第1章:渋々解読する者
軍用輸送機の中で、若者が師匠と会話を交わしていた。彼の髪は茶色で、目は美しい琥珀色をしていた。
「先生、どこへ向かっているのですか?」
「仁川だ」
「仁川?」
「ああ。そこで墓が発見され、数多くの遺物が発掘された。軍が我々を招き、古代の碑文を解読するよう依頼してきたのだ」
「僕たち?解読?先生、僕たちってただの偽学者じゃないですか?」若者は前方で警戒態勢の兵士たち――サブマシンガンを構えた姿に不安げに目をやった。そして小声で続けた。「僕たち、現代語すらまだ完全に習得できてないのに!」
「シーッ、声を抑えろ!彼らに聞かれるな。俺には無理だが、お前ならできる。お前の祖父は日本人じゃなかったか?東洋の文字を教えたはずだ」
「少しは習ったけど…」
「しっ、もうすぐだ」
翌朝、若者は目の下に濃いクマを浮かべて部屋から出てきた。廊の向こうでは、先生もちょうど出てきたところだった。
「先生、一晩中考えたんです。これは危険すぎます。正直に話して引き返すべきです」
「心配するな。でたらめをでっち上げて騙せばいい」
「でも…」
「何だ?この報酬がどれほどか分かっているのか?豪華な家に住みたいと思わないのか?新鮮な果物を食べたいと思わないのか?」
「それは…」
「そうだろう。さあ行こう」
廊下の先で、将校風の服装の男が待っていた。幾重もの身元確認を経て、厳重に警備された研究所へ足を踏み入れた。
白衣姿の数人が温かく迎えた。
年配の研究者が口を開いた。「新参の諸君に、ここでの状況を説明しよう」
「三年前、仁川南東部に古代の墓を発見した。驚くほど古いものだ」
「内部からは多くの発見があったが、最も奇妙なのはこの二つ――いや、一つだ」
彼はボタンを押した。
実験室の中央で、四角い実験台がゆっくりと上昇した。
その上空に浮かんでいたのは二つの物体。
一つは約30センチの木製の杖、もう一つは王冠だった。
「これらは実に非凡な遺物だ!」と上級研究者は断言した。「発見時、これらは既に宙に浮いており、決して分離できないのです!」
そう言うと、彼は別のボタンを押した。
実験台の両側から二本の機械アームが現れ、上方に伸びて木製の杖と王冠を掴んだ。
「この機械アームの把持力は25トン。ご覧の通り、二つの物体の距離は全く変化していません」
「信じがたい!」
「三年間研究を重ねても、その秘密は解明できていない」
彼は物体を指さしながら続けた。「双方に古代文字と思われる神秘的な記号が刻まれている。数多くの言語学者を招いて解読を試みたが、満足のいく成果は得られていない」
彼は若者とその教師に向き直った。「お二人に正しい答えを導いてほしい」
「精一杯努力します」
教師が前に進み出て、木製の杖と王冠の両方に刻まれた文字列を確かめるように顔を上げた。その言葉の意味は? 彼には見当もつかなかった。
皆を欺く嘘をでっち上げようとしたその時、背後から恐怖に震える声が聞こえた。「君…君には見えないのか?」
「何?」
全ての視線が若者に注がれた。
若者は恐怖に凝視したまま実験台を見つめていた。
彼は木製の杖と王冠に刻まれた文字をはっきりと見えている。その意味を理解できた――それ以上に…
「イーサン、何が見える?」
「私…刻印が見える、それと…」
「解読できるか?」
「できると思う…『心の内なる世界を探求せよ』と『全てのエネルギーを融合せよ』――この二つの言葉?」
「他に?」
「私…木製の杖と王冠から二人の人物が現れるのが見える。一人は古代東洋の衣装を纏い、もう一人は僧侶のようだ!」
「くそっ!なぜ俺たちには何も見えないんだ!?」
「急げ!実験室の装置を全部調べろ!」
実験室の混乱の中、青年イーサンは突然叫び声を上げると、姿を消した!
彼と共に実験台の二つの物体——木製の杖と王冠——も消え去った。
実験室の警報が即座に鳴り響き、兵士たちが施設に殺到した。
実験室は封鎖され、今日の出来事は最高機密に指定された。地球の一般市民がここで何が起きたかを知ることは決してないだろう。