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断罪が始まった。

「アレッタ、今日ここで、そなたとの婚約を破棄させてもらう。」


貴族や王族が通う名門、スタンフォード王立学園の卒業パーティーで、この国の第一王子、ウィリアム殿下の声が突然響く。


オレンジに近い金髪、美しい濃いサファイアの瞳が、腰まである黒髪に緑の目の侯爵令嬢、アレッタ・ファーレンを見つめる。

ウィリアム殿下の傍らには、肩までの薄いブルーの髪に紫色の瞳の少女が涙を浮かべて立っている。


(いよいよ始まるのね。私の断罪が。)





ウィリアム殿下と、ファーレン侯爵家の長男のローランド兄様は幼なじみ。

殿下のお母様が伯爵家からの側室だったのと、1つ下の第二殿下が、お妃様のお子様だった為、貴族たちの間でも第二殿下が王太子になるんだろうと割と自由に家に遊びに来ていた。

3つ年下の私も一緒に遊んでもらっていた。

本当の兄様よりも、カッコ良くて、優しくて大好きだった。

その時間が終わってしまったのは、ファーレン侯爵、私の父様が第一王子を王太子にするため、私をウィリアム殿下の婚約者にした時からだ。殿下12歳、私が9歳だった。

遊びの時間は無くなり、勉強の時間が増えた。私も、厳しい王妃教育が始まってしまい、すれ違いの生活を続けるうち、子供の頃のような関係では無くなっていった。

侯爵家の中でも宰相をしていた我が家は、力のある貴族だったようで、どんどん第一王子派が増え、殿下が15歳の時に正式に王太子となった。


「おめでとうございます。ウィリアム殿下。」

「ああ、ありがとう。アレッタとお茶を飲むのは久しぶりだね。」

王太子になってから週に一度、殿下との時間が設けられるようになった。この日は二人だけのお茶会。

でも、護衛の騎士は二人、侍女も二人いるなかで、前の様に話せる訳もなく、うまく言葉が繋げない。

結局天気の話とか、ローランド兄様の話をして帰るのがいつもの事になってしまっている。

結婚するのに、こんな事でいいんだろうか?と、内心焦っていた。昔はもっと仲良かった。たくさんおもしろい話をした。

私が作ったクッキーを三人で食べたりした。

今は、王宮の料理人が作った物以外は口に出来ないそうだ。


ふと、思い出して自宅の料理長と調理場を借りて作ってみた。そこに、ひょっこり兄様が顔を出す。

「やあ、懐かしいいい香りがすると思ったら、アレッタのクッキーだね。私の分もあるのかな?」

「ローランド兄様!もちろんですわ!ご一緒に紅茶はいかがでしょうか? お母様が薔薇の香りの紅茶を買ってくださったの。」

「ぜひ頂くよ。アレッタはずいぶん令嬢らしくなったから、もうクッキーは食べられないと思っていたよ。」


兄様はニコニコと、本当に嬉しそうに食べてくれる。

「うん、美味しいよ。変わってないね。すごく懐かしい。」

「…殿下にも食べてもらいたかったな。」

お茶を入れながら呟くと、兄様は

「大丈夫だよ。結婚したらたくさん作ってやるといい。寂しいのは今だけだよ。ウィリアムもそう思ってくれているよ。」

と、言ってくれた。

「それに、もうすぐアレッタも学園に入学するじゃないか。いつでも会いに来るといい。生徒会に入る気があるのならぜひ、歓迎するよ。」

私は首を傾げ、ちょっと考えながら

「生徒会は止めておきます。それよりもお友達をたくさん作って、色々な交流がしたいわ!」

「そうか。アレッタは楽しい事が大好きだったね。うん、友達と王都を散策したりするのも楽しいし、サロンでお茶会も出来るよ。アレッタならウィリアムに頼んで、王族が使う部屋も借りられるかもしれないしね。ちょっと他の部屋と違うんだよ。」

「えっ!王族の方専用のお部屋ですか?すごいですね!」


ローランドお兄様となら、尽きないお話しが出来るのに。

もし、ここにウィリアム殿下がいたら、また昔のようにお話し出来るのかしら?

ローランド兄様の学園のお話を聞きながら、ウィリアム殿下の事を考えていた。






拙い文章ですみません。

読んでもらえたら嬉しいです。


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