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作戦名はKFJ!  作者: 十七夜
第27話 (A)
27/97

デパ地下・洋菓子売り場

  茘枝@九犬十愛 @redlitchi99 8月10日

 聞いてないし聞く気もないけど、ネトラジが原因で『鷹のハス受はじめました』なリアル系サイトが増殖してるらしい。

 あのイケメン、ドラマCDをおもわせる攻声って、どんなwww





「な、なんか視線がイタイ。どうしよう、羽角」


左横を歩くベージュのTシャツをむんずと掴んだ神前に、羽角はまるで季節はずれの白梅がぽっ、と咲くがごとく、微笑んでみせた。


「簡単です。──今すぐ帰れ、逢坂!」


ふり向くなり一変した表情も、逢坂はどこ吹く風といった様子で笑って受け流す。


「蓮。俺のことも、名前で呼ぶ約束だろう」

「そんな約束、しちょらんき。せめて三メートルくらい離れて歩け、オレたちから」


急に立ち止まって言い争いを始めた背の高いふたりは、よけいに人目を引く。

しかも場所が、見渡すかぎり八割か九割は女性ばかりという、デパート地下の洋菓子売り場だから、なおさらだ。

神前は、うつむきがちに羽角の腕を引いた。


「やめよう、羽角。道の真ん中で止まったら、もっと目立つ」

「だから、逢坂は置いて来ようって言ったじゃないですか。デパ地下に逢坂なんて、浮きまくるに決まってるのに」

「だって。生まれも育ちも市内なのに、デパートに買い物なんて行ったことないかも、とか言うし」


ぼちぼち前進している間も、追い越して行く人、すれ違う人、必ずと言っていいほど逢坂の顔を見上げていく。

時折、ファルケンの、という囁きが聞こえるのは、知名度が上がったという点では喜ばしいことのはずなのに、街を歩くという点では意外にやっかいだな、と神前はおもわずにいられない。

当の逢坂が、微笑んで会釈なんかを返している辺り、神前とは器が違うとしか言いようがなかったが。


「それに、逢坂って個人主義っていうか。マコといっしょで、誘ってもあんまり乗ってきてくれないから、貴重だとおもって」


もしかしたら、羽角が居るからいっしょに来たのだろうか。

ちらりと逢坂の顔をふり返れば、にっこりと微笑まれ、それからぐっと腕を掴まれる。


「直さん、よそ見してるとあぶないです。人とぶつかりますよ」

「あ、うん。ありがと」

「蓮も、どうしてこんなふうに素直に返せないんだろうな。すぐ、ウザイとか怒ってさ」

「頭撫でられて怒らん方がどうかしちゅうき。そういうことは女の子にし、や、が、れ!」

「はいはい。そう言うから、名前で呼ぶことで許してやったのに」

「許すの意味が分からんき……」

「ラジオの収録中は、しおらしく呼んでおいてさ。おかげで俺ばっかりしゃべる羽目になっただろ。ゲスト、ほんとはおまえひとりのはずだったのに」

「おまえ、馴れちゅうくせに文句言うな」


ローカルFM局のファルケン情報番組は、月に一度、トークゲストに選手や監督が呼ばれることが慣例となっている。

内、三回に一回は逢坂が出演しているのは、声がラジオ映えするというだけでなく、落ちついた受け答えにも定評があるからだ。

いっしょに出て、と言われた神前は、ほとんど反射的に羽角の懇願を逢坂へとたらい回した。


「いや、ほんと、ありがと逢坂。最近、取材だ何だっておまえずーっと忙しいのに、せっかく空いてた日までよけいな仕事させちゃって、ごめんな。気疲れとか、してない?」

「大丈夫です。直さんに心配してもらったら、吹っ飛びました」


にっこり微笑む逢坂から視線を引き剥がすように、羽角が神前の腕を引っぱる。




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