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あなた様方は常人ではないようですが、きっと帝の勅命により酒呑童子を退治にきたものとお見受けいたします。我ら4人が道案内をいたしましょう」
「けれどその前に、あなた様の腕前を確かめさせてはいただけませぬか?剣だけではなく、鬼をも倒すことが出来る、その『才』を」
老人は言う
「私と囲碁で」
山伏は言う
「私と小弓で」
老いた僧は言う
「私と投扇で」
若い僧は言う
「私と薫物で」
「あなた様の腕前を確かめさせてはいただけませぬか?」
「……」
「これさ、やらないといけないの?」
隣で至極まっとうな意見をいう奴がいるが、それを言えばこの物語が成り立たない。
頭をかきながらうなずくと、同じように短く溜息がついた。
「まぁ、いいや。じゃ、そいつと囲碁で」
年功序列や敬語を一切無視して選んだのは囲碁。
昔から現代までそのルールも変わらず、この中では一番ポピュラーな盤上ゲームではあるが、それもある程度ルールを知っていなければ石を動かす事すら満足に出来ない。
19×19盤の中に広がる世界は無限にも近く、数千年の歴史でも同じ対局は2つとないとされている囲碁は、その手の変化実に10の360乗。
その奥深さからもはやゲームと呼ぶには抵抗がある位、頭脳戦が展開される盤上遊戯を、ただ名前が知っているからという程度で選ぶことはないだろうが、それでもなんてことない風に言い放たれた言葉に相手が不快の表情を表したのは気になった。
「おい、大丈夫だろうな」
気を遣ったつもりだったが、それは逆効果だった。
「は?誰に言ってんの」
馬鹿じゃないの?そう語尾に言葉が付きそうな程、顎をあげて答える姿は不遜以外の何物でもないが、そこまで言うならばそれなりの経験はあるのだろう。
(黙ってるか…)
どうせ何か言えば生意気なことしか言わない。




