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作戦名はKFJ!  作者: 十七夜
第38節 (H)
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GMからのリーク

「クラブハウスのミーティングルームに、ともおもったが。こんな時間に俺たちの車が停まってれば、寮のやつらに集まってることが知れるとおもって、ここに来てもらった」


寮の食堂でなくミーティングルームというだけで、他の選手たちに聞かれてはまずい話なのだと分かる。

その上、集まっていることさえ、悟られたくないらしい。

ごくっ、と神前はつばを呑み込んだ。


「これを見てくれ」


たったさっきプリントアウトされたばかりのB5用紙を、紀藤がテーブルの上に置く。

のぞき込んで見た神前は、それが正比例を表す直線グラフだということだけは理解できたが、何のグラフかは見当もつかなかった。


「何なの、これ?」


ふう、と紀藤がため息を落とす。


「言う前に、約束しといて欲しいんだが、この件は口外しないでくれないか。神前に話すことだけは了解を取ってあるが、それ以上は口止めされているんだ。本来なら、選手に教えていいような話じゃないからな」


まず、江野と橘が顔を見合わせた。

ひとり、あごに手を当てた逢坂が、紀藤を窺う。


「滝田さんに聞いた話、ってことですか?」

「察しがいいな。そう、ふたりには言ってなかったが。あの人と俺は出身大が同じで、サッカー部の先輩後輩にあたる。スポンサーの粉飾決算からこっち、知恵を貸せって言われて、いろいろと情報を提供されていたのは、実は、俺であって神前じゃない。黙っていて悪かった」

「そこはまあ、どっちだっていいけど。それより、俺たち……ていうか具体的に言えば俺にまで、聞かせちゃまずいんじゃないか? こっちふたりは長年、ファルケンで育ってきた言わば身内だから、神前といっしょくたにしたっていいだろうけどさー」


並んで座る江野と逢坂を指さした橘に、紀藤はうなずきを返した。


「……たしかに、少しは考えました。でも、ここまでいっしょに話をしてきたんですから、この件も話すべきだとおもって。神前以外に話してしまえば、俺の犯す罪は同じですよ」


弱々しい笑みに、神前は悪い予感がいや増した。

グラフを読み解こうと、目をこらす。


「──この、横軸の数字は、勝ち点ですか」


ぽつ、と江野が言った。

六〇を起点に、五刻みで数字が見える。

唯一の例外は、九二。


「九二は、現在の勝ち点のはず」

「そのとおりだ。九二はうちの今の勝ち点。でも、それだけじゃないだろ?」

「あ。勝ち点九二は、今季の目標!」


神前のことばに、紀藤が視線を返した。


「正確には、監督が掲げた目標、だよな」




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