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【完結】新しい我輩、はじめます。  作者: コル
第二章 悪魔四天王「赤石のフィゲロア」との決戦
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2 『この方はダリル・ボールド』

2019/08/18 事情により、加筆修正及び誤字脱字の修正。

 [旅とは苦難が待つもの]というが王国を出発して同族と戦闘するハメになり、そして半日もたたずにまたしても苦難が襲ってきた……。


「「まずい……」」


 エリンが苦虫を噛みつぶしたように顔を歪めている、たぶん我輩もエリンと同じ顔になっているのは間違いない。

 この甘いようですっぱく、かと思えば塩辛く苦い、何をどうしたらこんな味になるのだろうか。魔界でもこんなスープは食べた事がない。

 そもそもこれはスープでいいのか? スプーンを入れると多少の弾力があるし、すくうとねばぁ~と糸がはる……何故こうなるのだろうか?

 スープならあの城で食べたやつは絶品で人間は全員うまい食べ物を作れる種族と思ったのだが、そこは我らと同じそれぞれ違うという事は十分わかった。


「え? そうですか?」


 作った張本人であるベルトラは不思議そうな顔してこのスープ? のような物を平然と飲んでいる……見ているだけで吐き気が――ウプッ。


「……? 特におかしなとこはないですよ。ちゃんと食べないとダメですよ、ほら二人とも」


 やはりこれはスープだった、こいつは一体どんな舌を持っているのだろうか。

 ええい、それをこっちに押し付けてくるな!


「あ~う~……ハッ! そっそういえばベル! さっきの戦いで気になったことがあったんだけど、聞いていいかな!?」


 あ、こいつさらっと器を置いて話をそらしやがった。


「なんですか?」


「2本の剣があるのにさっきは1本しか使ってなかったよね? ニ刀使いじゃないの?」


「そういえば先ほどの戦闘はショートソードの方しか使っていなかったな」


 チャンス! 我輩もそこは気になったし自然に器も置けれたぞ。


「この剣ですか? どちらも魔剣なのです。2本同時に扱える実力が私にはないため状況に応じて使い分けているんですよ」


 なるほど魔剣だったのか、自分の魔力を消費して剣に効果を与える剣……よく考えたらこの天使の剣も魔剣の部類に入るのではないか?


「じゃあさ、どうして2本持っているの? 使い分けなんてめんどくさいじゃん」


 めんどくさいって……使い分けも大事だろ、戦略の幅も広がるし。


「これはおじい様とお父様の形見なんです」


「こちらがおじい様の魔剣【斬硬刀(ざんこうとう)】です、見た目はショートソードですが魔力をこめればこめるほど刀身が硬くなり切れ味が増します。ただ魔力をこめないとただのなまくら状態ですけどね」


 そんな魔剣が存在したのか!? 我輩の元の体なら凄く強く……いや元の体であの魔剣を持つと魔剣が小さくて見た目がかっこ悪いか。見た目は大事だ、うん。


「そして父様の魔剣【エヴンラル】、一見レイピアのようですが――」


 は? 鞘に対して針みたいなちっこい刀身が出てきたんだが、そんなもんでどう戦えるのだ?


「刀身が小さいですけど無生物系を刀身にすることが出来ます。実際に見せたほうがいいですね、じゃあこの焚き火を見ていてください」


 焚き火に剣の先を突っ込んだがそれがどうなるという――。


「うお!?」

「おお!!」


 ちっこい刀身が火をまとってロングソードみたいな刀身なったぞ!?


「っとこのように属性をもった刀身となります。他にも水や土、空気とかでも出来ますよ。ただ無生物限定、なおかつそこに存在するものでないと無理ですし、相当な魔力が必要なので未熟な私では長くは維持できません。なのでこちらの斬硬刀をメインに使用してます」


 なるほど、自由に属性を変えられるのは強いな。それに比べてこっちときたら。


「あ! デール! 今ベルの魔剣とアブソーヘイズを見比べたでしょ!?」


 チッ鋭い奴め。


「アブソーヘイズの能力は強いよ! デールが使いこなせてないだけだもん!」


「なんだと貴様! 我輩に向かって指を刺すな! それよりこの呪いの剣を使いこなせって言う方が無理あるわ!」


「呪いの剣じゃないもん! アブソーヘイズは天使様が作った神聖な剣なんだよ!」


「そんなの知った事か! もしかしたら悪魔が作ったかもしれぬではないか!? ぐふっ!!」


 エリンの奴また頭で鳩尾に突撃をかましてきやがった……。


「ちょっと2人とも落ちついて下さい!」


 これが落ちついてなどいら――。


「グアアアアアア!」


 れぬ……っなんだ? 下級悪魔がぶっ飛んできたと思ったら鍋に当たってスープを頭からかぶってしまった、あれを頭からとは哀れな。


「ギャアアア! アツツツツ! ナンジャコリャァ!?」


「ギャアアア! 私のスープが!!」


 ベルトラはショックを受けたようでかわいそうだが、ラッキー!

 あれを飲み干すくらいなら多少の空腹の方がまだましだったからな……エリンよガッツポーズをとるにしても少しは密かにやれ。


「たく、やっと追い詰めたわい。……ん?」


 山岳の林から出てきたこのジジイは何者だ?

 白髪に白あごひげ、見た目は初老っぽいが今の我輩より高いな180cmくらいか、そしてあの鍛え抜かれた体……とても普通に生活していたらあんな体にはならんが。


「もしかしてダリル様?」


「ダリル?」


 誰だそれ、ベルトラと知り合いみたいだが。


「おお、やっぱりベルトラじゃったか。久しぶりじゃな、でかくなって……ないのぉ」


「どこ見て言っているんですか!? ――あれ? 2人とも何呆けているんですか?」


「「いや、誰?」」


 やはりベルトラの知り合いみたいだが我輩は知らんし、エリンも知るはずないわな。


「ええーー!? 2人とも本気で言っているんですか!? この方はダリル・ボールド! 先代の国王親衛隊の一人で、私のおじい様【剣豪エドガー】と【豪拳ダリル】の2人で【アルムガムの双豪】と呼ばれていた方ですよ!?」


「おう、よろしくのぉ」


「「はぁよろしく」」


 そう力説されてもな、どう反応すればよいのやら。


「あの……本当に知らないんですか?」


「「知らない」」


「――――――――――――」


 ベルトラの奴が頭抑えて座り込んでしまった……しかし知らんもんは知らんのだからしょうがないではないか。


「アルムガムの双豪を知らぬか、わしらもまだまだだったんじゃな~。ダ~ッハハハハ」


「笑い事じゃありませんよ! この2人がおかしいだけです!」


「おいおい、人を馬鹿にするような言い方をするな。エリンはともかく我輩は完璧な存在なのだぞ?」


「デール、そのケンカ買ってもいいんだよ? アタシの怒らせるととんでもない事に――って無視するな~!」


 この爺さんの素性も気にはなるが……我輩、鍋をかぶったままぶっ倒れている下級悪魔が気になってしょうがない。

 白目をむいて泡吹いているのは吹っ飛ばされた時のダメージなのか、それとも被ったスープのダメージなのかどっちなんだ……? もし後者だとしたら……。


「……」


 よし! 考えないようにしよう、そうしよう!

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