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07 ミア様
ミア様は一度だって私に何か言ったことはなかった。
一度だって私の前に現れたこともなかった。
リオン様と一緒にいる時、遠くから寂しそうに、羨ましそうにこちらを見つめている、それがミア様だった。
リオン様から、ミア様のことを聞いたことはない。
私からも聞かなかった。
でも、親切な人が教えてくれる。
ミア様を本当に心配している人
ミア様を利用する人、
ミア様を嫌いな人。
入れ替わり立ち替わり、彼らは私の前に立ち、いろいろな事を教えてくれた。
ミア様とリオン様のこと。
リオン様のこれからのこと。
偶然だったのか、そうじゃなかったのか。
私には分からない。
でも、それはとてもいいタイミングだった。
リオン様が急いで帰ったその日、私はまた親切な人たちに捕まった。
そして聞いたのだ。
ミア様が、リオン様を捨てようとしていることを。