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となりの君へ  作者: 深織
3/8

episode3

とりあえずあれ以上喧嘩が進行しないうちに家に着いたからよかったものの、翌日からは学校での私の立場が危うくなった。


女子があからさまに私を避ける。


みんな、話しかけても無視するかそっけない返事が返ってくるだけ。


菜緒にも話しかけてみると、菜緒は普通に話してくれた。


「ねえ、私って避けられてるよね多分」


「まあ、確かにそうかも。もっぱら類くんとか蒼太くんとかの近くにいる未紘が気に入らないんでしょ」


「菜緒は?なんで私を避けないの?」


「だって別に私2人に大して興味ないし。というか、応援してる派だし」


「応援?誰を?」


私は類のことが好きだと菜緒は言ってないはずだし。


「不憫な優しい男の子」


「えっ?蒼太?相手は??」


蒼太にそんな相手がいるなんて初耳だ。


だけど、菜緒は私を見ていたずらそうに笑った。


「内緒」


「えー、なんでよー」


そう言いながら何気なく蒼太の方を見た私はこっちを見てた蒼太と目があった。


こっちを見て微笑む蒼太の笑顔がいつもと違って見えた。


なぜだか目が離せない。


我に返った時その後ろで睨む結奈と目が合った。


なんとなく咄嗟に視線を菜緒に戻した。


落ち着かなくて菜緒に話題をふる。


「菜緒は?好きな人とかいないの?」


「私は今はいいかなあ。部活忙しいし。未紘はいないの?」


自分に返ってくる可能性を全く忘れていた。


「あ、顔赤い!いるんだ。だれだれ?」


菜緒が騒ぎ出す。


これは言わないと収まらないやつだ。


けど教室内で言うのは気が引けたので、菜緒の腕を引いて廊下に連れ出す。


「で、誰?」


「えっと…類」


「原田類?」


「うん」


「あー複雑だあ」


そういいながら笑っている菜緒。


「何が?」


私はわけがわからない。


「いいのいいの。こっちの話」


納得はできなかったがまあいい。


「でも、類くんかあ。大変そうだね、ばれたら何されるかわかんないし。応援してるわ」


私はこの言葉を聞いて、何が何でもばれないようにしようと心に誓った。



初日以降、私は類とも蒼太とも帰らなかった。


相変わらず二人とも結奈に誘われていて最初の何日かは私の様子を伺うようなこともあった。


しかし、そのたびに私が断るようなそぶりを見せていたら、だんだんそれもなくなった。


寂しいような気もしているが日々の安定のためには仕方ないことだった。


「いいの?毎日別だけど」


菜緒が心配そうに聞いてくる。


「いいの。これ以上変な波風立てたくないから」


私は苦笑しながら言った。


それでもやはり私たちの家が並ぶ通りを1人で歩くのは寂しかった。


私が家の鍵を取り出した時。


「未紘!」


「類?」


背後から叫んだのは類だった。


「他の人は?」


「撒いた」


「撒いたって」


それは大丈夫なんだろうか。


「それよか、ちょっとついてきて!」


そう言って類は私の腕を掴んだ。


そのまま走るから私は抗うすべもなくついていった。


ようやく止まったのは近所で最近話題のクレープ屋。


「ここ!」


「クレープ?類甘党だっけ?」


「最近そうなの!入りたかったんだけど1人じゃ入りづらいから」


そういうことなら結奈たちを誘えばいいのにと思いつつ店に入る。


無理やり連れてこられて乗り気じゃなかったものの、ここのクレープは私の大好物だ。


なんとなくテンションが上がる。


「どれにする?」


2人でメニューを眺める。


「待って今、ティラミスと苺で迷ってる」


私がそういうと類がレジに歩いていってしまう。


「すみません、ティラミスと苺1つずつください」


「え、いいの?類は?」


「半分こすればいいだろ」


そういう類は有無を言わさない雰囲気で私はそれ以上何も言わなかった。


2人席について食べる。


「んー、苺おいしー!」


「ほら、未紘、こっちも」


そう言って類がティラミスの方を差し出す。


「ありがと」


私はありがたくティラミスも口にした。


その間に私がさっきまで食べていた苺のクレープを類がかじる。


「甘っ」


思わず顔を顰めた類に驚いて思わず聞く。


「甘党って言ってたの、もしかして嘘?」


類が黙る。


「やっぱり。なんで苦手なのに来たのよ」


私は問い詰める。


難しそうな顔をして黙っていた類が口を開く。


「だって未紘、最近変だから。なんかやなことでもあったのかと思って」


「…私のため?」


「ここのクレープ好きって蒼太が言ってたの思い出して、それで」


「なんかごめん」


クレープを食べて直る問題でもないけど。


それでも類が私のためにしてくれたことは嬉しかった。


「ありがとう」


類がほのかに驚いたような顔をする。


それから微笑んだ。


「よかった」


それから無事2つのクレープを私が完食して、久しぶりに一緒に家に帰った。


「じゃ、また明日」


「バイバイ」


笑顔で別れた私たちを遠くから見る存在に私たちは気づいていなかった。

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