれるなんて気持ち悪いだけだし。
そんな能力無くて良かったです。ごめんなさい、お母様。
ランチの時間にウィリアム殿下に会えた。
「アレッタ。入学おめでとう。元気にしているかい?新入生の歓迎会の準備で忙しくしていて、なかなか会いに来られなかったんだ。悪かったね。」
「ありがとうございます。ウィリアム殿下もお元気そうで安心しましたわ。私たちも先生方のお名前や、学園内の教室の場所を覚えるなど、忙しくしておりました。」
「そうか。今週は王宮に来られるだろう?その時にゆっくり話をしよう。ソフィア嬢、ドロシー嬢、アレッタをよろしく頼むよ。」
ウィリアム殿下はポンポンと私の頭をなでて、生徒会の皆さんと食堂を後にする。色んな所でキャアキャア言われてた。
「はぁ。アレッタ!ウィリアム殿下、相変わらず素敵ね!」
「そうね。学園でお会いするといつもより素敵に見えるわね。」
そこで、ソフィアが不思議そうに聞いてきた。
「アレッタって、小さい頃は殿下の事、ウィル様って呼んでたわよね?今はなぜ呼ばないの?婚約者じゃない。」
「ソフィアだってカルロス殿下って呼ぶじゃない。」
「お友達だけで話す時はチャーリーって呼ぶわよ。」
「え、チャーリーってカルロス殿下の事だったの?」
「「知らなかったの?」」
二人にビックリされてしまった。
カルロスがチャーリーになるって、みんな知ってる事だったの?
違う人と話してるんだと思ってた。恥ずかしい。
「ええと、王宮でのレッスンの時に、殿下の事を愛称で呼んではいけないって言われたから。」
「そうなんだ。アレッタがレッスン行き始めたのって3年前だっけ?10歳ならそう指導されても仕方ないかな。普段の事がポロっと出ちゃいそうだものね。」
「今はいいんじゃないの?分別つくでしょう?」
「うん、それは、そうなんだけど…。」
実は、愛称で呼んで欲しいとは言われていない。婚約者になってからウィリアム殿下と呼び掛けた時に、驚いていたから何となく呼び方の話はしない方がいいと思っている。
「あ、昼休憩終わるわよ。次の教室はどこだったかしら?」
ドロシーが慌てて立ち上がる。廊下を走らないギリギリの早さで移動していると、先生と思われる男性に声を掛けられた。
「失礼。ファーレン家のアレッタ嬢ですか?次の教科の教師には許可を得てますので、少しよろしいですか?」
「はい。ソフィア、ドロシー、また後でね。」
二人と別れ、先生の後を追う。
「申し遅れてしまったね。僕はフレデリック・ウェスト。今年から魔法薬の教師として赴任している。かつては君の母上の部下だった。」
女性のように白い肌と赤い唇、明るい銀髪に大きな不思議な色の瞳の、噂の先生です。
カルロスの愛称を調べてビックリしました。
なぜチャーリーなのか。
読んでくれて嬉しいです。
頑張ります。