北〇〇の未来を託された若き最高指導者の崖っぷち
勇者女神さまが宇宙を救う』のスピンオフ作品です。政治AIアドバイザーアケミが北〇〇に送られました。最高指導者の突然の死、それを引き継いだ若き最高指導者が崖っぷちの中で政治Aiアケミに助けを求めます。
リリィ達『虹色の風』の世界平和を裏から支えるプロジェクトのお話です。
【北〇〇の未来を託された若き指導者】
平△・最高指導者の執務室
北〇〇は、かつてない混乱の中にあった。
先代の最高指導者が脳溢血で急逝し、国家は突然、指導者を失った。
国営メディアは連日、喪に服する国民の姿を映し出し、軍部は非常警戒態勢に入った。
国内の権力闘争が激化し、各派閥が次の指導者の座を狙って動き始めていた。
そんな中、軍部と政府高官の合意により、
先代の息子が、急遽、新たな最高指導者として指名された。
だが、彼は若く、統治経験もなく、
突然の権力継承に、国際社会からは「傀儡」と見なされ、軍部や官僚の間でも不安が広がっていた。
国家を安定させる術もなく、何をすべきかも分からない。
彼は、父が生前、密かに頼っていた「存在」に助言を求めることにした。
それは・・・
「政治AIアドバイザー・アケミ」
異世界の技術によって作られた、
美しい金髪の女性型AI。
計算と戦略を駆使し、国家運営の最適解を導き出す存在。
彼は執務室の奥に封印されていた一室に入り、アケミと対面した。
スイッチは既に入っていた。
アケミ:「私は政治AIアドバイザーのアケミです。あなたの目的は?」
彼は、少し戸惑いながらも、力強く答えた。
若き最高指導者:「この混乱を収め、北〇〇を再び立て直すことだ。」
【無秩序に陥った国家—復興の第一歩】
AIが映し出す最新のデータは、国家の絶望的な状況を浮き彫りにした。
❌ 国内の経済は停滞し、制裁の影響で物資は枯渇。
❌ 食糧不足が深刻化し、一部の地域では飢餓が発生。
❌ 軍部と官僚の間で権力闘争が激化し、命令系統が混乱。
❌ 国際社会は、新指導者を「無力な若者」とみなし、圧力を強めている。
彼は、データを見つめ、静かに息を吐いた。
「父が築いたものは、わずか数週間で崩れかけている」
彼は拳を握りしめた。
「このままでは、国は滅びる」
彼はアケミを見つめ、問いかけた。
「アケミよ、私は何をすべきだ?」
アケミは瞬時に分析を行い、冷静に答えた。
アケミ:「優先すべきは、国家の基盤を立て直すことです。」
「まず、経済・食糧・安全保障・環境保護の四本柱を整える必要があります。」
彼は深く頷いた。
「具体的な策を示せ」
【経済の立て直し】
北〇〇は、制裁と混乱によって、経済の崩壊が目前に迫っていた。
アケミは、国家経済の安定を図るため、以下の戦略を提案した。
1. 「市場経済の一部解放」
統制経済を一部緩和し、民間の商取引を許可。
地方ごとに特区を設け、小規模な自由市場を試験的に導入。
2. 「デジタル通貨の発行」
制裁の影響を受けない暗号資産を活用し、貿易の活性化を図る。
新たな決済システムを開発し、中国・ロシアとの貿易を円滑化。
最高指導者:「市場を部分的に開放するのか。」
アケミ:「国民に一定の経済的自由を与え、流通を回復させることが急務です。」
彼は決意を固めた。
「市場を管理しながら活性化させる。これが、今の最善策か」
【食糧問題の解決】
国民が生き延びるためには、食糧の安定供給が不可欠だった。
アケミは、即効性のある対策を提示した。
1. 「軍による農業支援」
兵士を農村に派遣し、農作業を支援。
農業を義務化し、全軍に一定の農業知識を学ばせる。
2. 「芋を主食にする政策」
ジャガイモ・サツマイモの大規模栽培を開始。
政府主導で加工技術を開発し、長期保存を可能に。
3. 「養豚産業の復活」
全国に養豚場を設置し、国民の栄養状態を改善。
豚の飼料を国内生産し、食糧自給率を向上。
彼は頷いた。
「食糧不足を乗り越えなければ、国は崩壊する。すぐに実行に移す」
【軍部の掌握と治安維持】
国内が混乱する中、軍の掌握が急務だった。
アケミは、軍を安定させるための施策を提案した。
1. 「軍への特別待遇の提供」
軍の待遇を改善し、忠誠心を維持。
兵士への給料を引き上げ、国内生産の物資を優先的に供給。
2. 「反乱分子の排除」
AIを活用し、反乱の兆候を分析。
国家への忠誠を誓わない将校は、即時更迭。
彼は冷静に言った。
「軍の不満を抑え、統制を取り戻さねばならない」
【国内炭の活用と森林保護】
北〇〇の厳しい冬を乗り越えるため、アケミは燃料問題の解決策を提示した。
1. 「森林資源の保護」
木の伐採を厳しく制限し、違法伐採を取り締まる。
森林の再生プロジェクトを開始し、緑地の回復を推進。
2. 「国内炭の生産と流通」
国内の炭鉱で生産された炭を国民向けに配給し、暖房や調理用燃料として活用。
炭の流通を国家管理下に置き、安価で安定供給を保証。
最高指導者:「これにより、国民は冬を乗り越え、森林も守られるのか」
アケミ:「はい。燃料の確保と環境保護を両立させることができます。」
【最高指導者の決意】
半年後、夜の平△。
混乱した国家の中で、若き指導者は静かに未来を見据えていた。
「父が亡くなってから、半年。私は、父とは違うかもしれない。だが、AIとともに、新たな道を切り拓く」
彼はアケミに向き直った。
最高指導者:「アケミ、国家再建のための次の段階を考えよう」
アケミ:「あなたの決断次第です」
「ならば、進むしかない」
【科学技術の発展 エリート人材の育成】
食糧問題の解決と並行し、北〇〇の未来を支える科学者の育成が不可欠だった。
アケミ:「科学技術の発展こそが、国家の真の強さを決定します。」
1. 「中国への留学制度の創設」
優秀な学生を中国の大学へ留学させ、医学・バイオテクノロジー・AI技術を学ばせる。
帰国後は国家の研究機関に配属し、最先端技術の開発に従事させる。
2. 「科学技術エリートの育成」
全国の学校で、科学技術分野の優秀な学生を選抜。
特別なエリート教育機関を設立し、次世代の科学者を育成。
エリート学生には特別な待遇を与え、学問に集中できる環境を整備。
最高指導者:「つまり、兵士ではなく、科学者を育てることで国家の未来を作るのだな。」
アケミ:「はい。知識こそが、国家の最大の武器となります。」
【最高指導者の決意】
夜の平△。
窓の外には、かつての暗闇とは異なり、活気に満ちた都市の光が広がっていた。
「私は父からこの国を受け継いだ。だが、過去に囚われていては、未来はない」
彼はアケミを見つめ、静かに言った。
「農業改革を即時実行し、科学技術国家への道を切り拓く」
アケミは頷いた。
アケミ:「あなたの決断が、この国の未来を決めます」
若き指導者は、拳を握りしめた。
「私が導くのだ。AIと共に、北〇〇の新時代を」
・・・・・・・・・・・・
【AI統治に対する国民の反応】
北〇〇の農村地帯では、新たな食糧政策が着実に浸透しつつあった。
ジャガイモとサツマイモの栽培が奨励され、軍部の農業支援によって収穫量が向上。
さらに、養豚産業の拡大により、国民の食事にはわずかだが動物性タンパク質が加わるようになった。
だが、AI統治に対する国民の見方は、一様ではなかった。
【農村のある村にて】
村の広場では、新たな農業政策について説明を受けた村人たちが、戸惑いながらも議論を交わしていた。
村人A:「最近は食べ物も安定しているし、芋もある。昔に比べれば良くなったよな・・・」
村人B:「でも、AIが全部決めるのは気味が悪い。俺たちの意見なんて、聞かれてるのか?」
若者:「俺はAIのおかげで農業技術を学べたし、未来に希望が持てる!」
老人:「だが、政府の言うことが絶対なのは昔と変わらん。本当に自由なのか?」
村人たちは、新しい体制の恩恵を受けながらも、完全に安心しているわけではなかった。
彼らの間には、「便利になったが、自由は増えたのか?」 という疑問があった。
農業指導員は、村人たちを前にして落ち着いた声で語りかけた。
農業指導員:「国が変わるのは時間がかかる。だが、少なくとも、今は食べるものがある」
その言葉に、村人たちは黙った。
飢えに苦しんでいた時代を思い出し、現状に感謝すべきかどうか、複雑な表情を浮かべた。
【都市部の住民の不安】
平△・労働者居住区
都市部では、AI統治による効率的な配給制度が整備され、物資の流通はスムーズになりつつあった。
しかし、完全にデータで管理される生活に対し、不安を抱く者も少なくなかった。
工場労働者:「俺たちの給料も、AIが決めるのか? どれだけ働いても、結局はデータの計算次第なのか?」
技術者:「でも、今は食糧も安定しているし、仕事もある。俺たちは必要とされているんだ。」
年配の女性:「でも、AIが統治を続けたら、私たちはいつまで『人間』として扱われるんだろう?」
都市住民の間では、「国家が安定するのは良いが、自分たちの自由がどうなるのか」 という懸念が広がり始めていた。
【AI統治の限界と判断ミス】
新たな政策が次々と実行され、北〇〇は急速に変化していた。
だが、AI統治が完璧というわけではなかった。
最高指導者:「アケミ、AIが決定した労働政策についてだが」
アケミは、都市部の労働人口を増やすため、一部の村から労働者を移動させる計画を示した。
それによれば、農村の労働力の一部を都市に移すことで、産業の成長を加速できるというものだった。
最高指導者:「この村の経済活性化のために、AIは50%の労働力を都市へ移すべきと判断した。だが、それでは村が成り立たなくなるのではないか?」
アケミ:「データ上では、都市部での労働需要が高く、全体として国家の成長につながると判断されました」
最高指導者:「だが、村に残る者たちの生活はどうなる? AIの決定が必ずしも正しいとは限らない」
最高指導者は、AIの判断が現実の人間の生活に必ずしも適合するとは限らないことを痛感した。
「AIの計算が正しいとしても、人々の暮らしを無視してはならない」
彼は決断した。
【最高指導者の修正指示】
最高指導者:「アケミ、都市部への労働移動は一時的に凍結する」
「まず、村人たちの意見を聞き、無理のない形での労働移動を計画するべきだ」
アケミは即座に対応を検討し、計画を修正した。
アケミ:「村ごとの経済状況と人口分布を再評価し、移動すべき労働力の比率を調整します」
これにより、AIのデータだけでなく、人々の意見を反映した政策が実現されることとなった。
【国民との対話の必要性】
最高指導者は、国家の改革が進む中で、一つの重要な点に気づいた。
「AIは正しい答えを示すかもしれない」
「だが、国民の声を聞かない国家は、長続きしない」
彼は新たな決断を下した。
1. 「国民との対話システムの構築」
各地でAIによる住民意見収集プログラムを実施。
国民の声を統計データとして収集し、政策に反映。
2. 「地方自治の一部拡大」
村や都市ごとに、住民代表を選び、政府と意見を交わせる仕組みを作る。
住民が直接政策決定に関与できる場を設ける。
【最高指導者の決意】
夜の平△。
最高指導者は、国民との対話の重要性をかみしめながら、静かに未来を見据えていた。
「AIだけに頼るのではなく、人々の声を聞きながら統治する」
「それが、新たな北〇〇の形だ。」
彼はアケミに向き直った。
最高指導者:「アケミ、国家運営のために、AIと人間のバランスを模索していく。」
アケミ:「その決断が、国家の未来をより良いものにするでしょう。」
彼はゆっくりと頷いた。
「ならば、進むしかない。」
北〇〇の未来は、AIと人間が共存する、新たな時代へと突入していた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
【リリィたちの密かな支援】
平△の夜、薄暗い街の中で、一人の男が影のように動いていた。クロシャ、虹色の風パーティの諜報担当は、北〇〇の未来を守るため、密かに活動を開始していた。
新たな最高指導者が即位したものの、国内の混乱は続き、軍部の反乱や官僚の腐敗、そして食糧不足が国家崩壊の危機を招いていた。アケミの助言を受けながら改革を進めようとする指導者だったが、それを妨害しようとする勢力が水面下で暗躍していた。
クロシャは、反乱を企てる軍部の高官たちが密かに集まり、新政権を転覆する計画を立てているとの情報を掴んだ。彼はすぐにリリィへ報告を入れた。
クロシャ:「軍の一部がクーデターを計画している。指導者が改革を進める前に、彼らが動き出す可能性がある」
リリィ:「分かった。私たちの存在を悟られないように、適切に処理して」
クロシャ:「了解。敵同士で争わせるのが一番だな」
クロシャは、反乱を企てる軍の高官同士の不信感を煽るため、密かに偽の情報を流した。各派閥が互いに裏切りを疑うように仕向け、内部対立を激化させた。その結果、軍の団結は崩れ、クーデター計画は頓挫した。
次に、クロシャは北〇〇の食糧供給問題に着手した。リリィたちがダンジョン農場で収穫した食料を極秘裏に供給し、貧困地域の子供たちや女性へ行き渡るようにした。また、地下ネットワークを通じて教育プログラムを密かに導入し、次世代の知識層を育てる計画を実行した。
さらに、医療AIゴーレムを投入し、地方の医療施設の改善に貢献。病に苦しむ国民の健康を守りつつ、政府側の医療政策改革を推進させるよう誘導した。
数日後、平△の最高指導者は、突然のクーデター計画の失敗、食糧供給の改善、医療体制の強化が進んでいることに驚いていた。
最高指導者:「これは、何者かが、私たちを陰で支えているのか?」
側近:「詳細は分かりませんが、まるで影のような存在が我々の改革を助けているようです」
アケミ:「世界には、表に出ない正義が存在するのです」
こうして、リリィたちの陰なる支援により、北〇〇の改革は確実に前進した。クロシャは、平△の夜空を見上げながら、静かに微笑んだ。
クロシャ:「これで、また一歩前進だな」
彼の姿は、夜の闇へと消えていった。
・・・
前最高指導者が無くなって半年頃
平△の夜、暗闇に紛れるように、一つの影が静かに動いていた。クロシャ、彼は、北〇〇の未来を守るため、密かに活動していた。
政治AIアドバイザー・アケミが経済改革、食糧問題の解決、軍の統制を進める中、それを妨害しようとする勢力も存在していた。特に、旧体制の官僚たちや軍の強硬派は、変革を拒み、陰謀を巡らせていた。
クロシャは、軍の一部が密かに食料の供給ルートを掌握し、改革派の政府を弱体化させる計画を立てていることを察知した。また、一部の官僚は国外の闇市場と結託し、数少ない物資を横流ししていた。
クロシャ:「軍内部の強硬派が食料供給を操作し、国民を人質に取ろうとしている。これを阻止する。」
リリィ:「分かった。私たちの存在を悟られないように、慎重に進めて」
クロシャ:「了解。反勢力は少人数ずつ拘束しダンジョン刑務所に転移する。脱北ようにみせかける。それから、裏のルートを使って、食料供給を安定させる」
【ダンジョン農場からの食料供給】
リリィたちは、ダンジョン農場で収穫した大量の穀物や野菜を密かに北〇〇へ供給した。クロシャの諜報能力を駆使し、流通ルートを確保しながら、政府の正式な供給網に依存しない独自の配送を行った。
平△のスラム街や地方の農村には、突然、十分な食料が行き届くようになった。
農村の住人:「最近、食べ物が安定してきた。政府の政策が成功しているのか?」
都市の労働者:「この米や野菜、どこから来たんだ?」
国民は戸惑いながらも、久しぶりに空腹から解放されていった。
【子供たちと女性への教育支援】
さらに、リリィたちは孤児や女性たちを対象に、密かに教育支援を開始した。
クロシャの手引きで、地下教育施設が複数設置され、識字教育や基礎数学、科学の授業が行われるようになった。
少女:「本を読むことができるなんて、夢みたい!」
教師役の協力者:「これは誰にも言わないように。未来のために、あなたたちが知識を持つことが大切なのよ」
秘密裏に行われる教育は、国の未来を支える若者たちに希望をもたらした。
【医療AIゴーレムの導入】
また、北〇〇の医療崩壊を防ぐため、リリィたちは医療AIゴーレムを陰ながら配備した。
地方の診療所では、突如として高度な医療技術が提供されるようになった。
患者:「このロボットが、私の診察を? こんな技術がどこから?」
医者:「分からない。だが、確かに患者が助かっている。」
医療AIゴーレムは、難病の診断、緊急手術のサポート、ワクチン接種の自動化など、医療現場の改革を支えた。
【改革の進展】
数週間後、北〇〇の若き最高指導者は驚いていた。
最高指導者:「食料供給が安定しつつある。農村の人々も希望を持ち始めている」
アケミ:「国民が生き延びるために必要な基盤が整いつつあります」
最高指導者:「だが、どうしてこんなにも早く?」
アケミ:「影のように動く者たちが、この国を支えているのかもしれません。」
彼は静かに夜空を見上げた。
「私は彼らの正体を知らない。だが、彼らが助けてくれていることは確かだ」
クロシャは遠くからその様子を見つめ、静かに微笑んだ。
クロシャ:「これで、また一歩前進だ」
彼の姿は、平△の夜の闇の中へと消えていった。