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素敵にウィッシュボーン  作者: CoconaKid
第一章 来た!恋の予感
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 遠くでホストマザーが受け答えしている声が聞こえてくる。

 その後、途絶えたと思ったら、ドアをノックされた。

 その瞬間、ドキッとして、ドアを開けたらホストマザーがニヤニヤしながら「テレフォン♪」と知らせてくれた。

 誰からだろうと思いつつ、心当たりがあるだけに、やはりドキドキするものはドキドキした。

 だから「ハロー」なんて気取った声で受話器に向かって話したら、優しい男の人の声が返ってきたときは超絶にドキドキマックス。

「(覚えてるかな。今日会ったマシューだよ。あれからずっと君のことばかり考えてしまって、忘れられなかった)」

 不思議なんだけど、その時英語でも脳内ではっきりと意味を成して伝わってくる。

 心臓が早鐘を打って、打って、打ち捲くってる。

 ポーっとしては、その雰囲気に飲み込まれていって、よく考えたら彼よりもこの状況に興味を持っていたかもしれない。

 なんか始まってしまった。

 ボクシングの試合じゃないけど、ゴングの音がカン!ってなった。

 ファイト! オー!

 気合だけは入っても、何を言っていいのか分からず、聞き取れても実際声にならない。

「ミー、トゥ」

 『私も』って言っていいのやら、声が震えた。

「(明日、また会えないかな。また君に会いたいんだ)」

 何この早い展開は。

 ドキドキと心臓がポップコーンのように弾けた。

 なんか痛いわ、違う意味で。

「(一緒にランチでもどうかな?)」

 もうデートのお誘いですか。

 心構えもないままに、状況だけが早く進む。

 憧れていたシチュエーション。

 しかも相手は金髪にブルーの目。

 そこまで頼んだ覚えはないんだけど、ウィッシュボーンの効き目に驚いた。

 これはアメリカンマジック。

 七面鳥さん、あなたは偉い。

 沢山の人に身を提供しながら、骨になっても人々に夢を与えるなんて。

 そんなこと考えてるときではないのだが、誘われたら断る理由もないし、それよりもついていきたいなんて思うんだから、自分ダメだわ。

 そこで便利に摩り替えてみる。

 英語の勉強になるぞ、なんて。

「(誘ってくれてありがとう。もちろん行きます)」

 なんて平常心を装って言ってみたものの、実際、えらいこっちゃ!! とはっきり言ってもう怖かった。

 だけどお互い言葉を交換する約束しているからと、これは割り切るしか、いやいや、本心は嬉しいくせに、なんか一丁前に戸惑ってみたり。

 しかし、なんだか分からないままに、とにかく次の日会う約束をしたことだけが、頭の中でぐるぐるしてしまう。

 電話を切った後は、ホストマザーが突っ込みたそうに、ニヤニヤしてくるし、普通に語学交換で勉強だからと言ってみても信じてもらえない。

「(彼、かっこいいの?)」

 なんて聞かれたら「YES!」っていうしかなかった。

 実際、あんな凛々しいハンサムが、いくら日本語勉強しているからといって、私に来るもんだろうか。

 私、実はまだ20歳になっても男の人と付き合った経験ありません。

 恋してもずっと片思いの一方通行ばっかりで、一人で思いを胸に秘めてるだけで、外にさらけ出したことなんてありません。

 だから、こういうシチュエーションって、漫画の中だけだと思っていた。

 いきなりこんな展開になって、足が地につかないってこのことなんだとフラフラしてしまった。

 でも、この時はこれで満足って感じだった。

 まずはお友達から。

 とにかく難関は明日のランチ。

 男の人と二人で食事するって、考えられないレベル。

 あんなかっこいい人の前で物を食べるなんて、もし、歯にこびりついたらどうするの。

 もし、食べてるところが不恰好に思われたどうするの。

 ここまでくると、楽しみから怖さに変わってしまって、ひぇ~と逃げたくなってしまった。

 恋することに慣れてないものには、かっこいい男の人と二人っきりに過ごすなんてとても辛いんです、恥ずかしいんです、こけそうなんです。

 初めてのデートがアメリカンってやっぱりハードル高すぎて、飛ぶ前にもうハードルが足に当たって痛そうと想像できるほど、すごく恐縮してしまう。

 それなら断ればよかったのに、それもできなかったのは、やはりどこかでこれが恋の予感と感じていたから。

 だから私はすごく頑張ろうって必死に飛ぼうとしていた。

 そして、次の日の朝、恐ろしいほどすんなりと起きれた。

 毎日5時起きで眠く辛い瞬間なのに──。

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