15 それから
いつでも気になることは、やっぱりリオン様のことだった。
リオン様はどうなったのか。
リオン様がどうしているのか。
すごく、すごく、すごく、気になった。
けれどミア様に
「カレン様、もしリオン様がカレン様に会いたいと言ったら……会っていただけますか?」
と聞かれて、私は首を振った。
――――会えるはずはない、と。
ミア様は、小さく頷いて、もう二度とそのことを口にしなかった。
ミア様は言った通り、ミア様は何度も何度も教会へとやってきた。
その時はいつもヒューイ様が一緒だ。
ミア様が恋愛小説を語り、暴走しはじめると苦笑しながら引き摺って帰って行く。
ミア様たちが来てからは、母も、奥様にお兄様も。それに、学園で一緒だった人たちが代わる代わる尋ねて来るようになった。
教会に寄付をしてくれ、子どもたちに勉強を教え、遊んでくれる。
その上、彼らに仕事も斡旋してくれた。
「罪滅ぼしだから」
と、私にもよくしてくれる。
そして、みんな帰り際には、いつも何か言いた気な顔をする。
聞きたくて、言いたい。
そんな顔。
きっと、リオン様のことなんだと思う。
でも私は自分からリオン様の事を聞いたりしなかった。
それは、私から聞いてはいけないような気がしたから。
私は、二年目の春、ミア様の紹介で王都から離れた修道院へと移った。
もっと厳しい場所、そう思ったのに、あまり変わらない場所だった。
そして、あの日から三年の月日が過ぎた。




