当面の抗日統一戦線における戦術の問題 (一九四〇年三月十一日)
これは、毛沢東同志が延安における党の高級幹部会議でおこなった報告の要綱である。
(一)当面の政治情勢はつぎのとおりである。(1)日本帝国主義は、中国の抗日戦争によって重大な打撃をうけ、もうこれ以上、大規模な軍事的進攻をおこなう力がない。したがって、敵味方の形勢はすでに戦略的対峙の段階にある。だが、敵は依然として中国を滅ぼす基本政策をとりつづけており、抗日統一戦線の破壊、敵後方での「掃討」の強化、経済侵略の強化などの方法によって、この政策をおしすすめている。(2)東方におけるイギリス、フランスの地位はヨーロッパの戦争によってよわまり、アメリカはひきつづき「山上に坐して、相うつ虎の倒るるを待つ」という政策をとっている。このため東方のミュンヘン会議①はとうぶん開かれるみこみがない。(3)ソ連の対外政策はあらたな勝利をおさめ、中国の抗戦にたいしてこれまでどおり積極的援助の政策をとっている。(4)親日派の大ブルジョア階級は、はやくから完全に日本に投降し、かいらいとして登場する準備をしている。欧米派の大ブルジョア階級は、まだ抗日をつづけることができるが、その妥協的傾向は依然としてひどく存在している。かれらは二面政策をとり、一面では、ひきつづき国民党以外の各派の勢力を結集して日本にあたろうとしているが、他面では、各派の勢力を破壊することに懸命になり、とりわけ共産党と進歩勢力を破壊することに全力をあげている。かれらは抗日統一戦線のなかの頑迷派である。(5)中層ブルジョア階級、開明紳士②、地方実力派をふくむ中間勢力は、大地主、大ブルジョア階級という主要な支配勢力とのあいだに矛盾があるし、同時に労農階級とのあいだにも矛盾があるので、とかく進歩勢力と頑迷勢力とのあいだの中間的な立場にたつ。かれらは抗日統一戦線のなかの中間派である。(6)共産党の指導下にあるプロレタリア階級、農民、都市小ブルジョア階級という進歩勢力は、最近大きな発展をとげ、抗日民主政権の根拠地を基本的にきずいた。かれらは、全国の労働者、農民、都市小ブルジョア階級のあいだで非常に影響が大きく、中間勢力のあいだでもかなり影響をもっている。抗日の戦場で共産党がむかえうっている日本侵略者の兵力は、国民党がむかえうっているそれと、ほとんどおなじくらいである。かれらは抗日統一戦線のなかの進歩派である。
以上が当面の中国の政治情勢である。このような情勢のもとでは、時局の好転をたたかいとり、時局の逆転を克服する可能性がやはり存在しており、二月一日の党中央の決定はまったく正しい。
(二)抗日戦争の勝利の基本的条件は、抗日統一戦線の拡大と強化である。そしてこの目的をたっするには、進歩勢力を発展させ、中間勢力を獲得し、頑迷勢力に反対するという戦術をとらなければならない。これはきりはなすことのできない三つの環であって、闘争をすべての抗日勢力の団結達成の手段とするのである。抗日統一戦線の時期には、闘争は団結の手段であり、団結は闘争の目的である。闘争によって団結をもとめれば団結はたもたれ、譲歩によって団結をもとめれば団結はうしなわれるというこの真理は、党内の同志たちにしだいに理解されるようになってきた。だが、理解していないものもまだたくさんいて、かれらのなかには、闘争は統一戦線を分裂させると考えたり、闘争は無制限にやってもかまわないと考えるものもおり、中間勢力にたいして正しくない戦術をとったり、頑迷勢力にたいしてあやまった見方をするものもいる。これらはすべて是正しなければならない。
(三)進歩勢力を発展させるとは、プロレタリア階級、農民階級、都市小ブルジョア階級の勢力を発展させることであり、八路軍、新四軍をおもいきって拡大することであり、抗日民主根拠地を広範に樹立することであり、共産党の組織を全国に拡大することであり、全国の労働者、農民、青年、婦人、児童などの民衆運動を発展させることであり、全国の知識人を獲得することであり、民主主義をかちとる憲政運動を広範な人民のあいだにひろげていくことである。時局の逆転をくいとめ、投降と分裂をくいとめて、抗日の勝利のために確固不動の基礎をうちたてるには、進歩勢力を一歩一歩発展させる以外にない。だが、進歩勢力を発展させるのはきびしい闘争の過程であって、日本帝国主義や民族裏切り者と苛烈な闘争をおこなわなければならないだけでなく、頑迷派とも苛烈な闘争をおこなわなければならない。なぜなら、進歩勢力を発展させることにたいしては、頑迷派が反対し、中間派が疑惑をもっているからである。頑迷派と断固たたかわす、また確実な成果をおさめないなら、頑迷派の圧迫に抵抗することはできず、中間派の疑惑をとくこともできず、進歩勢力は発展のしようがない。
(四)中間勢力を獲得するとは、中層ブルジョア階級を獲得し、開明紳士を獲得し、地方実力派を獲得することである。これらは三つの異なった部分の人びとであるが、みな当面の時局における中間派である。中層ブルジョア階級とは、買弁階級すなわち大ブルジョア階級をのぞいた民族ブルジョア階級のことである。かれらは、労働者とのあいだに階級矛盾があり、労働者階級が独立性をもつことには賛成しないが、被占領区では日本帝国主義に抑圧されており、国民党の支配下では大地主、大ブルジョア階級に制約されているので、やはり抗日をしようとしており、また自分の政治権力を獲得しようとしている。抗日の問題では、かれらは、団結して抗戦することに賛成している。政治権力獲得の問題では、かれらは、憲政運動に賛成するとともに、その目的達成のために、進歩派と頑迷派との矛盾を利用しようとしている。この階層はわれわれが獲得しなければならない。開明紳士は、地主階級の左翼、つまりブルジョア的色彩をおぴた一部の地主であって、かれらの政治的態度は中層ブルジョア階級とほぼおなじである。かれらは、農民とのあいだに階級矛盾があるが、大地主、大ブルジョア階級とのあいだにも矛盾がある。かれらは頑迷派に賛成しておらず、やはりその政治上の目的達成のために、われわれと頑迷派との矛盾を利用しようとしている。われわれは、この部分の人びとをもけっして無視してはならず、かれらを獲得する政策をとらなければならない。地方実力派には、地盤をもつ実力派と地盤のない雑軍との二つの勢力がふくまれる。かれらは、進歩勢力とのあいだに矛盾があるが、現在の国民党中央政府の、人をそこない、自己の利をはかる政策とのあいだにも矛盾があり、またその政治上の目的達成のために、われわれと頑迷派との矛盾を利用しようとしている。地方実力派の指導層も、多くが大地主、大ブルジョア階級に属しているので、抗日戦争のなかでときには進歩的な態度をしめすこともあるが、しばらくするとやはり反動的になる。だが、またかれらは国民党の中央勢力とのあいだにも矛盾があるので、われわれが正しい政策をとりさえすれば、われわれと頑迷派との闘争にさいして、かれらは中立的態度をとることが可能である。以上にのべた三つの中間勢力にたいするわれわれの政策は、かれらを獲得することである。だがこうした獲得政策には、農民や都市小ブルジョア階級を獲得することとちがいがあるばかりでなく、それぞれの中間勢力にたいしてもちがいがある。農民と都市小ブルジョア階級は基本的同盟者として獲得するが、中間勢力は反帝国主義の同盟者として獲得するのである。中間勢力のうち、中層ブルジョア階級と開明紳士は、われわれと共同して抗日することができるし、いっしょに抗日民主政権をうちたてることもできるが、かれらは土地革命をおそれる。頑迷派との闘争では、そのうちの一部のものは一定の限度内でこれに参加しうるし、一部のものは善意の中立をたもち、一部のものは不本意ながらも中立をしめすことができる。地方実力派は、共同して抗日することをのぞけば、頑迷派との闘争のさいに、せいぜい一時的な中立の立場がとれるだけであって、かれらも大地主、大ブルジョア階級であるから、われわれといっしょに民主政権をうちたてることはのぞまない。中間派の態度は動揺しやすく、しかも不可避的に分化する。われわれは、かれらのこの動揺的な態度にたいしては適当な説得と批判をおこなわなければならない。
中間勢力を獲得することは、抗日統一戦線の時期におけるわれわれのきわめて重大な任務であるが、この任務をなしとげるには一定の条件がなければならない。その条件とは、(1)われわれが十分な力をもつこと、(2)かれらの利益を尊重すること、(3)われわれが頑迷派と断固たたかい、しかも一歩一歩勝利をかちとることである。これらの条件がなければ、中間勢力は動揺するし、われわれを攻撃する頑迷派の同盟軍にまでなってしまう。なぜなら、頑迷派もわれわれを孤立させるため中間派の獲得に懸命になっているからである。中国ではこうした中間勢力が大きな力をもっており、われわれが頑迷派と闘争するさいに、しばしば勝敗を決する要素となりうるので、かれらにたいしては十分慎重な態度をとらなければならない。
(五)頑迷勢力とは、現在、大地主、大ブルジョア階級の勢力のことである。これらの階級は、いま投降派と抗日派にわかれているが、今後もしだいに分化していくであろう。現在の大ブルジョア階級の抗日派は、投降派とちがいがある。かれらは二面政策をとり、一面では、まだ団結して抗日することを主張しているが、他面ではまた、将来の投降を準備する段どりとして、進歩勢力を破壊する極端な反動政策をとっている。かれらがまだ団結して抗日することをのぞんでいるので、われわれもかれらを抗日統一戦線のなかにとどめておくよう獲得しうるし、その期間は長ければ長いほどよい。こうした獲得政策を無視し、かれらと協力する政策を無視して、かれらはすでに事実上の投降派であり、すぐにも反共戦争をやろうとしていろ、とみなす見解はあやまりである。しかしまた、かれらは、全国いたるところで進歩勢力を破壊する反動政策をとっているので、革命の三民主義というこの共同綱領を実行しないばかりか、われわれがこの綱領を実行することに強く反対しているので、またかれらのゆるす範囲をわれわれがこえることに強く反対し、いいかえれば、われわれにもかれらとおなじように消極的な抗戦しかやらせないので、しかもわれわれをかれらに同化させるか、でなければ、われわれに思想上、政治上、軍事上の圧迫をくわえようとしているので、われわれもまた、かれらのこうした反動政策に反対する闘争戦術をとり、断固としてかれらと思想上、政治上、軍事上の闘争をおこなわなければならない。これが、頑迷派の二面政策に対処するわれわれの革命的二面政策であり、闘争によって団結をもとめる政策である。もしわれわれが思想の面で正しい革命理論を提起し、かれらの反革命理論に断固とした打撃をあたえることができるならば、もしわれわれが政治の面で時宜に適した戦術的段どりをとり、かれらの反共、反進歩の政策に断固とした打撃をあたえるならば、もしわれわれが適切な軍事的段どりをとり、かれらの軍事的進攻に断固とした打撃をあたえるならば、かれらの反動政策実行の範囲を制限することができ、かれらに進歩勢力の地位を認めざるをえなくさせることができ、また進歩勢力を発展させ、中間勢力を獲得して、かれらを孤立させることができるようになる。同時に、まだ抗日をのぞんでいる頑迷派を抗日統」戦線のなかにとどめておく期間をひきのばすことができ、過去におこなわれたような大きな内戦をさけることもできるようになる。したがって抗日統一戦線の時期における頑迷派との闘争は、たんに、かれらの攻撃をふせいで進歩勢力に損失をこうむらせないようにし、進歩勢力をひきつづき発展させるためだけでなく、同時にまた、かれらの抗日の期間をひきのばし、われわれとかれらとの協力関係をたもち、大きな内戦のおこるのをさげるためでもある。闘争がなければ、進歩勢力は頑迷勢力に滅ぼされ、統一戦線は存在できなくなり、頑迷派の敵への投降をはばむ力はなくなり、内戦もおこることになる。したがって頑迷派との闘争は、すべての抗日勢力の結集、時局好転の実現、大規模な内戦の回避にとって、欠くことのできない手段である。この真理はすでにすべての経験によって立証されている。
だが、抗日統一戦線の時期に頑迷派と闘争するには、つぎのいくつかの原則に注意しなければならない。第一は自衛の原則である。相手が侵してこなければこちらも侵さないが、相手が侵してくればこちらもかならず侵す。つまり、けっして理由もなく人を攻撃してはならないが、人から攻撃されたときはどうしても反撃しなければならないということである。これが闘争の防御性である。頑迷派の軍事的進攻にたいしては、それを断固として、徹底的に、きれいに、全部消滅しなければならない。第二は勝利の原則である。たたかわなければともかく、たたかう以上はかならず勝たなければならない。計画もなく、準備もなく、勝算もないたたかいをけっしてやってはならない。頑迷派の矛盾を利用することを心得ておくべきであって、けっして多くの頑迷派に同時に打撃をくわえるようなことをしてはならず、そのうちのもっとも反動的なものをえらんで、まずこれに打撃をあたえなければならない。これが闘争の局部性である。第三は休戦の原則である。ある時期に頑迷派の攻撃を撃退したのち、かれらがあらたな攻撃をくわえてくるまでに、われわれはこの闘争に一段落をつけるようたたかいを適当なところでとどめなければならない。それにつづく時期に双方が休戦する。このときわれわれは主動的に頑迷派と団結をはかり、相手方の同意をえてかれらと和平協定をむすぶべきである。けっしてのべつ幕無しにたたかいつづけてはならないし、けっして勝利にのぼせあがってはならない。これが一つ一つの闘争の一時性である。われわれは、かれらがあらたな攻撃をおこなったときにはじめて、あらたな闘争をもってこれに対処する。この三つの原則は、ことばをかえていえば、「道理があり」、「有利であり」、「節度がある」ということである。道理があり、有利であり、節度があるこうした闘争を堅持すれば、進歩勢力を発展させ、中間勢力を獲得し、一頑迷派を孤立させることができ、また頑迷派に今後軽々しくわれわれを攻撃したり、敵と妥協したり、大きな内戦をおこしたりしえないようにさせることができる。このようにすれば時局の好転をたたかいとろくとができるようになる。
(六)国民党は複雑な構成要素をもつ党であり、そのなかには、頑迷派もおれば、中間派もおり、進歩派もいて、国民党全体が頑迷派だというわけではない。国民党中央が「異党活動制限措置法」などの反革命的摩擦の法令を公布するとともに、かれらのあらゆる力を動員して全国いたるところで思想上、政治上、軍事上の反革命的摩擦をひきおこしているので、一部の人びとは国民党全体が頑迷派であるかのように考えている。こうした見方はあやまりである。現在の国民党では、頑迷派がまだ同党の政策を左右する地位をしめているが、数のうえでは少数にすぎず、大多数の党員(その多くは名ばかりの党員である)は、かならずしも頑迷派ではない。この点をはっきり認識しておかなければ、かれらの矛盾を利用し、それぞれを区別してあつかう政策をとり、大きな力をそそいで国民党内の中間派と進歩派を結集することはできない。
(七)抗日根拠地内の政権樹立の問題では、この政権が抗日民族統一戦線の政権であることをはっきり規定しなければならない。国民党の支配地域にはまだこうした政権はない。こうした政権は、抗日にも賛成し、民主主義にも賛成するすべての人びとの政権であり、いくつかの革命的階級が連合して、民族裏切り者と反動派にたいしておこなう民主主義独裁である。それは、地主・ブルジョア階級の独裁とはちがうし、厳格な労農民主主義独裁ともいくらかちがいがある。政権の人員配分では、プロレタリア階級と貧農を代表する共産党員が三分の一をしめ、小ブルジョア階級を代表する左派の進歩的な人びとが三分の一をしめ、中層ブルジョア階級と開明紳士を代表する中間的な人びととその他の人びとが三分の一をしめるべきである。こうした政権に参加する資格がないのは、民族裏切り者と反共分子だけである。このような人数をだいたい規定しておくことは必要である。そうしなければ、抗日民族統一戦線政権の原則を保障することはできない。こうした人員配分の政策はわが党のいつわりのない政策であり、まじめに実行すべきであって、お座なりにことをすませてはならない。これはだいたいの規定であって、機械的に頭かずをそろえるのではなく、具体的な状況に応じて適切に実施すべきである。末端の政権では、、豪紳、地主に政権をにぎられないよう、この規定をある程度変更する必要がおこりうるが、その基本精神にそむいてはならない。抗日統一戦線政権では、共産党員以外の人びとにたいして、政党関係の有無、および所属政党のいかんを問題にしてはならない。抗日統一戦線政権の支配している地域では、国民党であれ、別の党であれ、共産党に反対せず、共産党と協力する政党でさえあれば、合法的に存在する権利をあたえるべきである。抗日統一戦線政権の選挙にかんする政策は、満十八歳以上で、抗日と民主に賛成する中国人には.階級、民族、政党、性別、信仰、教育のいかんをとわず、みな選挙権と被選挙権をあたえるものでなければならない。抗日統一戦線政権の成立は、人民の選挙によらなければならず、そのあとで国民政府にその委任方を申請するのである。その組織形態は民主集中制でなければならない。抗日統一戦線政権の施政方針は、日本帝国主義とたたかい、ほんとうの民族裏切り者や反動派とたたかい、抗日の人民をまもり、抗日の諸階層の利益を調整し、労働者、農民の生活を改善することを基本的な出発点とすべきである。こうした抗日統一戦線政権の樹立は、全国に大きな影響をあたえ、全国的な抗日統一戦線政権の雛型となるであろう。したがって全党の同志はこれをふかく理解するとともに、断固として実行すべきである。
(八)進歩勢力を発展させ、中間勢力を獲得し、頑迷勢力を孤立させる闘争では、知識人のはたす役割は無視できないものであり、頑迷派もまた知識人の獲得に懸命になっている。したがってすべての進歩的な知識人をわが党の影響下に獲得することは、必要で重要な政策である。
(九)宣伝の問題では、つぎの綱領を把握すべきである。(1)「総理遺言」を実行して、民衆をよびさまし、一致して抗日する。(2)民族主義を実行して、断固日本帝国主義とたたかい、対外的には中華民族の徹底的な解放をはかり、対内的には国内諸民族の平等をはかる。(3)民権主義を実行して、人民に抗日救国の絶対的自由をあたえ、各級政府を人民が選出し、抗日民族統一戦線の革命的民主主義政権を樹立する。(4)民生主義を実行して、苛酷で雑多な税金を廃止し、小作料と利子を引き下げ、八時間労働制を実施し、農工商業を発展させ、人民の生活を改善する。(5)蒋介石の「土地に南北の別なく、人に老若の別なく、なにびともみな国土をまもって抗戦する責務をもつ」という宣言を実行する。これらはみな、国民党自身が公表した綱領であり、国共両党の共同綱領でもある。だが、抗日という点をのぞいては、現在の自民党はどれ一つ実行することができず、それを実行できるのは共産党と進歩派だけである。これらはすでに人民のあいだに普及しているもっとも簡単な綱領であるが、多くの共産党員はまだ、民衆を動員し頑迷派を孤立させる武器としてそれを利用することを知らない。今後はいつでもこの五ヵ条の綱領を把握して、布告、宣言、ビラ、論文、演説、談話などのかたちでこれをひろめていくべきである。これは国民党の地域ではまだ宣伝の綱領であるが、八路軍、新四軍のいるところでは行動の綱領になっている。これらの綱領にもとづいて活動すればわれわれは合法的であり、われわれのこの綱領の実行に頑迷派が反対するならかれらこそ違法である。ブルジョア民主主義革命の段階では、国民党のこれらの綱領はわれわれの綱領と基本的にはおなじである。だが、国民党の思想体系は共産党の思想体系とまったくちがう。われわれが実行しなければならないのは、この民主主義革命の共同綱領だけであって、けっして国民党の思想体系ではない。
〔 ##訳注## 〕
① 本巻の『投降の策動に反対せよ』注〔2〕、注〔3〕にみられる。
② 開明紳士とは、地主、富農階級のなかで民主的色彩をおびた、ごく一部の人びとのことである。これらの人びとは、官僚資本主義、帝国主義とのあいだに矛盾があったし、封建的な地主、富農とのあいだにもある種の矛盾があった。詳細は、本文の(四)および本選集第四巻の『民族ブルジョア階級と開明紳士の問題について』にみられる。




