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目的地の駅に着いたらやるべきこと

 新幹線に数時間揺られ、俺と照乃は今回の目的地についた。新幹線を降りると、照乃はスキップでもしているかのような軽い足取りで駅内を歩いていた。


「うーん、何だかウキウキしますね、心が躍ると言いますか」

「旅行ってのはそういうものだ。普段とは違う場所ってのは、それだけで心を高揚させてくれる」

「それじゃ的矢さん、早速最初の名所に行きましょう」

「ちょっと待った、照乃。その前にやることがある」

「え、的矢さんの旅行は時間との勝負じゃないんですか?」

「だからこそ、だ。目的地の主要な駅に着いたらまずすること、それは……お土産屋に行くことだ」


 照乃は俺の言葉に目を丸くしていた。まあ、確かに意外かもしれない。


「お土産って帰りに買うモノじゃないんですか? さすがに判断が早いと思うんですけど」

「慌てるな照乃、誰もこの時点で買うとは言っていない」

「どういうことですか?」

「お土産ってのは今の時代、名所に行けば大抵のところでは売っている。だが、品揃えは場所によって違う。結果……どこで買ったらいいんだろう? と迷うことになるんだ」

「た、確かに……あり得そうです」

「新幹線が停まる程の大きな駅のお土産屋さんとなれば、品揃えは基本豊富だ。この時点で買う必要はないとしても、何があるかくらいは把握しておくのが大切なんだよ。そうすれば迷っても『駅のお土産屋さんで買えば良い』という保険が出来るからな」


 実際、『次の名所で買えばいいか、でもあるかどうか分からない』という葛藤はあるあるだ。保険は作っておくに越したことはない。俺と照乃は早速、駅内のお土産屋に向かった。


「あと意外と見落としがちなのが……個数だ」

「個数、ですか?」

「これは職場に買っていく時とかによく発生する問題なんだが、10人そこらならまだしも15人を超える職場だと、単体でその個数が入ってるお土産は結構限られるんだ」

「確かに、10個前後の個数のお土産が多い印象がありますね、特にお菓子系は」

「なら2箱買えば良い、と言いたいところだがそれではお金がかかるし、荷物も多くなる。俺はリュックサックを使っているから、余計な」

「特にお菓子系は角ばった箱に入っているケースが多いんで、スペース取りますよねえ」


 ただでさえ旅行というのは解放的な気分ゆえに何でも買いたくなるのだ、荷物の量をいたずらに多くするのは避けたいところだ。


「でだ、このお土産のチェックなんだが、隅から隅までじっくりやる必要はない。それでは照乃の言う通り時間を消費しすぎるし、それこそ帰りにすればいい」

「つまり大まかに、ってことですか。何かコツはあるんですか?」

「有り体に言えば、その地の名産やグルメに関するモノだな。果物や海鮮や肉あたりが分かりやすい。その内容は事前に調べてあるわけだし、それに関するお菓子や加工食品をチェックしておくのが良い」

「了解です!!」

「あと、この時点で買っても良いお土産としては、1人用のお菓子なんかがあげられる。これはあくまでお土産としてではなく、自分で食べる用だ。電車やバスの待ち時間とかに食べる、いわゆる食べ歩き用だな、具体的には和菓子がお勧めだ」

「和菓子、日本の心ですねえ」


 国内旅行での和菓子の食べ歩きはやはり欠かせない。手も汚れにくいし、大きさ的にも丁度良くて日本文化の奥深さも感じられるからだ。


「それと、その地特有のグルメを扱っている飲食店が駅内にあれば、これも行っておきたい。そういうのを専門に扱っている店であれば、より良い」

「それは、名所を回りながらで良いんじゃないですか?」

「甘い、甘いぞ照乃。その地特有のグルメってのは、その地のどこでも食べられるわけじゃないんだ」

「そ、そうなんですか?」

「その地特有のグルメも、メジャーなモノからマイナーなものまで様々だ。一部地域や一部店舗でしか扱ってないモノもあるし、季節限定モノもある。ここで食べなくても他のどこかで食べられるだろう、という考えは危険だ」

「何だか妙に説得力がありますね……」


 そりゃ体験談だしなあ、何度それでその地特有のグルメを食べ損ねたか。


「だから、マイナーそうなその地特有のグルメを駅内の飲食店で扱っていたら、その時点で食べてしまった方が良い。駅ってのは誰もが拠点にするところだから、案外そういう店ってのは多いからな」

「なるほど。それじゃ、あれなんかどうですか?」

「ふむ……確かに事前にリサーチしておいた中では、マイナーな部類に入るだろうな。よし、食べて行こう」

「それじゃ、注文しますね!!」


 俺と照乃は注文した品物を受け取り、飲食スペースに移動して座り、舌鼓を打った。何度経験しても、この瞬間は良いモノだ。


「美味しいです!! 地元にも似たようなモノがありますけど、地域によってこれだけ違うんですね」

「地域によって、その料理に対する考え方や姿勢は違うからな。他にはないモノで個性を楽しむのも良し、こういうマイナーチェンジ的なモノで地域の特色を味わうのもまた良しだ」

「ふふ、今までは的矢さんが味わっているのを見ているだけでしたけど、こうして一緒に味わえるのは格別ですね」

「……そうだな」


 ご当地グルメというのは、一人で味わっても感慨深いモノだ。しかし、やはり他の人と一緒に味わうというのはまた違う魅力がある。それは……照乃みたいな魅力的な女の子と一緒だから、ってのもあるんだろうな。

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