1/2 + 1/2 = 2/4
半分だけ荷物の詰まった箱が、二つある。
片方に荷物をすべて移すとどうなるか。
一つの箱が、荷物で満杯になる。そして一つの空き箱が生まれる。
半分と半分を足し合わせることで、一つになった。
空箱は紐で縛って捨ててしまうことにしよう。
そしてついでに部屋は少しだけ綺麗になった。
半分しか持たない人と、半分だけ持っている人が集まった。
互いに中身を譲ることはしない。
いつまでたってもそこには半分と半分があり続けるだけ。
資源ゴミにはなりたくないから。
日を追うごとに人は増える。
いつしか部屋は半分の箱で埋め尽くされる。
ぶつかり合って、押しつぶされて、中身が噴き出した。
我先にと飛び出た中身を、自慢げに拾い上げる。
ひしゃげ潰れた箱にはもう、乗せるだけで入りきらないけれど。
つぶしつぶされて。
漏れ出ぬように傷跡を塞ぎながら、誰かから噴きだした中身を浴びて、愉悦に浸る。
部屋の中はひしゃげ潰れて半分で満杯になった、くしゃくしゃの箱ばかりになってしまった。
部屋を外から見ていた、半分だけ持っていない人は、呟いた。
彼らは満たされていて、楽しそうだなあ。