待ち伏せ
茘枝@九犬十愛 @redlitchi99 11月22日
来季の鷹観戦費用、考えないと。
お正月に、遠路はるばるお金持ってる某身内の顔拝みに行ったら、お年玉くれないかなー?
お望みとあれば、マッサージぐらいは致しますが…とか言うと、アブナイ響きだww
「ちょっと、いいですか」
とっくに日の落ちた午後七時すぎ、夕食を終えてひとり寮から出てきた神前は真横から掛けられた声に飛び上がりそうになった。
「──逢坂?」
声でそうと分かった神前は、壁にもたれて立っていた長身に目をやる。
秋になってから伸ばし気味の髪が、目元を隠すように垂れていて変な色気をまとっていた。
「どうしたわけ、こんな時間に?」
訊いた瞬間に、とてつもなく悪い予感がして、神前は答えを待たずにことばを継ぐ。
「寒いだろ。中、入ってりゃ良かったのに。マフラー居る? あったかいよ」
Vネックのセーターは肩幅が広く厚みもある逢坂の体によく似合っているが、首元が寒そうだと神前は黒いマフラーの片裾をぺらりとあごの下まで持ち上げてみせた。
昼間は晴れてぽかぽかしていたのに、夕方からぐっと気温が下がってきた気がする。
神前の羽織ったフード付きのジャケットは、ファスナーをすべて上げてしまえば首まで隠れるのでマフラーはなくても困らない。
「……お借りしても、いいですか」
「うん! まだ試合終わってないし、おまえに風邪でも引かれたら大変」
するりとほどいたマフラーを、神前は歩み寄って来た逢坂の首に、防寒第一、とばかりにぐるぐると巻きつけてやる。
くすっ、と逢坂が微笑んだ。
「ありがとうございます。あたたかいです」
「おまえさ、いつも、家から自転車で練習場に来てるんだよな? まさか今も?」
「いえ。夜に自転車はやめろと、いろんな人に言われたので」
「そっか。じゃあ、家までいっしょに歩こ。車で送ってってやるから」
用件は聞かない方向でそそくさと歩き出した神前の腕を、ぐっ、と逢坂が引いた。
「俺、直さんに話があって来たんです。どうしても、最終戦より前に、とおもって」
とっさに、神前は逢坂の手をふり払う。
「嫌だっ」
「直さん?」
逢坂が意外そうな顔で神前を見た。
いつもやさしい逢坂に対して、こんな乱暴な反応をしたのは初めてかもしれないと思い当たる。
「嫌だ。聞かない。聞きたくない。──俺が、何とかするから。ここに、羽角も残れるようにする。だから、頼むから、出て行くなんて言わないでくれ……っ!」
逆に、セーターに包まれた両腕を取って懇願した神前を、笑おうとして怒りが勝った、みたいなまなざしがじっと見下ろしてくる。




