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異界と竜の逆ハーもの  作者: 夢山 暮葉
第六章・忌まわしき遺産
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補足

世界設定についての補足です。


 多重レイヤー構造宇宙について


 惑星アルシードの存在する宇宙は、我々の地球が存在するそれとは全く別のものである。

 我々の宇宙は素粒子によって構成されているが、アルシードの宇宙は『レイヤー』と呼ばれる概念と『境界線』によって成り立っているのだ。

 元素と呼ばれる概念は存在するが、それの意味する所は地球とは全く違っている。原子や分子、万有引力等といったものは存在せず、全ては境界線によって形を成し、その境界線はレイヤーの上に引かれているのだ。

 境界線が無ければ、全てのものは何にもならない。例えば物質だとしたら、様々なモノがドロドロに混ぜ合わさったよく分からないナニカに成り果ててしまう。レイヤーさえも失ったら、最早存在を保つ事は出来ない。


 物質を司るレイヤー、“意志”を司るレイヤーなど、レイヤーにも様々な種類が存在しており、現在人類が把握出来ているのは、全体の0.1%にも満たないとされる。惑星アルシードは、その膨大な層の内36枚のレイヤーを使って構成されている。

 現在の人類の科学力でまともに観測出来ているのは、その内ほんの十数種類程。他は存在が確認出来ている程度であり、一体何を司るレイヤーなのかも分かっていない。ちなみに、竜族はもっと多くのレイヤーを観測し、そして操る事が出来ているとされている。



 レイヤーの種類


 Sレイヤー

 物質を司るレイヤー。肉体や様々な物体等、形状を問わず物質であるものはこのレイヤーの上に存在している。数有るレイヤーの中でも、最も研究が進んでいる。


 Fレイヤー

 現象などを司るレイヤー。『風が吹く』『紙が燃える』『人が死ぬ』等と言った現象そのものが、このレイヤーに属する。多くのレイヤーと関わり合う事が出来る。


 Wレイヤー

 俗にいう『魂』『意識』等のレイヤー。基本的に目に見えないものなので、いまいち不人気。スピリチュアルな感じ。

 人間や動物は勿論、Fレイヤーに属する現象や、植物や石等といった存在にも有るものだが、『レベル』が違いすぎるため、基本対話し合う事は出来ない。


 Nレイヤー

 『魔力』を司るレイヤー。扱う技術は『魔法』という形で発展しているが、科学的見地からの研究は一部を除き殆ど進んでいない。“晶臓”の本体はこのレイヤー上に存在するとされている。


 Rレイヤー

 『生命力』を司るレイヤー。存在と役割が明らかになっているが、これに干渉する方法はあまり分かっていない。エルフ等が使う強力な治癒魔法は、これにエネルギーを供給するもの。


 Bレイヤー

 通常、人間は使用しないレイヤー。惑星意志等といった巨大な群体意識が、互いの同一性を保つ為の『つながり』の様なものを司るレイヤーである。


 Jレイヤー

 時空間を構成するとされるレイヤー。これに干渉する技術自体は、限定的ながらもエルフたちが持っているものの、一体どういった物なのか、というのはやっぱりよく分かっていない。


 レイヤーX-4

 『レイヤーX』というのは、『有る』という事以外一切分かっていないレイヤーの総称。4番目のこれは、“異触”に関連しているのではないか、という説がある。



 レイヤーの相互干渉


 基本的に別レイヤー同士は衝突し合わないが、種類によっては干渉し合う場合も有る。

 例えばW・S・Fレイヤー。Wレイヤーが「自分の手を挙げる」と念じれば、Sレイヤーに属する手がその通りに挙げられる。同時に、「手を挙げる」という現象が発生し、Fレイヤーにも作用するのだ。

 逆に、Sレイヤーに肉体が傷つけられれば、Wレイヤーの意識は「痛い」と感じ、Fレイヤーで「傷つく」という現象が発生する。

 このように、別レイヤー同士でも、密接に干渉しあう事が有るのだ。


 基本的に不可視であるNレイヤーを操る『魔法』は、この相互干渉を利用した技術である。

 Sレイヤーで道具を使ったり呪文を唱えたり動作をしたりして、Fレイヤーに現象を生み出し、Wレイヤーで意志をしっかりと持つ。この三つのレイヤーからNレイヤーに働きかけ、そこからFレイヤーへ出力させ目的の現象を起こす、これが『魔法』である。

 しかし、Nレイヤーと他のレイヤーの架け橋であり、同時に魔力を溜める器官でもある“晶臓”が無い場合、Nレイヤーへの入力がまず出来ないため、魔法を使う事が出来ない。


挿絵(By みてみん)



 エルフ、及び竜族のレイヤー特性


 エルフのレイヤー構造は、通常のアルシード人とそう変わらないが、一つだけ特筆すべき点が有る。Nレイヤーと他のレイヤーが、通常より強く結びついている事だ。

 彼らのNレイヤーは、主に自身の精神に強く感応して動くので、肉体とほぼ同等に操作する事が出来る。故に、魔法を使う際、わざわざ他のレイヤーからNレイヤーへと入力する工程をほぼ丸々端折る事が出来るので、彼らは人間より強力な魔法を使う事が出来るのだ。


 竜族のレイヤー構造は、未だ深い謎に包まれている。未知のレイヤーをいくつも持っている事は確実だが、それがどのような物なのか、全く分かっていないのだ。

 だが、それらによって、彼らは天候を操ったり、時空を思うままにしたり、運命をも掌握してしまうとんでもない力を持っているのだ。その事は、ほぼ確定している。



 レイヤー構造宇宙と“異客”


 異世界ともなれば、別の法則で成り立っている宇宙も存在する。我々の素粒子で成り立つ宇宙もそうであるし、もしかしたらもっと別の法則だって有るのかもしれない。

 “異触”は、そういった世界とも発生する。もちろんそうなれば別宇宙の“異客”なども訪れるのだが、そういった者はアルシードに来た時点で大抵死んでしまう。何故ならば、彼らはレイヤー構造宇宙で姿を保つために必要な『境界線』を持っていないからだ。

 たまに別法則の宇宙でも生き残れる“客”も居るが、そういった者は元々『境界線』に近い性質の物を持っていたり、環境適応能力が極端に高い等、生き残れる素質が有るから生存出来たのである。


 もし素粒子宇宙のモノがアルシードに流れ着いたのなら、それはアルシードに来た時点でぐずぐずに崩れて消えてしまうだろう。魂すらも残らず、文字通り宇宙の藻屑と化すのだ。


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