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新婚中も目がはなせない  作者: 夢遥
22/24

新婚中も目がはなせない

陽向と優馬は学校では生徒と先生だけど、本当は秘密の夫婦。

優馬の元婚約者 葵に優馬との復縁を求められ、ハラハラすることも。

文化祭もいろいろとハプニングがあったけど何とか無事に終わり、受験の追い込みに入る。

そんな中、結婚記念日とクリスマスを迎えることになって…………………!!

「勉強はここまでにして、そろそろ陽向のこと送っていかないとな」


優馬さんに勉強を教えてもらっているうちに、時計の針は9時30分を回っていた。


「いつになったら、優馬さんの所に戻れるのかな……………」


帰る時間だと思うと、寂しい気持ちでいっぱいになる。


「俺もまた、陽向と暮らしたい。でも、入試が終わって合格したら、また一緒に暮らせる。それまでの辛抱だから」


「うん………でも、合格できなかったら?」


不安そうに、優馬さんの服をキュッと掴んだ。


「こらっ、ネガティブにならないの!!陽向なら絶対に合格する」


優馬さんは、あたしを抱き締めながら優しく頭を撫でた。


「優馬さん…………」


「だから、頑張れ!!早くお義父さんにも許可をもらおうな?」


「うん!!」


優馬さんの言葉に元気づけさせられながら、あたしは大きく頷いた。





早く優馬さんの所へ戻れるように、毎日、勉強と格闘しながらお正月を迎えることになる。


「陽向、あけましておめでとう!!」


最初の年に優馬さんが電話をかけてきてくれて、あたしは嬉しくて声が弾む。


「優馬さん、おめでとうございます!!」


「今、勉強中?」


「うん」


「気晴らしに、少し出かけようか?」


「でも、出かけるって言っても……お正月だし、近場だとうちの生徒もいるかも………」


「大丈夫、俺に考えがあるから」


「じゃあ、行こうかな」


優馬さんと出かけられることに、ワクワクしながら答える。


「実は家まで来てるんだ。降りておいで」


「うん!!」


電話を切り、急いで支度をして階段を下りていくと、玄関の所で優馬さんとお母さんが立ち話していた。


「丁度よかった、陽向。優馬さんも今、来たところなのよ」


「今、お義母さんと話してたんだ。お義母さんも一緒に出かけられないか…………」


「えっ!?」



本当は、優馬さんと2人っきりで出かけたかったけど、優馬さんは考えがあるとか言っていたし、お母さんが一緒でも仕方ないか……………………。



「やぁね~、せっかく夫婦水入らずなのに邪魔はするつもりはないわよ?」


顔に気持ちが出てたのか、お母さんはあたしの方へ視線を移す。


「じゃあ、俺が陽向達と一緒に出かけよう」


あたし達の話を訊いていたのか、奥からお父さんが顔を出した。


「お父さん!2人の邪魔になるから………」


お母さんが、あたし達に気を使って言ってくれたものの、お父さんは行く気満々みたいだ。


「優馬君が誘ってるんだから、誰が行ってもいいじゃないか?なぁー、優馬君」


「……………はい」


小さく頷く優馬さんを、あたしは少し寂しそうに見つめた。




あたしはお父さんに連れられた形で、優馬さんの車に乗り込むと出発すること40分。


「まずは、初詣に行こう」


優馬さんに言われて、目的地に到着した神社は、いつも近所の神社に初詣に行っているあたしにとって、始めての場所だった。



近所の神社より、人はそれほど多くないけど、出店がズラっと並んでいて賑わっていた。


「まずは、お参りしてからおみくじを引こう」


お父さんに言われて、あたしと優馬さんはお賽銭箱にお金を入れると手を合わせた。



無事に大学に合格しますように!!それと、末永く優馬さんと幸せな家庭を築けますように!!



お参りが終わると、次におみくじを引こうと場所を移動する。


「陽向、何てお参りした?」


隣で歩いていた優馬さんが訊いてきたので、あたしは少し恥ずかしそうに俯いた。


「合格祈願……………」


さすがに、もう1つの願いは優馬さんと幸せな家庭を築けますようになんて恥ずかしくて言えない。


「ゆ、優馬さんは何てお願いしたの?」


「俺も陽向の合格祈願。あとは……陽向と俺の間に子供ができて幸せな家庭を………」


優馬さんが話している時、少し後ろを歩いていたお父さんが咳払いをすると、厳しい顔で優馬さんを見ていた。


「わかっていると思うが、陽向が卒業するまでは……子供は許さんからな」


あたし達の話を訊いて、お父さんは少し強い口調で言う。


「や、やだなぁ~~、お父さん!!当たり前でしょ?優馬さんだって、そんな事はわかってるよ」


恥ずかしそうに、優馬さんを見たど、真剣な表情でお父さんを見つめていた。


「お父さんの約束は、ちゃんと守ります。陽向さんが夢に向かって叶えて落ち着いてから、俺達の子供のことも考えていくつもりです」


「ん、まあ……わかってるならいいんだが……」


優馬さんの言葉に納得したのか、お父さんはそれ以上、何も言わなかった。



「…………………」


何だ、卒業してすぐってことじゃないんだ……………。あたしが夢を叶えて落ち着くまでってどのくらい?


保育士さんになりたいとは言ったかもしれないけど、もし叶えたとしても、落ち着くまでってどのくらい待てばいいの?



不安になっていると、優馬さんがそっとあたしの手を握り締めた。


「だ、誰かに見られたら………」


あたしは、慌てて手を引っ込めようとした。


「大丈夫、うちの学校生徒はほとんどここの神社には来ないのは調査済みだから。それにまんがいち、誰かに逢ってもお義父さんが一緒だし」



「……………………」


その為に、お父さんを連れてきたのはわかっている。



「さっきの話だけど、お義父さんの前ではああ言ったけど、俺は早く俺達の子供が欲しいと思ってる」


「ーーーーー!!」


優馬さんの言葉に、単純なもので、どんよりとしていた気持ちが、一気にパァっと晴れて嬉しい気持ちになる。


思わず手をギュッと握ると、優馬さんは優しく握り返しくれた。


温かい気持ちになりながら、おみくじを引いた時、


「あれーー?杉浦先生じゃないですか」


声のする方へ視線を向けると、数学の篠崎凌先生と社会の橋本知佳先生が腕を組んで、仲良さそうにこっちに歩いてきた。



ヤバっ!!優馬さんと一緒にいる所がバレたら大変ーーー!!



あたしと優馬さんは繋いでいた手もパッ離すと、引いたおみくじをポケットに入れ、その場所から離れた。


「えっ、あ………篠崎先生と橋本先生」


優馬さんは慌てて、あたしを背中に隠すように先生達と話し始めた。


「まさか、2人がそういう関係だったとは知りませんでした」


一緒に仲良く腕を組んでる先生達を目の前に、優馬さんは驚いた様子だ。


「杉浦先生はうちの学校に去年来たばかりで、知らないでしょうが、私たち一年以上付き合っていて最近、婚約したばかりなんですよ」


照れながら篠崎先生が話しているのが、あたしの耳に聞こえてきた。


「それは、おめでとうございます!!」


優馬さんが2人を祝福した時、橋本先生があたしに気づいたのか声をかけてきた。


「西野さん…………?」


「ーーーーーー!?」


心臓がとび出そうなくらい、ギクッとその場に立ち尽くす。


「ん?西野…………??」


篠崎先生もあたしに気づいて、声をかけてくる。



どどどうしよう……………!?

このまま、振り向いたほうがいいのかな?


優馬さんに助けを求めることもできずに、固まってしまった。


「杉浦先生、まさか西野と2人で初詣に来たんですか………?」


問いただすように、篠崎先生は優馬さんに詰め寄った。


「え、あ………西野とはたまたま逢って今、話をしていただけなので」


「たまたまって…………」


優馬さんの言葉に不信感を持ちながら、篠崎先生は怪訝そうに優馬さんを見つめた。



まずいよ、この状況は…………!!こんな時に、お父さんは何処へ行ったんだろう?



慌てふためいていると、お父さんが破魔矢を手に持ってやって来た。


「お父さん、何処に行ってたの!?」


あたしは、慌ててお父さんの所へむかった。


「何処って、破魔矢を買いに行ってた………」


やっと、あたし達の状況を把握したのか、お父さんは篠崎先生達の方へ近づいていった。


「もしかして、陽向が通ってる先生方ですか?」


お父さんが丁寧な口調で尋ねると、篠崎先生と橋本先生は

戸惑った顔をさせた。


「はい、もしかして、西野さんのお父様でいらっしゃいますか?」


橋本先生に尋ねられて、お父さんは深々とお辞儀をする。


「はい、いつも娘がお世話になっております。それにしても、今日は、よく先生方にお逢いしますな~~」


「本当に」


隣で、お父さんの口裏を合わせながら、優馬さんは苦笑いする。


「杉浦先生、勘違いしてすみません」


篠崎先生は優馬さんに軽く頭を下げた。


「い、いえ…………」


何とか誤魔化せたことに、優馬さんは安心したみたいだ。




篠崎先生達がいなくなった後、お父さんが厳しい表情で優馬さんに視線を向けた。


「優馬君………俺がいたからよかったものの、いなかったらどう説明するつもりだったんだ………!?」


「その為に、お義母さんも一緒にと誘ったんです。でも、代わりにお義父さんがいてくれたので助かりました」


「こうなると、わかっていたってことか………」


「まんがいちのことも、考えてのことだったので……」


「しかし、こんな事が二度とないように頼むよ。もう、学校内では2人に知れ渡っているのだから。今のところ、事は大きくなっていないみたいだが…………」


お父さんは、小さな溜息をついた。


「とにかく、また誰に逢うかわからない。そろそろ、帰るか」


辺りを見渡しながら、お父さんは眉をひそめる。


「わかりました……。じゃあ、俺はトイレに寄ってから行きますので、2人は先に駐車場の方へ行っててもらってもいいですか?」


そう言うと、優馬さんはトイレの方へ歩いていった。



「陽向、先に行っていよう」


お父さんに促されて、あたしは駐車場に向かって歩き出す。



本当は、篠崎先生と橋本先生先生みたいに、腕を組んだりして歩きたかったな…………。



篠崎先生と橋本先生が仲むずましくしていた姿を思い出すと、寂しさが混み上がった。




駐車場では何分も待たないうちに、優馬さんが戻ってきたので、車に乗り込むと家へ直行することに。



家に到着すると、お母さんがおせちを用意して待っていた。


「優馬さん、おせち食べてって~~!!」


お母さんに誘われて、優馬さんは一瞬、嬉しそうな顔をさせたけど、躊躇っている様子もあった。


「お正月だし、遠慮しないで沢山食べてって~~~ね?」


お母さんのおねだりに、優馬さんも負けたのか、ご馳走になっていくことになった。



「あたし、着替えてくるね」


お母さんに声をかけてから、部屋へ行くとジャケットを脱ごうとして、ポケットにおみくじを入れたことを思い出す。


先生に逢ったものだから、無意識のうちにポケットに入れちゃったんだーーー。



ポケットからおみくじを出して、緊張しながら広げてみると、吉の文字が…………。


大吉じゃなかったけど、まあまあの結果だ。


でも、新年早々、篠崎先生と橋本先生に逢ってしまったのは、運が悪いように思えるけど。


小さな溜息を着いた時、ドアをノックする音がして、優馬さんの声が聞こえた。


「陽向、ちょっといいかな?」


「優馬さん!?ちょっと待って今、着替えてるから!!」


あたしは、慌てて着替えると、ドアを開けてあげた。


「どうしたの?」


「うん、陽向に渡したい物があって」


優馬さんは、初詣に行った神社の名前が書いてある小さな紙袋をあたしの手に渡した。


袋の中には、合格祈願の御守りが入っていた。


「ーーーー!!優馬さん、ありがとう」


嬉しくて、思わず優馬さんに抱きついてしまう。


でも、いつの間に買ったんだろう………………………。あっ、そういえば、帰る時にトイレに寄ってくからって、あたしとお父さんは先に駐車場に行かせた時かも知れない。



「この御守りは俺だと思って、陽向、頑張れよ」


「うん!」


あたしは、御守りを抱き締めると優馬さんの頬にキスをした。


「ひ、陽向!?」


「ふふふ………、御守りのお礼だよ」


優馬さんの慌てた顔が可笑しくて、思わず笑ってしまう。


「急に大胆なことするよなーーー、陽向は………」


優馬さんはあたしの肩を抱くと、顔を近づけ唇を重ね

合わせた。


唇の間から入ってくる舌が、あたしの舌を絡ませ、段々と深いキスになっていき、優馬さんの手が腰に触れ、あたしを引き寄せる手に力が入った。


「ん……っ…………」


また、変な声が出ちゃうーーー。


だんだんと熱くなっていく身体に反応してしまう自分に驚きを隠せないでいると、優馬さんはパッと身体を離した。


「ごめん、陽向………これ以上やるとこのままじゃすまなくなりそうだし、先に行ってるから」



まるで何もなかったみたいに、部屋を出て行く優馬さんの後ろ姿を見つめながら、力が抜けてへなへなと座り込む。



びっくりしたーー!!今までよりあんな激しいキスしてくるから、それ以上のこともするのかと思って、ドキドキしちゃった~~~~~!!




まだ、高鳴る鼓動を抑えながら、着替えると下へ降りて行った。


「陽向もここに座りなさい」


お母さんが、優馬さんの隣りに立つと、椅子を引いて手招きした。


優馬さんの隣に座ると、お母さんがおせちをテーブルの上に並べ始めた。


「優馬君、酒で乾杯しよう」


お父さんがお酒の用意を始めたけど、優馬さんは慌ててストップをかける。


「いえ、車なのでお酒は………」


「いいじゃない、お正月なんだし。なんなら、泊まっていったら?」


横からお母さんが口を挟む。


「そう言ってもらえるのは嬉しいですけど、でも、そういう訳には………………」


遠慮がちに言う優馬さんに、意外な言葉がお父さんから飛んできた。


「まぁ、今日は正月だし優馬君、泊まっていきなさい」


あたしは驚いて、お父さんの意外な言葉に驚く。


「じゃあ………そうさせてもらおうかな」


「じゃあ、あとで部屋を片付けておくわね!!」


お母さんは、張り切りながら言ったけど、優馬さんが家に泊まるのは嬉しいけど、センター試験も近いし、勉強やらないといけないのが凄く寂しい……………。



それから、みんなでおせちを食べた後、あたしは先に部屋に戻ることにした。


「陽向、部屋に行く前に先にお風呂に入っちゃってーーー」


お母さんに言われて、お風呂へ直行する。



お父さんと優馬さんはまだ飲んでて、あの調子だとまだまだグイグイいきそうな感じだったし、優馬さんもいつ開放されるかわからない。



お風呂に入って一息つくと、部屋へ戻って勉強再開させた。



勉強に集中始めて、何時間か経ってから、コンコンとドアをノックする音がすると、優馬さんの声が聞こえてきた。


「陽向~~、俺だけどちょっといいかな?」


「ちょっと待って、今開けるから!!」


慌ててドアを開けると、優馬さんが顔を出す。


「ごめん、勉強中に」


「今、休憩しようと思ってたところだったから大丈夫」


「陽向のお義父さん、なかなか解放してくれなくて参った」


お父さんに解放されなくて困ってるかなと思ったけど、意外なと嬉しそう。


「それで、お父さんは、まだ飲んでるの?」


「飲みすぎたのか、ソファーで寝てる」


「ふふふ………、お父さんも優馬さんと飲めて嬉しかったのかも」


今まで、優馬さんのことになると厳しい感じで接してるような気がしたけど、そうでもなかったみたいだ。


安心した顔で優馬さんに視線を向けると突然、肩に寄りかかってきた。


「ゆ、優馬さん??」


優馬さんの身体の重心を感じながら、ドキドキと鼓動が高鳴る。


「少しこのままで居させてくれないかな?緊張が解れて力が抜けて」


どうやら、お父さん相手にずっと緊張していたみたいだ。


「優馬さんも緊張することあるんだ~~~?」


あたしは悪戯っぽく優馬さんに言ったけど、真剣な顔で覗き込まれる。


「俺は陽向のことをこうして抱き締めてキスする時とか、いつも緊張してるけど?」


優馬さんに唇にキスをされて、ほんわりお酒の匂いが漂った。


徐々に深いキスになっていくと、頭がぼーとなってきて酔ってしまいそになる。


「んぅ………優……馬さん」


徐々に甘い声が漏れて、キュッと優馬さんの袖を掴んだ時だった。


「ーーーー!!」


優馬さんはハッとして、慌ててあたしから身体を離した。


「わ、悪い………風呂入ってくる」


「え?あ、うん………………」


コクリと頷いたあたしの頭をポンポンすると、優馬さんは部屋から出て行った。



みんなでおせちを食べる前も、優馬さんとキスしたことを

想い出して、一気に顔が熱くなる。


凄く深いキスをされると、自分の身体じゃないみたいに熱くなる。キス以上のことをされたら、あたしどうなっちゃうんだろう~~~~~!?



「いけないいけない、今は勉強に集中しなくちゃ」


頬をペシペシと叩くと、自分に気合を入れるのだった。
















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