聞いてはいけなかった。
キリキリ進みたいと思ってます。
「お兄様、ちょっとよろしいですか?」
マリーにお茶の準備を頼んで、私は先にお兄様の部屋へ。
「どうしたんだい?学園で何か?」
「お兄様まで同じ事をおっしゃるのですか?もう3回目です!ちょっとお話したかっただけです。」
「ああ、シェーンとマリーか。それは悪かったね。」
ローランド兄様は、ごめんごめんと笑いながら部屋に招き入れてくれた。
「今日がアレッタの学園生活初日だっただろう?少し心配だったんだよ。多分、母上か父上にも同じように聞かれると思うよ?そんなに怒らずに今日あった事を話してくれないかな?新しい友達は出来たかい?」
「今日はソフィアと、ドロシーと一緒だったわ。これから色んな方とお話ししていこうと思っています。」
学園では勉強だけではなく、子供達なりの社交も学ぶ場になる。大人になった時にも学園での人脈は大切になるだろう。
ちょうどノックが聞こえ、マリーがお茶の準備をしてくれる。
「お兄様、今日はウィリアム殿下が生徒会代表のご挨拶してましたわ。とても素敵でした。最近はお忙しいのかしら?」
「そうだね。入学に関してちょっとやる事があったしね。この後は試験まで特に何もないよ。殿下に会いたいかい?」
「そういう訳ではありませんけど、どうなさっているのかな?と思って。」
面白いものを見るようにお兄様に見つめられて、ちょっと居心地が悪い。
今なら聞いても大丈夫かな。と、姿勢を正した。
「お兄様、私が可哀想と思われるとしたら、原因はなんだと思いますか?」
「えっ。なんだそれは?」
お兄様の顔色が変わる。
「今日、言われたような気がしただけなんですけど、心当たりがありませんか?多分上級生のお姉様方です。」
聞いているうちにどんどん眉をひそめ、眉間にシワがよる。
「それは、アレッタの気のせいだね。可愛らしいって言うのを聞き間違えたのではないかな。はっきり目の前で言われた訳ではないのだろう?」
「それは、そう、ですけど……。」
「では、そんな下らない事は気にするべきではないな。この話は終わりだ。他に何かあったかい?」
この話はしてはいけなかったようだ。確かに、私の立場で迂闊な事は言ってはいけないのは分かる。でも、それにしては不自然だ。これ以上は聞けない以上、話題を変える事にした。
「魔術師団の方が先生になった。と聞きました。カルロス殿下が凄く喜んでいましたが、お兄様はご存じですか?」
「フレデリック先生だね。歴代最高の魔力量と、全ての属性を使いこなせる方だからね。魔術を得意とするカルロス殿下には憧れの方かもしれないね。」
お兄様は、また優しい表情に戻り、フレデリック先生の話を色々してくれた。