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【完結】新しい我輩、はじめます。  作者: コル
第三章 オアシスの魔女と悪魔四天王の魔女「暴水のアディア」
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5 『大将は悪魔四天王「暴水のアディア」みたいだな』

2019/08/20 事情により、加筆修正及び誤字脱字の修正。

 う~む、言っている事が本当かどうか我輩達では確認できぬからな……。


「人間達の間違いじゃないのか?」


「あんな異形の格好をした人なんているわけないよ! 悪魔の軍団で間違いない!」


 ……あのエリンが真剣になっておるし、どうやら本当のようだな。

だとすると家の明かりでここを襲いに来るかもしれないな、そうなると非常に面倒な事になってしまうぞ。


「その悪魔の軍団はこっちに向かってきておるのか?」


「ん~……ううん、こっちには気が付いてないみたい。あっちの方にまっすぐ進んでいるよ」


 こっちに来ずまっすぐ進んでいるだと? おかしい、距離があるとはいえこんな真っ暗の中かなり目立つ家の明かりに気がつかないんなんて。


「何故ここを襲わないんだ?」


「それは……この結界があるから……だと思いますです」


「うお!? ――なんだフェリシアか、びっくりした……」


 黒いローブを着ているから暗闇に溶け込んでいて、近づいているのに気がつかなかった。


「あ、驚かせてしまって……申し訳ありません……です」


「いっいや、気にせんでくれ」


 今日は驚いてばかりで心臓に悪い日だ。


「で、先ほど言っていた結界というのは、この虫よけの奴か?」


「はい……これはただの虫よけじゃなくて、お母さんが……悪魔にも見えないように手を加えたもの……です」


 なるほど、だから悪魔の我輩には見えなかったのか。

 んん? という事は……。


「あれ? デールってこの結界のせいで家が見えなかったような……」


「そういえば……」


 だよなああああああああ! やっぱりそうなるよなあああああ!! 詮索されると後々面倒な事しかない!!


「わっ我輩の目が虫並みという事だったな! でなんとも情けない話だ! チョッハハハ!! ――いっ今はそんな我輩より……そう! 悪魔の方だ! 悪魔!! 軍団で進んでいるという事はただ事ではないと思うぞ!」


「確かにそうですね。我々も向かってみましょうか?」


「そうじゃな、しかしこんな夜中に行動しなくても……ふぁ~年寄りはもう寝る時間じゃぞ、まったく」


 何とか話の方向を変えることが出来た……我輩の目が虫並みという不名誉を得て……。


「あの……私……」


「フェリシアさんは家から出ないようにしてください」


「あ……はい、わかりましたです」


 我輩も家で待機していたい……。


「後追うにしても火をたけば気づかれますね、エリン先導をお願いします」


「了解! それじゃちゃんとついてきてね~!」


「ほれ、勇者殿行くぞ」


 やっぱり行かねばならぬのか。


「我輩は行くとは一言も言っておらんのだがな……仕方ないか……――えっ!?」


 辺りが急に真っ暗になったぞ!? ――あ、そうか結界を抜けたかせいか。

 ……なるほど、確かに家の明かりはまったく見えないな。


「お~い、デール! 何後ろ振り返って止まっちゃっているのさ~置いてくよ~?」


「こんな暗闇の砂漠に我輩を置いていくなあああ!!」


「こっちこっち~はやく~」


 こっちこっちってエリンは飛んでいるから楽だろうがこっちは砂の上で歩きにくいんだぞ!


「この方角は……マレリス国に向かっているのでしょうか?」


「かもしれんの」


 こんな夜中に城を襲いに行くのだろうか。



「……やはりマレリス国でしたね」


 本当に来ていた……。

 うーむ、派手で悪趣味な神輿に付いている椅子に、これまた派手で悪趣味な装飾品を付けた女悪魔がふんぞり返って座っている。全身は半透明でアナネットと同じくらいの長身、そして足まで届く長い髪……どうやらあの軍団を率いているのは。


「ふむ、大将は悪魔四天王の「暴水(ぼうすい)のアディア」みたいだな」


「悪魔四天王の一人か~なんか体が透き通っているように見えるんだけど」


「アディアは魔ざり者(シェイカー)だ」


魔ざり者(シェイカー)って?」


「魔力の暴走により自分の体が変化してしまった者の事だ。自分自身に固有魔法を常に使っているような状態になってしまうため他の魔法が使えなくなる、アディアの場合は体が水の様に液体になっておる、だから透けているのだ」


「しかし悪魔とはいえいい身体しとるの~出ているとこは出ていて、引っ込んでいるとこは引っ込んでいる! まさに理想のボデー!」


「「さいてー」」


 ……爺さん、アディアの体は液体だからそういった形にしているだけで本来はスライムのように形がないぞ。


「しかし結界石がある限り中には入れないですよね」


 さすがの我輩でも天使が作った結界石は強力すぎて突破するには相当時間がかかるしな……っていとも簡単に城門が破壊されただと!?


「どうして城門が破られたのだ!?」


 結界石が機能していないのか……? どういう事だ!?


「あっあれを見て!」


 アディアの隣に……男の……人間……?


「くそ、ここからだと何を話しているのかわからんな。エリンは聞こえるか?」


「うん、この距離ならよゆ~よゆ~」


「では何を話しているか教えてくれ」


「了解!……ゴホン――『ウフフフ~、さぁどんどん攻めるのよぉ』」


「……別にモノマネしなくてもいい」


 しかも声だけじゃなくわざわざ動きまでしておるし。


「え~だってそのほうがわかりやすいじゃん」


「いいから普通に話せ! 早く」


「む~……わかった~」


 不服そうなその顔をやめんか。


「ウフフフ~、さぁどんどん攻めるのよぉ」


「あの~」


「んん~?」


「約束通り結界石を破壊してまいりました、でへへ、それで報酬の方を……」


「あら~そうだったわねぇ~それじゃぁご褒美をあ・げ・る」


 そうか! 人間に結界石を破壊させたのか!! そうすれば我輩がこんな事にもならずにすんだのに!

 なんで思いつかなかったのか……。


「あっあの男の人がナイフで刺された!」


アディアの武器はナイフだったな、しかも……。


「アグッ! ……え……? ……どう……して……」


「ただのナイフじゃないのわよぉ、わたくしが丹精こめて調合した毒を塗った特別製なのぉ~普通じゃ味わえないから最高のご褒美でしょ~ウフフフ~」


「そん……ガハッ……」


 奴は魔法が使えない、戦い方もナイフを使う方のが一番相性がいい、だがナイフだと急所をさせない限り有利とはいえない、その為ナイフに毒を塗るようにしている。

 まぁ人間から見たら卑怯だとか言いそうだが……そんな甘ったるい事は魔界では生きてはいけぬからな。

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