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一家団欒

寒くなりましたね。

そろそろ部屋に戻ろうかと、お兄様の部屋の壁掛け時計を見てしまう。お兄様も気がついたようで、今日は終わりにしようかとドアを開けてくれた。


「お兄様、ありがとうございました。では夕食で。」

「今日は疲れただろう?ゆっくり休みなさい。」


部屋に帰る途中、マリーと話す。


「何か、凄く不自然にはぐらかされたと思うのだけれど。」

「そうですね。なぜ、ローランド様に話してしまわれたのですか?殿下に知られたくなかったのでは?」

「そうなんだけど、何か知ってるとしたらお兄様だと思って。それに、顔を見ていたら大丈夫かと思ったのよ。」

「お嬢様にこの話しをして欲しく無さそうですので、殿下に伝わる事は無いかもしれませんけど……。」

「けど、なに?」

「まだ、お話にならない方がよろしかったのかもしれませんね。まだ、お嬢様が言われたのか確実ではありませんから。」


部屋に戻り、クッションを抱きしめてソファーに深く寄りかかって色々な事を考えているうちに眠くなってきた。


私の何が可哀想なのか。

ローランド兄様は何を知っているのだろう。ウィリアム殿下はお元気なのかな。

カルロス殿下とソフィアは巻き込めない、ドロシーとどうやって話そうか。

フレデリック先生とは会えるのかしら?

ああ、マリーに黒髪のクラスメートの話をしていないわ。

今日は凄く疲れたわ。明日は何も悪い事が起きなければ良いのだけれど……。


寝てしまったアレッタに、マリーは毛布をかけて静かに部屋を出ていった。




可哀想と言われたとアレッタに聞いて、内心どうしようかと思った。

アレッタが入学する前に何とかしろとウィリアムにあれだけ言ったのに。

すでに噂になっているとしたら、アレッタの耳に入るのも時間の問題だ。

父が無理矢理に婚約を決めた時、母はひどく反対したが、ウィリアムがアレッタを可愛がっていたから私は反対しなかった。

だが、今の状況では賛成できない。

王族だろうと父だろうと、私はアレッタを守ろう。




夕食の時間だとマリーに起こされ、食堂へ向かう。

明るい茶色髪に緑の瞳の父様、濡れたような艶やかな黒髪に焦げ茶色の瞳のお母様。美男美女だ。

お兄様もまだ婚約者がいないと言うのもあって、女生徒に大変な人気があるらしい。私だけが平凡な姿形なのかも。

Aクラスになった事、ドロシー、ソフィアと同じクラスだった事など話しながら、食事をする。

フレデリック先生の話になった時に、お父様が不機嫌になった。


「引き留めたんだけど、どうしても一年間だけ、学園で教師がしてみたいと言われてね。」

「あなた、一年間位ならいいじゃありませんか。フレデリックは在学中から魔術師団に勤めているのですし。」

「お母様もご存じなの?」


お母様も知ってるなんて、フレデリック先生って凄いなーと思って聞いてみた。


「あら、わたくししばらくはフレデリックと一緒の隊にいたのよ。」

「え。お母様、魔術師団にいらっしゃったの?」


思わずパンを落としてしまった。お母様が魔術師団にいたなんて初めて聞いた。すると、お兄様は誇らしげに話し出す。


「ああ、アレッタは知らなかったのか、帝国の人間は魔力量が多いんだよ。」

「聞いてません。」

「アレッタも、属性テストが楽しみだね。来週だろう?」

「ええ。お父様、どうなさったの?」


帝国や魔術の話になると、お父様はいつもどんどん不機嫌になる。聞いてもいいのだろうか?私は帝国の話を聞いてみたい。黒髪のクラスメートの事も話したい。と思ったのだけれど、


「フレデリックの話だったね。彼は国内一の魔術師だと思うよ。彼には早い内に魔術師団に戻ってもらいたいよ。隣国のカルロス殿下が留学しに来たりと交流は盛んだから、今のところ他国と戦争になるような懸念は無いのだけど、強力な騎士団や魔術師団は抑止力になるからね。」


そこからは、父様の国として危機管理がとか、お仕事の話になってしまった。

やはり、帝国の話はしたくないみたいだ。


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