episode4
翌日、教室について早々、私は女子たちに囲まれた。
そのまま人気のないところに連れて行かれる。
「ねえ、どういうつもり?」
そう聞いてくるのは結奈。
「どういうつもりって…?」
私は何のことを言っているのか分からなかった。
でもその態度が結奈の気に障ったらしい。
「とぼけないでよ。昨日類くんと二人で歩いてたでしょう?」
あぁ、そのことか。
クレープ屋に行ったことはおいておいても、幼馴染なのに二人で歩くことも許されないのか。
そう思ったら、なんだかどうでもよくなった。
「歩いてたけど、それが?」
「なによ、その態度!」
「その前に一緒にクレープも食べに行ったし」
「類くんはみんなのものなんだから。一人で抜け駆けしないで。私、許さないから」
そう言って結奈とその取り巻きたちは去っていった。
しばらくしてから私が教室に戻ると、前よりさらに私に対する空気が悪くなっていた。
誰も私に反応しない。
「あ、未紘おはよー」
その時ちょうど入ってきた菜緒に救われる。
けどまたこちらを見ている結奈に気づいて、私は菜緒とも必要以上に関わらないようにしようと思った。
最近ちょうど菜緒が部活に入ったことで帰りが別々になっても不自然じゃなくなったからちょうどよかった。
菜緒以外の人と話さずに終わる日々にも慣れた。
類や蒼太ともほとんどしゃべっていない。
それでも私に対する周りの態度は変わらない。
そんな中。
「こんなのやめよーぜ」
そういったのは、類だった。
途端に私は責めるような視線を浴びる。
「だっておかしくない?同じクラスの友達じゃん」
私はうれしい反面、やめてほしかった。
類が私をかばえばかばうほど、私の立場は悪くなる。
それでも類はやめない。
「類くん、なんであんなに佐倉さんをかばうんだろう」
「類くんと蒼太くんはみんなのものなのに」
「佐倉さんが悪いんじゃん」
そんなささやき声で、徐々に教室が騒がしくなる。
「…未紘、帰ろ」
教室の喧噪の中でその声はやけに響いて聞こえた。
いつかと同じように私は半ば強引に腕を引かれて教室を出る。
出る直前に類と結奈が見えたが、何かにひるんでいるような表情をしていた。
今度は類は追ってこなかった。
「蒼太、」
廊下の角で止まった。
「ごめんね、勝手に連れてきちゃった」
「ううん、ありがとう」
「類は、バカだね」
「そうかもね」
「これから、また一緒に帰ろうか」
「いいの?ほかにも誘ってくれる子いるでしょ?」
「僕はいいの。そんなに得意じゃないしああいうの」
そういって蒼太は微笑む。
その笑みはいつも私に向ける顔で、安心感があった。
「それに、僕はああいう子より未紘と帰りたいし」
「ありがとね」
最後の言葉に少しばかりドキッとしたことは隠して私は言った。
「今日、クレープ行こうか」
「行く!」
そういって先を歩く未紘の後ろ姿を眺めてふと立ち止まる。
「僕が守るから…」
そうつぶやいた声はまだ未紘には届かない。
まだ、届かなくていい。
「蒼太?何やってるの、早く行くよ」
僕は早足で未紘に追いついた。




