学園の噂
遅くてすみません。
スタンフォード学園に入学しました。
広い講堂には、ステンドグラスが飾られ、教会のような厳かさ。
先生方や来賓の長い長い挨拶の後は、生徒会長のお言葉。
四年生のウィリアム殿下だ。
お兄様が生徒会の話をしていたので、多分殿下が会長なのかな?とは思っていたから驚かなかったけど、新入生の女の子だけじゃなく、上級生のお姉様方も騒いでるのは驚いた。
金髪も青い瞳も珍しくはないけれど、殿下の髪はオレンジ色ぽく輝く。整った顔立ちに、優しげな微笑みが女の子が憧れる王子様そのものなのだろう。
生徒会長で、成績も良いのなら、人気があって当然か。
講堂を出てすぐの廊下に、クラス分けが貼ってある。
クラス分けは、入学前実力テストの成績上位から、A、B、C、D、Eとなる。私はAクラスだった。成績いい人が多いクラスになってしまったのかと、ちょっと不安になりつつ友達の名前を探す。
「アレッタ!」
「ドロシー!ソフィア!もしかして同じクラス?」
「そうよ。アレッタは絶対Aだと思って、二人で勉強頑張ったんだから!」
お茶会などで仲良くなった友達が探しに来てくれた。
ドロシーは伯爵家、ソフィアは公爵家の令嬢で、二人とも婚約者がいる。
早速ソフィアの婚約者が現れた。
「ソフィ、アレッタ、ドロシーも、同じクラスで良かったね。でも、私の事を忘れないで欲しいな。」
「カルロス殿下。嫌だわ、忘れるなんてあり得ませんわ。」
ソフィアがそう言うと、カルロス殿下は微笑みながら、ソフィアの手を取り指先にキスをする。
ソフィアの婚約者は、隣国の第二王子。1年間だけ、留学しにきた。
青く光る銀髪に黒い瞳、少し浅黒い肌に彫りの深い顔。
ソフィアはプラチナブロンドに青い瞳、ちょっと気の強そうなキリっとした美少女。あまり似てないけど、ウィリアム殿下の従妹に当たる。
同じ年で、すごく仲の良い美男美女の二人はすごく絵になる。
小説に出てくる王子様とお姫様みたい。
留学も、見聞とかではなく、ソフィアと一緒に居たいだけなんじゃないか?なんて思ってしまう。
本当は二人を見ていると、モヤモヤする事もある。
うまく意志疎通の出来ていない、自分と殿下の事を思い出すからだ。
「カルロス殿下、ごきげんよう。お久しぶりです。」
「カルロス殿下も同じクラスで嬉しいですわ。」
と、ドロシーと二人で挨拶をする。
「やあ、二人とも元気だったかい?色々話したいけど、そろそろ教室に行かないとね。」
カルロス殿下に促され、みんなで歩き始める。
「ほら、あの子じゃありませんの?殿下の。」
「黒い髪の子ですか?普通じゃない。髪の色は珍しいですけど。」
後ろの方から、そんな声が聞こえてくる。
もしかしなくても嫉妬されてる?
ビクビクしながらも、教室に向かうと、最後に
「可哀想にね。」
と、数人で笑うような声が聞こえた。
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