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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

______

作者:

 少女は美しい娘だった。









【絞】








 瞳孔は黒曜石の様に濡れて光り、陶磁器の様な肌は青白く血管を透かした。

 腰ほどまでに伸びた黒髪は、絹を梳いたように流れている。髪が流れ落ちる度、しゃらり、と音が聞こえる様だった。



 その白く細長い頸に両手をかけ、やんわりと力を込めた。濡れた瞳は驚いたようにこちらを見上げ、口唇が柔く開く。


 私は目を細めながら、小さく息を吐いた。まだ暖かい。まだ暖かいのだ。指先が重なってしまうほどに細い少女の頸は、飛沫の拍動とともに、まだ暖かかった。



 更に力を込めると、唇の隙間から音のない声とともに空気が漏れた。美しい形の眉が歪む。零れそうなほど涙を湛えた少女の瞳は、私のことをじぃっと見ていた。


「はっ…ふふ、」


 思わず声が漏れる。その潤んだ瞳を抉り出したい衝動に駆られた。酷く興奮した私の手には、更に力が入る。爪がめり込み、じわりと血が滲んだ。



 少しずつ少女の潤んだ瞳が濁っていく。それに映し出された自分の顔が、やけに快さそうでなんだか可笑しい。唇は乾燥し、その端からは僅かに雫が覗いていた。舐めたい。舌なめずりをして興奮を抑えた。








 暫くすると産毛立った頬を伝い、一筋の涙が私の手を濡らした。

 少女の瞳はもうなにも映さない。頸に手をかけたまま、雫の軌跡を辿ってべろりと舐めた。まだ暖かい。




 まだ暖かかった。

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