第十七話・善果の呼び声
人とエルフが子を成すと、決まってエルフが生まれる。これに例外は有り得ず、よって『ハーフエルフ』の様な存在も有り得ない。
この驚く程強烈なエルフの遺伝子により、たった一人の“客”から始まったエルフという種は、人種の一つとして認められる程の数になったのだ。繁殖力こそ既存のアルシード人より低いといえど、この特性によって、彼らの総人口はじわじわと増え続けている。
もしかしたら、気の遠くなる程先の未来には、アルシード全ての人間がエルフになっているのかもしれない。そんな未来を危惧し、エルフを排斥する運動をしている団体も有るが、臼木ではそう言った動きは殆ど無い。
外国だと、エルフの入国を拒否している国や、エルフを見つけ次第射殺しているテロ組織なんてのも有るらしいが、臼木に居る限りは無縁でいられるだろう。とはいえ珍しい存在なのに変わりはなく、人前に出れば奇異の視線を向けられる事は避けられない。
白矢との約束の時間は、およそ二時過ぎくらい。歩きで行けば三十分くらいで麓までは行けるが、そこから先はまだ未知の領域なので、一時間前には出発していた。
件の小さな通信機や、ハンカチやティッシュ、筆記用具等を肩掛け鞄に詰めておく。そして昨日付けておいたリボンの目印を辿り、山を下りていた。久々に一番暑くなるこの時間帯に出たので、じめじめとした空気もあわさり、大粒の汗が流れる。
あの注連縄で区切られた境界線までは、テナも問題なく行けるので、なんだかんだで彼もついて来ている。本当に過保護だなぁ、とも思いながら、頑なに断る理由も無いので、途中までは一緒に行く事になったのだ。
「これから、まだ暑くなるんでしょうか」
「多分、そう。……ユイカは、暑いのは苦手なのか」
「はい。寒いのは割と平気なんですけどね」
他愛も無い雑談を交わしながら、慣れない山道を慎重に進む。今日のテナのTシャツの文字は、『巨人』。一体どんな意味が有るのか、何を意図して『巨人』なのか、唯華には全く予想すら出来なかった。
やがて注連縄の境界線が見えて来た辺りで、ぴたりとテナが足を止める。彼はぐりぐりと首輪を弄りながら、短く息を吐いた。
「そろそろお別れですね」
「ああ。……オレは、ここで」
「はい。じゃあ、行ってきます」
「……行って、らっしゃい」
言いながら、テナは顔を上げて、柔和な微笑みを浮かべてみせていた。優しげなその笑顔につられ、唯華も何となく笑みで返すと、そのまま注連縄を潜り山の外へ出て行った。
振り返りながら歩き進む彼女を、テナは見えなくなるまで見送り続けていた。小さくなって行く彼の姿を見ていると、本当に可哀想だ、という想いが膨れ上がっていく。
時計は、一応“晶臓”が無くとも動く懐中時計を手に入れられた。とはいえ、主流なのは魔力で動くものであり、そうでない機構で作られている物は、本当に探すのに苦労をした。結局、普通の店では見つけられず、ムゥがどこかから買って来た高そうなアンティークもので、ようやくどこでも時間を確認出来るようになったのだ。
そんな時計を見ると、丁度一時四十分を回る所だった。山を降りた所から白矢の家まではそう遠くないと聞いているので、きっちり時間には辿り着く事が出来るだろう。事前に口伝えに教えて貰っておいた道を、変な所に迷いこまない様に気を付けつつ辿る。
(『ネコは全てを許す』ってチラシを目印に、この角を曲がって……よし)
道を間違えていなければ、あと一分もこのまま歩けば辿り着くだろうといった所で、唯華の耳は角を曲がった先から届く諍いの声を捉えた。丁度、白矢の家の方向から聞こえて来る。
またチンピラの抗争なんかが勃発しているのか、とうんざりしながら、角から顔だけ出して様子をうかがう。そして目に入って来た光景に、唯華は思わず息を呑んだ。
「──テメェさえ生まれなけりゃ、ワシらはあの忌々しい古竜の妄想ごっこから解放されてたんだ! ああ忌々しい、あのクソ古竜め……死ねッ!」
「ぐッ……」
諍い、という推測は間違いだった。諍いとは即ち言い争い、喧嘩の事であり、一方的な暴力はそうとは呼ばない。
近くを通る国道からも外れた、殆ど車の通らない、時折軽トラが通る程度の旧道。その半ばで、古くさい和服を着たエルフの老人が、何かを罵倒しながら蹴り飛ばしていた。
その蹴飛ばされている何かに、唯華は見覚えが有った。見覚えどころじゃない、こちらに流されて来てから、幾度となく頼って来た人物だ。見間違えようも無い、あの白い髪。
「風上、さん……?」
声が漏れた。老人は罵声を浴びせるのに夢中で気付かなかったようだが、当の白矢の方は、唯華の姿に気付いたようだった。日中にも関わらず、サングラスではなくひび割れた眼鏡をかけた彼は、驚いたような顔をしている。
「あなた……何をやっているのですか! 今すぐ止めなさい!!」
今度は漏れ出るような声ではなく、はっきとした警告の声音を老人に向けた。ようやく唯華の存在に気付いた老爺は、気持ち悪いくらいの笑顔を浮かべて振り返り、猫なで声を使い出す。
「お、おやおや……こんな平日の昼から、お嬢ちゃんは何をやっているんだい? 悪い事は言わないから、早く学校なり職場なりに──」
「そんな事より、今何をやっていたのですか!? とにかくその人から離れなさい、警察を呼びますよ!」
混乱する思考の中で、唯華はどうにか白矢の元から老爺を追い払おうとした。しかし、相手はその場から離れる様子を見せない。
そんな中、唯華が痺れを切らして、白矢に駆け寄ろうとした瞬間、老爺が何かの呪文を詠唱した。聞いた事も無い響きのそれに、唯華の背筋に寒気が走り、思わず足が止まる。
「動くな」
老爺の声が、再び敵意丸出しのそれへと変化した。同時に、顔のすぐ右を何かが通って、鋭い痛みが頬と耳に走る。たらりと血が垂れ、そこでようやく何かの魔法で攻撃されたと理解した。
「ああ、もう、面倒だ。テメェが誰だか知らんが、見られたからには死んでもらう」
指先が、唯華の方に向けられる。そしてまた似たような呪文が唱えられ始め、魔力らしい物が集結して行くのが分かった。先ほどより長い詠唱は、それだけ威力の高い物だという事なのだろう。白矢の表情がみるみる青ざめるのを、目の端に捉えていた。
「おい……糞爺……止めろ……!」
「黙ってろ!」
「ゲはッ!!」
白矢が制止の声を上げたが、それも気に喰わないらしい老爺は、彼を一発蹴り飛ばして黙らせる。その行為に対し、唯華は少しばかりの怒りを募らせ始めた。
魔法という物がよく分からない唯華は、しかしこのまま何もしなければ殺されるだろう、というのを理解していた。いわば、対物ライフルの銃口を、この至近距離から向けられているような状態なのだ。引き金を引かれれば、すぐにでも致命傷を負う事になる。
老爺の殺気は本物だ。魔法は今すぐにでも放てるのに、ニヤニヤと笑いながら唯華の様子を眺めているのは、きっと彼女が恐怖し泣き崩れ、逃げ出すなり命乞いするなりするのを待ち侘びているからだろう。
「……風上さんから、離れなさい」
しかし、唯華の心に、恐怖が浮かび上がる事は無かった。一向に恐れる様子を見せない彼女に、老爺の顔から下衆笑いが失せる。
「警察を、呼びますよ。どんな理由であれ……あなたのやっている事は、犯罪です」
一歩、近づく。老爺は唯華の声音に硬直し、後は放つだけだった魔法を雲散霧消させてしまった。
更に一歩、踏み出す。老人は唯華の表情に畏怖し、じりりと一歩後ずさった。
続いて一歩、歩を進める。相手は唯華の立ち振る舞いそのものにおののき、ふらりふらりと更に後退した。
「何なんだよ……テメェ、死ぬのが怖くないのか……!?」
「ええ。だってわたしは、竜の契約者で、“異客”で、そして、風上さんの、友人、なのですから」
この虚勢が崩されてしまわない様、必死に自己暗示をかける。とにかく強そうな肩書きを並べて名乗ってみたり、友を救う為ならば死すらも恐ろしくない──彼とは刎頸の交わりなのだ、と言わんばかりに振る舞ってみたり。
そうして胸を張っていると、老爺はそのまま踵を返し、変な悲鳴を上げながら逃げて行った。警察を呼べずじまいだった事を頭の片隅で後悔しつつ、唯華は血相を変えて白矢に駆け寄る。
「風上さん! すみません、追い払う事しか出来なくて……! 酷い怪我です、まずは救急車を──」
「……その、必要は、ない……」
混乱して早口で様々まくしたてる唯華に、白矢は苦しげに言いながら、ゆっくりと呪文を唱え始めた。すると、折れた骨から割れた眼鏡までもが、みるみるうちに修復されていく。
「う、く、く……イテテ……ほらな、こんなもんだ」
そうしてゆらりと立ち上がろうとするが、痛みまでもが完全に消え去ったわけではないらしく、ふらふらとバランスを崩して仰向けに倒れそうになってしまった。慌てて唯華が腕を伸ばし、彼の身体を支える。
ほぼ全体重が唯華の片腕にかけられたのに、その感触は驚く程に軽かった。こちらに来てからそれなりに鍛えられたのを差し引いても、白矢の身体は軽過ぎる。エルフは体重が軽いものだという知識は有ったが、拍子抜けする程の軽さにびっくりしてしまった。
唯華は少し考えた後、素早くもう片方の腕を白矢の膝裏に回し、そのまま軽々と彼を抱え上げてしまった。一瞬相手は何をされたのか分からなかったようだが、状況を理解すると、一気に白い頬を赤く染め上げた。
「無理しないでください。どんなに魔法が凄くても、あんな怪我をした後なんですから」
「お、おい、馬鹿、ななな、何をしてんだよ! は、ははは恥ずかしいだろ!」
「とりあえず家に上がらせてもらいますけど、良いですよね」
「ひ、ひひ一人で歩けるわ! いいから降ろせ!」
「駄目です」
開きっぱなしの玄関を潜り、靴を脱いで家に上がる。2m級の大男が、あくまで平均より少し高い程度の唯華に横抱きにされている様は、さぞかしシュールな光景だっただろう。
居間まで上がらせてもらって、そこのソファに白矢を座らせ、そして玄関の扉を閉めに行った。先ほどから彼は両手で顔を覆い、ずうんと俯いている。
「普通……逆だろ……ああいうのは……」
彼はブツブツと小声で呟きつつ、玄関から戻って来た唯華の方に顔を向ける。カーテンが閉め切られ、薄暗くなっている室内の中、彼女は視覚をフル稼働させてその動作を捉えた。
「あー、明かり、点けるか……あんま明るくないが、勘弁しろよ」
「大丈夫なのですか?」
「眩しくなけりゃ、我慢は出来る」
言いつつ、彼はぼそりと呪文を唱えた。すると、部屋が仄明かるい光に包まれる。何となくムーディだな、と唯華は部屋をくるりと見回す。
そうしていると、怪訝げな顔をした白矢に手招きをされる。唯華は素直に応じ、歩み寄った。
「おい、小娘。ちょっと、こっちに来い」
「はい、なんでしょう」
「顔に怪我してんじゃねーか。あの糞爺にやられたのか」
「ああ……」
そう言われて、ようやく顔に傷を負っていた事に思い至った。そこに手を触れると、垂れた血の乾いた感触と、出来立てのかさぶたのかさかさとした感触がする。
「もう痛くないですし、大丈夫ですよ。痕は残ってしまうかもしれませんが」
「アホか! お前も女なんだ、もう少し身体を大事にしろよ! 今回はなんか事無きを得たけど、下手したら死んでたんだぞ!?」
「死ななかったから良いじゃないですか。風上さんも助けられましたし」
「ああ、もう、そうじゃなくて……ちょい、顔近づけろ」
言われるままに中腰になると、そのまま片手で肩を掴まれ引き寄せられた。驚く声を上げながら、白矢の隣に座らせられる。
「わわっ!?」
「じっとしてやがれ」
白く細長い指が、頬の傷辺りに触れつつ何やら唱える。すると、触れられて少し嫌な感じがしていたのも、軽い痛み共々消えてしまった。更に驚いてきょとんとしていると、耳の方にも触られる。
「あの、これは……」
「治療の魔法だ。得意なんだよ、こういうの。痕は残らねーと思うが、万一浮かび上がって来たら言え」
「あ、はい。ありがとうございます、風上さん」
「ケッ、放っといたら寝覚めがわりーからやっただけだ」
かさぶたが剥がれ落ちた頬を、自分の手で軽く触る。そこにはもう、傷の残滓さえ残っていなかった。白矢に感謝しつつ、唯華はすぐさま思考を切り替え始める。
「風上さん、色々訊きたい事が有ります。“晶臓”の件は、また次の機会で良いので」
「は? な、なんだよ」
「あの痴呆老人は、一体何者なのです?」
普段は決して使わないような罵り言葉が、さらりと口から出て来た事に、自分でも驚いていた。大切な友人を理不尽に傷つけられた事に、自分は随分と怒りを覚えているらしい。
「別に良いだろ、そんな事……」
「良くないです! 友達が傷つけられているというのに、何もしないで放っておける程、わたしは寛容ではありません。
言動から察するに、何か因縁が有る方なのでしょう? 何か手を打たないと、いつまでもあんな目に遭う羽目になってしまいます」
唯華が少し強めの語気で訴えると、相手は少し迷う様に水色の瞳を閉じると、そのまま溜め息を吐きつつ語り始めた。サングラスを掛けてない状態の彼の表情を見るのは、本当に久しぶりだったので、白い睫毛に何となく視線が向かう。
「……そうだよ。上月──黒環神社の管理をしている一族の、家長だ。風上とは、遠い親戚関係でもある」
耳先を項垂れさせながら、白矢は少しずつ言葉を紡ぎ始める。彼を取り巻く複雑な現状を語る為に、じっくりと文章を考えている様だった。
「僕は、烏山の封印を維持する為の贄、“御柱”。風上は、そんな“御柱”を輩出する為の家系。
この封印は、本来あの“死神”を封じる為の物じゃあない。今は、まぁ組み込まれてる状態なんだけど……もっと強大な、“禍神”っつー存在を封じる為の物だ」
「“禍神”、とは?」
「正直、僕もよく分からねー。なんだかよく分かんないナニカ、ってのが認識の限界だ。紀元前から有って、ヤバいからとある古竜が封印したらしい、と聞いている。
ただ、そのヤバさは僕も実感している。“御柱”になってから、時々ひでー悪夢を見る様になったし、たまに変な声聞こえて来て発狂しそうになるし……」
「な、何それ怖い……」
下手なホラーものよりずっと怖いな、と唯華は思う。その辺ももう少し突っ込みたいなと思ったが、今の本題はそちらではない。続けて、と白矢を促した。
「で、何故だか知らんが、あの糞爺は“禍神”を妄想の産物だと決めつけていて、人柱になってる僕が、一日中ゴロゴロしてるのが気に喰わないんだと。
多分他にも色々有るようだが、僕は知らん。知りたくもない。……あんたは“禍神”の事、信じてくれるよな?」
「ええ、信じますよ。あなたがそんな下らない嘘を吐く人間──いえ、エルフでないことは、よく分かってますから」
「そうか、話が早くて助かる。そういうわけで、父上が亡くなって、僕が“御柱”になった辺りからずっと、ああしてやって来ては蹴って行くんだ。
『ファーストアーミー』に率先して関わったのもアイツらしいし、小母上の話だと、結構前の代から“御柱”に粘着してたそうだ」
話を聞いた唯華は、その意味を一つ一つ咀嚼して飲み込み、くるくると回る思考の中に放り込んだ。しながら、白矢の表情を見上げる。かなり近距離から見るその顔には、普段眉間に寄せられている皺等の気配が無かった。
暫くその顔を眺めて気付いたのは、彼の表情に全く悲壮さが無い事だ。先ほどの話し声からにじみ出る、ただ事実を淡々と語るだけの色も、唯華にはなんだか空恐ろしく感じられた。
「はぁ、ったく、これでいいだろ。じゃあ今日の本題の方に──」
「それは、もう今日は良いです。それよりも、優先すべき事が有ります」
「ンだよ」
この会話で、唯華の疑念は確信へと変化した。彼は現状から逃れようとしていない。諦めてしまっているのだ。自ずと、諭すような口調になってしまう。
「風上さん、あなたは何故、あのような暴虐を受け入れてしまっているのですか?」
「は」
「まさか、理不尽から逃げ出さずに我慢する事を美徳としているわけじゃあないですよね? だとしたら、わたしはあなたを軽蔑します」
「ち、ちげーし……」
「なら」
「だ、だって」
彼女の言葉に、白矢は眉を顰めつつ、こちらから目を逸らした。そして少し溜めを入れ、耳を下向きのまま緊張させると、絞り出すような声を吐き出す。
「逃げ出した所で、逃げる先なんて無い。“御柱”が烏山から離れれば、それだけ“禍神”の封印が緩んじまうしよ」
「なら、警察なり何なりに相談すれば」
「それで、何になる? 認めたくねーが、あの糞爺の風上以外からの人望は相当な物でな。地元の警察の上層部は、大抵アイツのオトモダチだ。
もし運良くアイツが捕まって、そんでちゃんとこれまでの事が罪に問われたとして……良くて数年の懲役だ。どうせすぐに塀から出て来る。
そうなれば……そうしたら……今度こそ、僕は殺されちまう……!」
いつしか両手で顔を覆った白矢の声には、恐怖の音色が滲み出ていた。その様子を見て、成る程、と唯華は心の中で合点する。学習性絶望感、という単語が脳裏を過った。
きっと、これまでも、何度か状況を打開しようとしたのだろう。だがその度に失敗し、絶望し、絶対に逃げ出せないと学習してしまった。彼の諦めは深く、並大抵ではどうこう出来る物ではない、そのように見えた。
しかし、その程度で手を伸ばす事を止める唯華ではない。少しどうするか考え、そしてまず彼女は白矢の両手を自身の手で包み掴んだ。
「逃げましょう。まずは、烏山の館へ」
「だから──」
「確かに、人間世界の何もかもが頼りにならない……それは理解しました。だけど、何も頼る対象を人間に限定する理由は無いでしょう?
封印を施したのは、古竜でしたよね? ならムゥさんに頼れば、その古竜も見つかる筈です。この現状をその古竜に訴えれば、きっと打開が出来ます」
恐らく、白矢からその古竜に連絡する手段は、今まで無かったのだろう。しかし、今はムゥに連絡を取る事が出来る。もしかしたらその古竜はもう居ないのかもしれないが、同じ竜族なら何か知っているかもしれない。
上手くいく保証は何処にも無かったが、ここで唯華が不安がっていたら、白矢にまで伝染してしまう。彼女は心細いのを押し隠し、あくまで悠然として微笑みかけた。




