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02 まさかの王子様




 私が王子様だと思った人が、本当の王子様だと知ったのは、学園に通い出して暫くたってからだった。


「おはようございます。リオン様」


 初めは挨拶だけだった。

 助け起こされて、お礼を言って、名前を教えあった。家名は聞かなかったし、リオン様も言わなかった。

 学園だからそんなものだろう、そう思った。

 だから教室へ向かう途中でいつも会うと、ごく普通に声をかけていた。

 学園で初めての知り合いだ。それもすこぶる綺麗な男性。

 助けてもらったし、挨拶くらい普通―――――礼儀だと思っていた。

 舞いあがっていたのもあるし、まだまだ緊張していて、周りの人たちがどんなふうにしているか良く見えていなかった。


「今日はどこを見学しているんだい?」


 少し学園に慣れて、休み時間に学園内を探索していると、そう声をかけられた。

 同じクラスの人たちは挨拶も返してくれなかったから、声をかけられることが嬉しかった。案内するよと言われて、甘えた。

 その時もまだ、本物の王子さまだって知らなかったから。


 なんとなく姿を見かけると声を掛け合い、立ち話をするようになったころ、遠巻きにしていた一部の女子生徒が、すれ違いざまに教えてくれた。


「貴女、少し身分を考えたら?」

「あなたみたいな人がミア様を差し置いて殿下の側にいるなんて」


 冷たい声に振り返ると、同じクラスの女子生徒が睨んでいた。


 入学してから、挨拶をしても無視され、何かを尋ねても答えてくれる人はいなかった。

 どうしてだろうとずっと思っていた。


 自分が庶子だからだろうかとか、途中入学だからだろうかとか、いろいろ考えていた。


 でも、そうじゃなかった。

 転入してすぐから王子様によく声をかけられる私をどう扱うべきか迷っていたのだ。






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