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作戦名はKFJ!  作者: 十七夜
第34節 (H)
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隠語と検索避け

「よく分かんないけど。ひとに飲ましてからじゃないと自分は飲まない、的なルール?」

「──うーん。よく分かんねーが、説明読んだ限りじゃ、グラスを空けるたびにひとに一気飲みを要求するルール、みたいだぞ。そりゃそうだよな。グラス渡したら、すぐ空けてもらわねーと自分に戻って来ないし。これ、お猪口レベルならともかく、グラスでやるところがさすが高知って感じか」

「そういやしてたかも、一気。焼酎を、グラスでだよ? しかも、ストレートのやつを、すんごいうっれしそーに飲むんだよ。かわいいけど、酒に強くないと、あいつといっしょに飲むのは無理!」

「へえー。羽角って、あんな佳麗な見てくれで酒飲みなのか、意外。見てみたかったな」

「橘さんって、そんな強いんでしたっけ?」

「焼酎一気飲みできるほどじゃねーけど。五人居れば羽角が十杯飲んだってこっちは二杯ずつだろ。逢坂が差しで飲めるなら、俺たちは眺めてるだけで済むしさ」

「いや、そういうもんでもないみたいですよ。返杯って仲良くなるためにやるみたいなんで、少なくとも一杯はつき合わされるんじゃ」


納得したように、神前がうなずく。


「そっか。それで、羽角と逢坂ってあんなに仲良くなっちゃったんだ?」

「いっしょに酒飲んで仲良くなるってところが、あれで男らしい羽角っぽいよな。ネット見てると、あのふたりがどこそこでデートしてたって目撃情報がけっこうあるぞ、最近」

「えっ……デートしてんの、あのふたり?」


一瞬、個室に妙な沈黙が流れたところで、どこか韓国語なまりの店員がカルビだらけの大皿を運んできた。

ごく、とのどを潤してから、紀藤がため息をつく。


「誤解を招くような言い方をして悪かった。目撃した人間がデートだと解釈してるってだけで、当人たちにそのつもりは毛頭ないものとおもわれる」

「というか、ネットのどこら辺にそんな話題があるんですか。この二ヶ月くらい、たまに検索かけたりしてますが、羽角たちのことがとくに話題にのぼっている様子は、どこにも見受けられないんですけど」


皿から網の上へと肉を移動させながら、江野がどうでも良さそうな口調で言った。

その横顔をしげしげと見てから、紀藤は、ばしん、と玉虫色のシャツ越しに肩を叩く。


「ちょっと、肉が落っこちる」

「あはははは。おまえって、ほんっと……」

「──ほんと、何です?」


笑うだけで答えず、紀藤はにらむ江野の右肩をなだめるようにくり返し叩いた。


「そうかそうか、二ヶ月も、ひとりで効果のほどを心配してくれちゃってたわけだな」

「逢坂はともかく、羽角には頼んで協力してもらってる責任ってものがあるでしょう」

「観客、ちゃんと増えただろ。練見だって、前よりずっと多いし。公式サイトのカウンターだけでも、毎日どのくらいの人間が見てるかくらいは分かるぞ。羽角たちの話題は、おまえが検索で拾うのは無理だ。女帝といっしょで基本、隠語だし。本当に盛り上がってる場所には検索避けがかかってるからな」


それで何であんたは拾うことが出来てるんだ、と問いたげな顔をしたものの、江野は、そうですか、としか口にはしない。




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