第7話 伏せ!
40匹目の狼を狩ったところで八咫から連絡があった。ちなみにレベルが1つずつアップしていまする。
『酒呑、どこにいる!?』
「今?初めての街の森やけど?どないしたん?」
『突発イベントらしいが、モンスターが街に攻めて来るらしい!さっさと帰ってきてお前も手伝え!』
「お、マジか!すぐ戻る!」
これはうかうかしておれませんな!
「ウォセ!ヴァナル!帰るよ!」
「「うおん!」」
いいお返事だ!いいことにHPはそんなに減ってない。このまま駆けよう!
街の入口にはPCとNPC関係なく集まって人だかりになっている。
「酒呑こっちだ!」
人だかりに近づくと八咫とタマフサが手を振っている。
「まーたお前は犬ばっかり。てか、それ呪い装備やんか。」
「今はしょうがないけど新しいのにしたほうがいいぞ。解呪してくれるとこ紹介したろか?」
「いや、このままでええわ。似合ってるし」
「ふむ」
「ほんでどうすんの?」
「俺らはもうこの国に就職してるからそれなりのアレをアレするけど、お前はアレや、遊撃」
「アレってなんや。まぁ好きに暴れさせてもらいまっさ!」
「まぁ、号令は聞けな?」
「時に、何が攻めてくんの?」
「おまえはそれも知らんのか?」
タマフサの呆れ顔は異常にむかつくと気が付いた。こいつ殴ったろうか?
「小鬼族が来るんだよ。」
「強いの?」
「個体では灰色狼のほうが厄介かな?」
「群れるからめんどいんよ」
「タコ殴りに下手したらなるからね。」
「それは気を付けんといかんな!」
「そやで。って、そろそろ別れよか~。」
「ほなな~」
「酒呑もタマフサも気をつけてな!」
二人に別れを告げて遊撃隊を集めてる人のところに行く。
遊撃の集団で言われたのは簡単、乱戦になったら突っ込め。以上。単純なのはいいことだ。それとドッグタグを渡されてつけておくように言われた。なんでも恩賞をもらえるために倒した敵を記録する魔道具だそうな。そして俺たちは敵方から見えにくいちょうどぶつかり合ったら横から突っ込めるような場所に移動し隠れる。
「お、見えてきたな・・・」
隣に陣取っていた双剣のエルフがつぶやく。表示を見る限りNPCみたいだ。
先頭が300メートルほどになったときにゴブリンの頭上に矢の雨が降った。元がそれなりの数だったのだろう。それだけでは抑えられずに足音と砂埃を上げてゴブリンが走ってくる。
後続には矢の雨が降り続けている。軍の正面とゴブリン軍正面が激突。盾を持つプレーヤーやNPCたちがゴブリン軍の勢いを殺す。そこに後方から槍隊が突きかかる。あちこちで血が飛び散るのが見える。ゴブリンの血は青のようだ。今度は盾と盾の間から接近戦を得意とする者たちが飛び出し切り込んでいく。
軍の奮闘は素晴らしいが残念ながらゴブリンたちは数が多い。後続には尚も矢が降り注ぐ。
「諸君、そろそろだぞ」
指揮官のNPCが準備するように促す。皆剣を抜いたりしている。
「合図は後方に魔術の爆発だ。合図はなしで突っ込め。支持は以上。健闘を祈る」
指揮官はそういうと遊撃隊先頭にするすると匍匐前進していった。