表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

        ~残念無念~

この世は20XX年。犯罪はすこぶる重い罪と見なされ、人を殺せる物は持っているだけでも罪になる時代となった。食料はすべて加工されており、包丁など持った暁には、家にピーポーさんが来て、近所から軽蔑の目で見られる。そんな時代だった。

こうなったのは、一昔前のとある事件からである。

そのときの首相は、平和を第一としており、人望も厚く、支持率も右肩上がりだった。

調子に乗った日本は、どんどん成長し、他国から敬われる存在になりつつあった。

しかし、その裏で、なぜか犯罪はどんどん増えていったのである。

ここまで成長した日本に、犯罪があるのは大きな痛手だと言うことで、警察は大々的に調査した。

すると、1つのテロ組織が浮かび上がったのである。

一見何のつながりもないような沢山の殺人事件が、実はすべてその組織による物だと言うことが判明し、捜査は熾烈を極めた。

それなのに、間抜けな警察は、いつになっても捕まえられないばかりか、突然調査をやめてしまったのである。

相変わらず犯罪はすごいスピードで増えていくというのに、警察どもは何もしない。

自分たちは殺されるのを黙って待っておけと言うことか?

理不尽だと感じた国民達は、独自の調査を始めた。

そして、2年後。

何とも間抜けな結果でその事件は幕を閉じた。

黒幕は、首相だった。

世紀の笑いぐさである。

もちろん辞任だ。もちろん死刑だ。

そして、前首相の失態の後、就いた首相は、前みたいな事が起こらないようにと、こんな直接的な方法で、犯罪を撲滅したのである。

おかげで今の日本は平和そのもの。

しかし、前首相に家族や友人を傷つけられた国民達は、復讐することが一切出来なかった。


僕の妹は、殺された。

もしかしたら、そのテロ組織の一員だったのかもしれない。

しかし、犯人は・・・


「せーしんいじょうしゃ」だった。


裁判の判決は無罪。

責任能力どーチャラこーチャラで、僕の妹はただ殺されただけ。


今の日本なら絶対有罪だったはずだ。

しかし恨む相手は病院の中。

しかももうすぐ出てくるらしい。


許せるはずなどない。


絶対に、復讐してやる。


しかし、殺すと言ったって、無理なのだ。

素手でボコボコにしない限り、無理なのだ。

残念ながら僕にはそんな能力はない。


残念無念。


脳裏に殺しやがったあいつのせせら笑っている顔が浮かぶ。

このまま終わるのか?

この気持ちを抱えたまま?


そんな僕の所に、悪魔がやってきた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ