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婚約解消は君の方から カレンの話  作者: 水瀬


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15/16

15 それから




 いつでも気になることは、やっぱりリオン様のことだった。

 リオン様はどうなったのか。

 リオン様がどうしているのか。


 すごく、すごく、すごく、気になった。







 けれどミア様に


「カレン様、もしリオン様がカレン様に会いたいと言ったら……会っていただけますか?」


 と聞かれて、私は首を振った。




――――会えるはずはない、と。




 ミア様は、小さく頷いて、もう二度とそのことを口にしなかった。



















 ミア様は言った通り、ミア様は何度も何度も教会へとやってきた。

 その時はいつもヒューイ様が一緒だ。

 ミア様が恋愛小説を語り、暴走しはじめると苦笑しながら引き摺って帰って行く。


 ミア様たちが来てからは、母も、奥様にお兄様も。それに、学園で一緒だった人たちが代わる代わる尋ねて来るようになった。

 教会に寄付をしてくれ、子どもたちに勉強を教え、遊んでくれる。

 その上、彼らに仕事も斡旋してくれた。


「罪滅ぼしだから」


 と、私にもよくしてくれる。

 そして、みんな帰り際には、いつも何か言いた気な顔をする。


 聞きたくて、言いたい。


 そんな顔。


 きっと、リオン様のことなんだと思う。


 でも私は自分からリオン様の事を聞いたりしなかった。

 それは、私から聞いてはいけないような気がしたから。



 私は、二年目の春、ミア様の紹介で王都から離れた修道院へと移った。

 もっと厳しい場所、そう思ったのに、あまり変わらない場所だった。






 そして、あの日から三年の月日が過ぎた。






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