01 プロローグ
運命って面白い。
本当なら、一生男爵家の侍女として生きる筈の私が、男爵家の跡取りになって、学園に通うことになるなんて。
そして、小説みたいな出会いとか、恋とか。
何度考えても笑ってしまう。
私の物語の始まりは、編入初日だった。
父には、婿を探して来いと、
母からは、ここから逃げられるようにしっかり勉強しろと、
奥様からは、女のお友達をたくさん作って楽しい学生生活を、
と送りだされた。
兄がいれば絶対見ることのなかった貴族が通う学園だ。
初めて見るいかにもお金がかかっていますと言う門や校庭、校舎に見とれていた私は、何も無いところで躓いて見事に転んでしまった。
朝の登校時間、たくさんの生徒の視線を感じて、痛みと恥ずかしさで動けなくなっていると、
「大丈夫かい?」
そう声をかけてくれる人がいた。
私を誰もが遠巻きにする中で、親切な人だなぁなんて顔を上げると、逆光にきらめく髪を持つ男の人が手を差し伸べていた。
目が慣れて、その人の顔が見えて、
―――――あぁ、まるで物語に出てくる王子様のようだ……
ぼんやりとそう思った。
今更ですが、
『婚約解消は君の方から』のカレンサイドの話を投稿します。
アルファポリスさんに掲載したものの転載です。
投稿の仕方がいろいろ変わったみたいなので、
とりあえず使い方の練習を……
全16話。
毎日2時と14時に予約投稿しています。
28日に完結。
最後までよろしくお願いします。