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新婚中も目がはなせない  作者: 夢遥
17/24

新婚中も目がはなせない

陽向と優馬は学校では秘密の夫婦。

陽向のクラスメイトの陽翔だけが知っている。優馬の元婚約者の葵は、2人が結婚していることは知らず、付き合っていると思っているらしくて、2人を別れさせて優馬と寄りを戻そうとしていた。

陽翔と陽向をくっけようとダブルデートを提案したりと、まだまだ、葵の作戦は続いて…………………。

優馬さんを取り戻そうとしたり、あたしを辻君の方に気持ちを向かせる為の灯野先生の作戦は、まだ続いていた。




今日も帰りのホームルーム終わって帰ろうとした時、


「今日の日直の人は誰になるかしら?」


灯野先生が教室に顔を出した。


今日の日直って、あたしだ!!


あたしは、慌てて席を立った。


「今日の日直は西野さん?」


「は……い」


「悪いんだけど、そこにある資料を資料室に戻しておいてくれるかしら?」


そう言って、机の上に置いてあった資料を指をさした。


資料の方へ目をやると、何冊も重ねられていた。


これ、全部?


少し不安になりながら、持ってみると、ずっしりと重く独りでは、ちょっと……という感じだ。


灯野先生、教室に来る時、この資料を全部持ってきたんだよね?


ある意味、凄いんだけど…………。


あたしは、思わず躊躇していると、灯野先生が辻君に声をかけた。


「悪いんだけど辻君、西野さんのこと手伝ってあげてくれる?」


「いいけど」


辻君は、資料を半分あたしの手からパッと受け取る。


「ごめん、あたしの仕事なのに…………」


「いいよ、どうせ暇だし」


2人で肩を並べながら、資料室へ向かう。


「そう言えば、資料室ドアって調子悪いんじゃなかった?」


この前、社会の先生が資料を取りに行って、ドアが開かなくて他の先生に助けてもらっていたことを思い出す。


「資料室のドアは、外からは開くのに何故か、中からは開かないんだったかもな。でも、近いうちに修理の人が来るって訊いたけど?」


「大丈夫かな?」


少し不安になりかけたところで、資料室に辿り着いた。


「ドアを開けておけば、大丈夫だろ?」


辻君に言われて、納得しながら資料室のドアを開けたままにすると、資料を持って辻君と一緒に中へ入った。


辻君に手伝ってもらいながら、資料を戻し終わった時、バタンとドアが閉まる音がした。


「ーーーーーー!?」


慌ててドアの方へ行き、ノブを回したけど開かない。



開かない!?ーーーどうしよう、閉じ込められちゃった!!!



慌てふためいていると、辻君が横から助けに入ってドアを思いっきり開けようとしたけど、やっぱり開かない。


「だ、誰かいませんかーーーー!?」


呼びかけてみたけど、何の応答もない。


窓はあるけど、ここ2階だし高さも結構あるから、窓から脱出できたとしてもただじゃ済まないよね?


どうしようーーーーー!!


あたし達が焦っている頃、灯野先生が資料室から職員室に向かうところだった。


「資料室のドアの修理が遅れててよかったーー。辻君と2人っきりでいたとわかれば、優君だって辻君と西野さんの間に何かあったんじゃないかと疑って、あたしの方に気持ちが戻ってくるはず」


灯野先生がドアを閉めた犯人だったなんて、あたしも辻君も考えもしなかった。





閉じ込められて、何時間過ぎただろう…………。



とっくに、下校時間も過ぎて辺りは静まり返り、薄暗くなった資料室に僅かな月の光が資料室の中を照らしていた。


「……今、何時頃かな?携帯、鞄の中なんだよね……」


肝心の鞄は教室に置いて来てしまった。

それに、資料室の中には時計がない。


「俺も携帯は教室に置きっぱなしだ」


「………先生もみんな帰っちゃったかな…………?」


職員室は1階だし、資料室は用がある時以外は、ほとんど人が通らない。


誰にも気づかれなかったら

どうしようーーーー。



それに、さすがにもうすぐ冬ということもあって、夜になると気温がぐっと下がって、冷え込んでいた。


「ーーっーークシュン!!」


ブルルッと寒気がして、思わず身震いした。


「陽向、大丈夫か?」


辻君が、心配そうに声をかけてくれた。


「う、うん………クシュン!!」


大丈夫だからと言ったもののまた、クシャミが出てしまう。


そんなあたしを見て、辻君は自分が着ていた制服のブレザーをあたしの身体に掛けてくれた。


「えっ、いいよ……………」


慌ててブレザーを返そうとしたけど、辻君は首を横に振るだけで受け取ってくれなかった。


「陽向が風邪ひいたら、俺が困るから」


「で、でも…………」


「いいから、着てろよ。それに、こうしてればもっと温かい……………」


そう言って、辻君は後ろから抱き締めた。


「ーーーーーー!!」


あたしは、驚いて離れようとしたけど、辻君の力は強くビクともしない。


「今だけでいいから……陽向が温まるまでこのままでいていさせて」


優馬さんに悪いと思いながら、辻君の優しさを感じてしまう自分がいた。




そんなあたしを家では、お父さんとお母さんが心配そうに帰りを待っていた。


「陽向、帰るの遅くないか?もう、8時過ぎてるんだぞ」


今日はいつもより早く仕事から帰ってきたお父さんが、心配そうに時計を見た。


「そうですね………いつも、夕ご飯には帰っているのに…………」


お母さんも心配そうに時計を見る。


「まさか、何かあったんじゃないだろうな?そうだ、優馬君に電話をしてみよう!何かわかるかもしれない」


お父さんは急いで、電話をかけた。


「はい」


「優馬君か?」


「あ、お義父さん……珍しいですね、お義父さんから電話をかけてくるなんて」


「俺から電話をかけちゃまずいか?」


「い、いえ、そういうわけじゃ…………」


「そんこと言ってる場合じゃないんだ。それより、陽向はそっちに行ってるかな?」


「いえ、来てませんけど……………陽向さん、まだ帰ってないんですか?」


「いつもなら、とっくに帰ってるはずなのに、まだ帰ってきてないんだ」


「えっ、まだ!?とりあえず、学校に行って陽向さんがいるかどうか確認してきます!!」


「宜しく頼む。何かわかったら連絡してくれ」


「はい」


優馬さんとお父さんが、電話でそんなやり取りをして、その後、優馬さんから携帯に電話がきていたなんて知らずにいた。




「えっ……と、あの………辻君。もう大丈夫だから」


辻君に後ろから抱き締められた状態が何時間経っただろう………。ずっとこのままじゃ、さすがにどうしていいかわからなくなる。



躊躇していると、辻君がゆっくりとあたしから身体を離した。



「お陰で身体が温まってきたし、ありがとう」


ブレザーを返そうとしたけど、辻君は受け取ってくれず、また身体にかけられたしまった。


「また、冷えるといけないから使って」


「でも……………辻君が風邪ひいちゃう」


いくらなんでも、これ以上借りたら申し訳ない。


「じゃあ、風邪ひかないように、陽向が温めてよ」


辻君の冷えきった手が、あたしの頬を包む。


「いや、あの………辻君!?」


あたしは困った顔で、辻君から離れる。


「な、なんだか暗くなってきたし、電気つけよう!!」


さっきまで届いていた月の光も雲に隠れて、資料室の中も薄暗くなっていた。


慌てて話題を変えると、電気のスイッチを探してつけようとした。


「つけないで」


辻君に腕を掴まれ、壁ドンする形で逃げ場をなくしてしまった。


「このままでいいから。それより陽向、早く温めてよ」


辻君に迫られて、さすがに困り果てていると、廊下から足音が近づいてきた。



もしかして、まだ残ってる先生がいたのかも!?



「すみませーん!!ここを開けてくださいーーー!?」


あたしは、辻君から逃げ場をなくしながらも、思いっきり叫んだ。



「陽向!?」


耳に届いてきた声は、優馬さんだった。


「優馬さん!?」


辻君が一緒にいるのも忘れて、つい名前で呼んでしまっていた。


「何処にいるんだ!?」


「資料室!!」


期待を胸に、あたしが場所を教えるとガチャガチャとドアが開く音がして、優馬さんが慌てて入って来た。


「大丈夫…………か!?」


あたしが辻君に壁ドンされている状態に、優馬さんは一瞬眉を寄せる。


「う、うん。大丈夫………」


「ーーーーーー」


陽向は、ああ言ってるけどこの状態で何が大丈夫のか………。


優馬さんの心の声が聞こえてきそうだ。


「いろいろと想像してるだろうけど、まだ何もしてませんから」


意味ありげに言う辻君に、あたしは冷や冷やものだ。


「まだって……や、やだなぁ~。これから何かするみたいじゃない」


「するつもりだったけど」


辻君があっさり言うものだから、優馬さんは辻君からあたしを奪い取るように身体を引き寄せた。


「悪いけど、お前に陽向を触らせるつもりもないし、渡すつもりもないから」


あたしの身体にかけて合ったブレザーを掴むと、辻君に向けて投げた。



「陽向、行こう!!」


優馬さんに肩を抱かれ、資料室を出ようとした。


「そんなに陽向のことが大事なら、不安にさせるなよ」


辻君の言葉に優馬さんは足を止めた。


「どういう意味だ?」


「先生が灯野先生と一緒にいるたび、陽向が不安そうにしてるの知らないだろ」


「………辻君っ」


慌てて止めようとしたけど、話は続いた。


「それに、俺と陽向がくっつけば、灯野先生は杉浦先生が陽向と別れて自分のとこに戻ってくると信じてるし」


「その事は、ハッキリ断ったはずだ」



「灯野先生にちゃんと伝わってないんじゃないのか?じゃなきゃ、俺と陽向に資料を返すように頼んで、閉じ込めるわけがない…………」


「………………………!!」


辻君の言葉に、あたしはハッとさせる。


「まさか、灯野先生がドアを閉めたっていうのか?」


信じられない顔で、優馬さんは辻君の方を振り向いた。


「ドアを全開にして開けたままにしておいたのに、閉まるなんておかしいだろ」


「………いるのも知らずに、他の先生が閉めたって可能性もあるだろ…………いくらなんでも、灯野先生に限って、そこまではしないだろ」


「随分と灯野先生のこと信用してるんだな」


「まあ、昔からそんな意地悪するような人間じゃないし」


それだけ灯野先生との絆が深いんじゃないかと思ったら、嫉妬してしまう自分がいた。


「陽向はどう思う?」


急に辻君に訊かれて、あたしを辻君とくっつけようとしていた灯野先生しか思い当たることしかなく、辻君の話にあたしも頷くしかなかった。


「あたしも、灯野先生がやった確率が高いと思う………」


「陽向……………」


優馬さんは呆然とあたしを見つめた。


「陽向だってそう思ってるのに、それでも灯野先生を疑わないのか?」


「……………とりあえず、本人に確かめてから……話はそれからにしよう」


「はぁ!?なんだよそれーーー」


辻君は掴みかかる勢いで、優馬さんに詰め寄った。


「辻君……とりあえず、灯野先生の話も訊いてみよ?」


辻君を落ち着かせるために、とりあえず優馬さんの言葉に賛成する。


「……………わかった、陽向がそう言うなら」


辻君から力が抜け、なんとかその場は収まった。





翌日、灯野先生に確認するために、あたしと辻君を含め優馬さんに英語準備室へ来るように呼び出された。



「西野さんと辻君も集まって、何かしら話って?」


どうして呼び出されたのかわからないという顔で、灯野先生は首を傾げる。


「昨日、西野と辻に資料を返してくるように仕事を頼んだよね?」


優馬さんに訊かれて、灯野先生はすぐに頷いた。


「急いでやらなきゃならない仕事があったから、代わりに返してきてもらうように2人に頼んだわよ。それがどうかした?」



優馬さんは、昨日の出来事を説明した。


「要するに、あたしが犯人っていいたいのかしら?」



灯野先生は、顔色変えずに眉をひそめた。


「じゃなきゃ、誰がやるんだよ?」


辻君はムッとさせながら、灯野先生を睨みつけた。


「……………そんな……あたしは仕事を頼んだだけで………そんなことやってないわよ」


悲しそうに灯野先生は瞳を潤ませた。



本当にやってないのかな……………?でも、今までのことを考えると嘘をついているとしか思えない。


「灯野先生……お願いだから、本当のこと言ってください」


真剣な眼差しで、灯野先生を見つめた。


「酷いわ……西野さんまで、あたしを疑うなんて………」


「で、でも………………!!」


何か言おうとして、優馬さんに止められてしまった。


「やってないって言うんだから、もういいだろ?むやみに疑うなんてよくないんじゃないかな」


どうして……信じてくれないの?


灯野先生を庇う優馬さんに寂しさを感じてしまう。



「ありがとう。やっぱり、優……杉浦先生だけが味方になってくれるって信じてたわ」


灯野先生は嬉しそうに、優馬さんの腕に触れた。




「行こう、陽向!!」


辻君があたしの腕を掴むと、準備室から出ようとすのを優馬さんが止めた。


「おいっーーー」


ーー信じてあげないで、よく陽向のこと渡さないとか言えるな。だったら、俺がもらう


「ーーーーっ」


辻君が優馬さんにボソッと耳打ちしたことにきづいてはいたけど、話が聞きとれなかった。




教室へ向かいながら、優馬さんに何を言ったのか気になって訊いてみる。



「ねえ、辻君。さっき、杉浦先生になんて言ったの?」


「別に……証拠………そう!証拠があればいいんだなって言ったんだ」


誤魔化すように応える辻君に少し違和感を感じたけど、話を合わせた。


「そうだよね………証拠がないと」


優馬さんに信じてもらえなかったことに、胸の痛みを感じて唇を噛み締めた。


「明日から、聞き取り調査をしよう」


辻君の提案に、あたしは決意した顔で大きく頷いた。




その日の夜、優馬さんから電話があった。


「陽向、今日は本当にごめん!!」


電話口で、優馬さんは謝ってくれているのに、何故か気持ちが晴れない。


「陽向の言ってること、信じてあげないといけないのに……」


「……………………」


「付き合いが長いから、つい灯野先生のことも信じてあげたい気持ちもがあって」


「そ…うだよね……灯野先生の方が優馬さんと一緒にいたのが長いんだもん、あたしより……灯野先生の方を信じるのが当たり前だよ………」


つい、嫉妬して意地悪な言葉が出てしまう。


「そんなことない、俺は陽向のことだって…………」


「もういい………」


優馬さんが無理しているような気がして、あたしは首を振った。


「陽向………………」


「辻君と証拠を探そうってことになって……証拠がみつかるまで無理して信じてもらっても嬉しくない」


「無理にって………どうしてそうなるんだよ?それに、証拠を探すなら俺も手伝うから」


「別に無理して手伝ってくれなくてもいいよ…………ごめんなさい、もう寝るから」


「陽向っ!!」


話の途中で切ろうとした電話口から、優馬さんの焦った声が流れてきた。


「ーーーーーっ」


一方的に電話を切ってしまった後に、言い過ぎたかなと少し落ち込む。



こんなこと今までなかったのに、優馬さんが急に遠く感じた。




翌日から早速、犯人探しを始めることになった。


「俺はクラスの奴にも訊いてみるから」


昼休みと放課後、辻君と手分けして探すことになった。


「じゃあ、あたしは奈留に事情を話して目撃者がいるか他の人に訊いてくれるよう頼んでくるね」


昼休みには、奈留のクラスに行って協力してもらうことにした。


「わかった、訊いてみるね」


事情を話すと奈留は、すぐに良い返事をくれた。


「ありがとう」


「でも、資料室に2人きりだったなんて………陽翔とどうだったのよ!?」


奈留はあたしを廊下の隅に連れてくると、興味津々に訊いてきた。


「どうって………別に何もあるわけないじゃない」


辻君に迫られたことを思い出して、ドキッとさせる。


「な~んだ、何もなかったのか~~」


残念そうに唇を尖らせる奈留に、あたしは思わず苦笑いをした時だった。


「そろそろ授業が始まるぞー、教室に入りなさい」


廊下にいる子達を誘導する優馬さんの声が、耳に入ってきた。


「おーい、そこの2人も教室に入って」


優馬さんはあたし達に気がついて、近寄ってきた。


「次、優馬先生の授業だった!」


奈留は嬉しそうに、微笑んだ。



優馬さんの授業、わかりやすいし生徒に人気があるのは奥さんとしては自慢の旦那様だけど、昨日の電話のこともあってか、あたしはまともに優馬さんの顔が見れないでいた。



「………西野も教室に戻りなさい」


優馬さんに肩をポンと叩かれて、心臓がドキンと跳ねる。


「は………い」


俯きながらコクリと頷くと、奈留に視線を向けた。


「奈留……教室に戻るね……」


切ない気持ちを抑えながら教室へ向かおうとして、一瞬、後ろを振り向いた。


「陽向?」


奈留はキョトンとしながら、こっちを見ていたけど、優馬さんは他の生徒に声をかけられて、もう傍にはいなかった。



少しは気にかけてくれてるのかと思ったけど、優馬さんはそうじゃなかったのかな……………。


余計に切なさが混み上がってきて、涙が出そうになるのを抑えた。































































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