第8話 狂った刃
伏せている俺の横には右にウォセ、左にヴァナルがいる。
ドキドキするなぁ!
とりあえず、両手でそれぞれ撫でる。一撫でするとずりずりと前に這っていく。刈り取るぞ経験値!
10分くらいたった。だいぶ近づいた感じはする。
その時一転、空が暗くなった。空を見ると青空だった空がどんどん曇っていく。閃光が走ったと思うと数本稲妻の柱が周辺を数秒をかけて薙ぎ払った。稲妻が消えると空がさっきの逆回しのように青空になった。
「突撃ィィィィィイイイイイイ!」
後方から号令がかかると俺たちは伏せた状態から飛び出し、ゴブリンたちの横っ腹に突っ込む。周りの人たちはそれぞれ雄たけびを上げている。
当たれば幸いとばかりに展開した狼の爪をぶん回す。気が付くと2,3匹のゴブリンに
囲まれているようだ。手短な一匹に爪を突き刺すと槍を持っているゴブリンにぶん投げる。もろに食らったゴブリンは倒れてウォセに喉笛を裂かれ止めを刺される。ヴァナルが傷を負っていたので傷薬をぶっかける。
「うぉぉぉぉおおおおお!!!」
戟をぶん回しながら左手から突っ込んでいく人がいる。ゴブリンが草を刈られるように死んでいく。
姿かたちはあれだ、三国志の武将みたいだ。隣の漢唐国から来たっぽいな。あそこは中華風だからね。
さあ、人見るばかりじゃなくて走らねば!
「ぐるぅぅぅぅぅぁぁああああああ!!!!」
天高く吠えるとウォセとヴァナルがそばに戻ってきた。前のゴブリンが固まってるところに突っ込む。
爪を振り上げる。
「去ね!!」
「はぁはぁ・・・。」
戦闘中、攻撃察知と格闘が2レベルずつ上がったな。
周りを見渡すと舌を出してうずくまるヴァナルと、同じく舌を出ししんどそうにしながらも周囲を警戒しているウォセがいる。俺と2匹にそれぞれ回復薬を振りかけて傷を治す。乱戦中も何とか回復しながらやってたので回復薬はこれが最後だ。
「ギュルワァァァァアアアアア!!!」
普通のゴブリンは身長が低く体が緑だが、体の大きく赤くなっているゴブリンが森から飛び出してきた。
持ってるのは円形の盾に片手剣。ウォセは盾で吹き飛ばされた。そのまま一直線に俺に突っ込んできて片手剣を振り下ろす。
「グッ!」
反射的に出した右手を肘先5cm切り飛ばされた。さすがに痛みがカットされているらしい。が、、クソ痛い。
≪狂狼の義椀を覚えたよ!≫
〇ぎゅぅぅぅぅぅううう!じゃなくて!反撃せねば!
突き出した左手の爪は盾に塞がれた。そのままシールドチャージされて吹っ飛ぶ。
体力ゲージを見ると残り2割。【出血】の異常がついている。すると、中国風の鎧の人が後ろからゴブリンを突き刺した。
「うおおおおおお!」
突き刺したまま持ち上げて後ろに叩き付ける。
「姉貴、治療しろ!」
中国風の鎧の人は変なゴブリンをけん制しながら中国風の鎧の女性に言った。
「おうよ!あんた腕は!?」
「そっちにある!ウォセ!」
腕が飛ばされた方を指さす。近くにいたウォセが取ってきてくれる。
「君はいい子だね。よし、傷口を合わせてっと。≪我、光によりて縫合す≫ライトスーチャー」
腕が光に包まれる。・・・あれ、くっ付いてない。
「付かないわね・・・。呪いの異常になってない?」
急いで確認する。
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△
Name 酒呑童子 Race 鬼狼族
Job サモナー LV8 【出血状態】
力 ・・・40(+15)
魔力 ・・・10
頑丈さ・・・45(+30)
速さ ・・・35(+15)
器用 ・・・10
振り分けポイント
・・・10
スキル
≪召喚術lv1≫≪スタミナアップlv3≫≪攻撃察知lv3≫≪鑑定lv2≫
装備スキル ※控えスキル移動不可
≪手持ち武器使用不可≫≪狼の爪≫≪咬みつき≫≪格闘lv3≫≪壁走り≫≪四足走行lv3≫
≪狂狼の義椀≫
※≪四足走行lv○○≫のレベルは≪ダッシュlv○○≫と共有されます。
控えスキル
≪剣術lv4≫≪ダッシュlv3≫
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
「なってません」
あれ、なんか増えてる?
「あんたHPどんだけ残ってるの!?」
「2割・・・1割強ってところです」
「回復が先か!≪我、汝を癒さんとす≫ライトヒール」
体が光に包まれると体力が最大まで回復される。しかし、【出血】のせいでじりじり減っていっている。
「大丈夫か!?」
「だめ、縫えない!」
帰ってきた中国風鎧(男)と中国風鎧(女)で処置に対する異常が論議をなっている。それより、装備スキルに新しいのが出てるが・・・?
「≪狂狼の義椀≫・・・?」
つぶやいた途端、中国風鎧(女)が持っていた俺の右手が黒い霧になった。その霧はまっすぐ俺のほうに意志を持ったように飛んできて触れた瞬間、鎧すべてが黒い霧となり俺を包んだ。
『悲しや、恨めしや。我が力の足りなさが。嬉しや、有難や。兄上の情けが。』
TV画面の映像のなかで俺と同じ鎧を着た男が繰り返し歌いながら野道を歩き、会う人を右手に下げた太刀で切り殺している。
歩みを止めた男は振り向くと俺のほうを見た。狂気に支配されているランランとした目の輝きと悲しげな切なげな目を繰り返しながら、その瞳で俺を見ている。1分も見ていない。男は前に向き直り、また歩を進め始めた。
『悲しや、恨めしや。我の力の足りなさが。嬉しや、有難や。兄上の情けが。』
歌が延々と繰り返されるの聞きながら俺は闇に包まれた。
なかなか更新できなくてすいません。
リアルで忙しいのです・・・。