表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/15

タクシーの応用と困った時のAI

「そういえば的矢さん、帰りはどうします?」

「どうする、とは?」

「このままだと、帰りもタクシーになりそうじゃないですか。ですけど、場所的にタクシーを呼んで来てくれますかね?」

「ふむ、良い所に目を付けたな照乃。実を言うと、これは結構重要な問題だ」


 重要、という単語を聞いて照乃の表情がより真剣になった。実際、これは大切なことなのでしっかり聞いてほしいところだ。


「照乃の言う通り、場所によっては駅から遠かったりバス停がなかったり、あっても本数が少なかったり早めにその日の最終便が来てしまうところもある」

「山奥とかだと普通にあり得そうですね」

「面積が広く、自然が多い都道府県では珍しくない。そういう場合、タクシーも来るのにやたら時間がかかることがある。どのタクシー会社に電話しても、1時間待ちとかあったな」

「そ、それは時間節約が命の的矢さんの旅行では致命的ですね」

「まあ、そういうところは自家用車で来るのが良いだろうな。俺の旅行は基本電車とバスと歩きだが、それだけでは厳しい地もある」


 実際、10個近くのタクシー会社に電話して、ようやく15分くらいで来れると言われた時は救われた思いだったなあ。


「そこでだ、対策なんだが……タクシーの運転手に目的地の駐車場で待っててもらうんだ」

「そ、そんなこと出来るんですか?」

「出来るとは限らない、あくまでタクシーの運転手の許可が出た場合だ。OKの場合は目的地の観光を済ませて駐車場に戻ってくれば、行きで使ったタクシーが100%待っててくれる」

「新たに呼ぶ必要がないですから、先程の不安要素が無くなりますね!!」

「もちろん、観光は急いで行ってくる必要があるぞ。可能な限り運転手の方を待たせない配慮は必要だ」


 これに関しては、お互いの気遣いが大事だ。あらかじめ「急いで行ってきます!!」と伝えた方が良いだろう。


「あと、究極の技としては……一日ずっと同じタクシーに乗せてもらい、その都道府県を案内してもらうんだ」

「そ、そんなことも出来るんですね……」

「もちろん運転手の許可が出た場合の話だし料金もかかるが、なにせタクシーの運転手はその地を知り尽くしているわけだからな。お金がかかってもいいから計画を立てた場所をすべて回りたいという場合は、案外悪い手じゃない」

「ネットでは載ってない情報を得ることも出来るかもしれないですね」

「そういうことだ。リアルタイムの情報や細かい情報はネットに載っているとは限らない、現地の人の情報で救われるというのは旅行をしていればまず遭遇するぞ」


 実際、タクシーの運転手との会話で得た情報でその後の旅行がスムーズに進むようになるというのは珍しくない。積極的に会話はすべきだろう。


「運転手さん、目的地に着いたら駐車場で待っててもらえますか?」

「もちろん良いよ。2人を見ていると微笑ましくなってくるからね」

「やりましたね、的矢さん!!」

「あ、ああ」


 照乃の弾けるような笑顔に、思わず顔を赤くしてしまった。照乃クラスの美少女にこの笑顔は、さすがに反則だ。目的地に着き、少々早足で歩き始めた。


「さて照乃、今日の観光も時間的に半分をすぎるところだが、タイムテーブルやグルメの消化具合はどうだ?」

「ふむ、今のところは順調ですね」

「これに関してはこまめにしておきたいところだ。タイミングとしては公共交通機関に乗っている時や、食事を注文して来るまでの待ち時間、とかな」

「予定が狂っている場合はどうするんですか?」

「そこは取捨選択をしていくしかない。あらかじめ優先度は決めておきたいし、ここで駅で買える土産やグルメを調べたり味わったりしておいたのが生きてくるんだ」

「それがあるとないとでは、大違いですね」


 実際、ここで売っているだろう、味わえるだろうと思ったものがないとか売り切れなんてのは珍しくない。リカバリーの策は講じておくに越したことはない。


「あと、目的地の取捨選択をする際にAIにお願いするということもできる」

「AIに、ですか?」

「例えば『今〇〇時で△△にいて、□□時までに♢♢駅に行かないといけない。この間に回れる名所を教えてください』とかな」

「で、出来るんですか、そんなこと」

「ああ。そうすると、その条件に該当する名所を教えてくれる。あとは細かい条件や好みをその都度入力して、最終的にどこか決めればいい。グルメも同様だ、これを食べたいんだけど、現在地を考えるとどの店が良いみたいに聞けばいいしな」

「凄いですね、今のAIは……」


 照乃の言う通り、今のAIの進化は本当に神がかり的といって良い。せっかくなのだから、便利なモノは使うべきだろう。


「これは咄嗟のアクシデントへの対応にも役立つぞ。例えば、目的地に着いたはいいが偶然お休みだったりすると、タイムテーブルを組み直さないといけなくなる」

「そ、それは厄介ですね」

「そういう時も『〇〇が休みだったから、明日に回す。代わりに△△に行くとして、今日この後のタイムテーブルを組みなおしてほしい』とか入力すれば、やってくれるしな」

「便利すぎですね……」

「ただしだ、忘れてはいけないのはAIは決して万能じゃないということ。AIに聞いた上でネットでも調べた方が良い、両者を合わせて判断するのが大切だ」

「了解です!!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ