ちゅーとりあるその2だよ by神
舞い降りたメイド。聖シリーズと名乗る喋るチャクラム、ゼンマイの俺。果たして、このメイドは敵か、味方か。
~第五十五話 決戦の幕開け~
『なわけあるか』
「ふざけないでください」
「はい、すいません」
2人?にツッコまれたので、話を戻そう。現在、俺はさっきツッコんだ内の1人のメイドと謎の雰囲気になっている。というか、あの覆面何?
「貴方は何者ですか?」
「・・・・・・」
何者って言われましてもね。ただの通りすがりとかでは、
「ダメです」
ですよね~。
「別に誰であろうと構わないのですが、一応聞いておこうと思いまして」
「青空崎旋斗だ。こっちが答えたんだあんたも名乗りなよ」
「そうですね。でもこれと言った名前はありませんので、どうか[メイドさん]と敬意を持ってお呼びください」
「メイドさん?」
「ええ、メイドさんです。話を戻しますが貴方は此処で何を?」
何を?って言われてもなあ。確かアースウルフとか言うモンスターに追われて来たでいいのか?
「ええ、いいですよ」
「何で、そうほいほい心が読まれるんですかね」
「そういう仕様なんです」
あ、そうですか。
『あ、そういえば』
「どうしたよ」
『確かこの間、似たような奴が来たから仲間じゃない?聞いてよ』
「いや、自分で聞けよ」
『私の声は所有者にしか聞こえないのよ』
「じゃあ何で最初持って無いのに声が聞こえたんだ?」
『それはあんたが選ばれたのよ私に―――と言っても器のほうが、だけど』
「ふ~ん。つまりこれから俺とお前はパートナーなのか」
『そういうことになるわね。不本意ながら。というかさっさと聞きなさいよ』
「いえ、その必要はありません。あれは私以外に王の命で来たものです」
『「っ!?」』
「おいっ!聞こえてんじゃねえか!どういうことだよ!」
『わ、私だってわかんないわよぉ!』
「大丈夫です。私以外には分かりませんよ。これは私の能力です」
「......能力だと?」
「ええ、私には心が読めるのです。それで貴方達の心を読ましてもらいました。ふむ、もう貴方と繋がっていましたか。なら、こうした方が好都合」
1人でブツブツ言うメイドさんの足元にいきなり、紫色の光を放つ魔法陣が俺も入るくらい広がる。
「え、え?ちょっとメイドさん?」
次の瞬間、俺達はこの場から消えた。
■◇■◇■
何秒かのタイムラグがあった後、目の前の景色が変わっていた。場所は何処かの部屋みたいで窓からは、
「おおぉ!」
この部屋はどうやら高い位置にあるらしく街が見渡せる。中世ヨーロッパの町みたいだ。いろんな人が外を歩いている。頭に獣耳をつけてる人に体中に鱗がびっしり付いた奴もいるし、普通の人間もいる。やっぱ、ファンタジーに転生したんだなと実感する。
『これが人の住むところなのね』
「どうした、チャ子?」
『チャ子!?この私が!?聖戦輪の私が!』
「いいあだ名だろ?自信作なんだ」
『これが自信作!?ありえない!ありえないわ!」
「お話中申し訳無いのですが、付いて来てください」
今まで何処にいたのか、いきなり声を掛けてきたメイドさん。
「付いて行くって何処に?」
「国王の元にです」
刻欧?違った。国王?
「ええ、貴方を勇者として迎えるために」
「勇者?」
「ええ、貴方は選ばれました。その聖シリーズが1つ聖戦輪の所有者として」
『そう、そうよ。それが私よ』
何かチャ子が感動してるけどどうでもいい。俺が勇者?
「いや、何で俺なんだ?」
「貴方はまだその聖シリーズの力を知らないのです。ともかく、詳しくは国王からお話があるので私に付いて来てください」
「...分かった」
■◇■◇■
なっがい廊下を歩き、着いたのは、中に鎧を着た騎士が横にズラーと並んでいて、奥には豪華な椅子に座ったTHE王様みたいな人と神官のような人が王様の横に立っている。
「来たか、最後の聖シリーズを手にした者よ」
ちなみに俺は王様の目の前で跪いている。メイドさんは王様の横に並ぶ神官さんと一緒に並んでる。というか覆面について誰もツッコミ無し?
「そなたに頼みたいことがあるのだ。この者に説明を」
王様が手を叩くと、神官の中の1人が前に出てくる。何か見たことがあるし、ちっこいな、悪ガキみたいな顔してやがる。って
「何やってんだガキ神(勝手に命名)!?」
「あはは、ガキ神とは中々個性的なネーミングセンスだね。あと結界張ってあるから誰も疑問に思わないようにしてあるからね、安心して話を聞いてもいいよ」
何てご都合主義。
「じゃあ、何でこんなとこに居るんだよ」
「いやーそろそろ出番が無くなって暇だから最後に出ておこうと思ってね」
「出番?」
「ああ、何でもない、何でもない。ほら他に無いの」
「ああ、そういやお前何であんなとこに放置したんだよ」
危うくモンスターの餌に成りかけたぜ
「失敗しちゃった」
エヘ☆と可愛い子ぶってるが、俺には通用しない。頭を叩こうとすると避けられた。
「何するのさー、こんなに可愛い子を叩こうとするなんて」
「知ってるか、自分で可愛いなんていう奴は大抵可愛く無いんだぜ」
これは俺の経験からして間違いない。えぇーなんて言ってるが無視。
「というか説明してくれるんじゃねえのかよ」
「あ、そうだった、そうだった。えーと簡単に言うとこの大陸は【アーズ大陸】って言って、隣の【ハーフ大陸】と争ってるんだ。それでその戦いを止めるために相手の王―――魔王を倒さないといけないの。で、それを君にやって欲しいんだって」
「欲しいんだってって軽い言い方だな」
魔王討伐か、
「で、どうするの?」
「そりゃ、勿論やるさ」
「おお、やってくれるか!」
「へ?」
気付けば、ガキ神は居なくなり目の前には王様が身を乗り出している。
「皆の者、宴だー!」
何か、大変なことになったと王様に肩を叩かれながら思った。
感想、批評待ってます。




