vTuber 鏡山もちの雑談配信 『彼氏、出来ました!』
なろう短編で、練習中です。
これも、以前に投降した作品も全部、ぶっちゃけノリと勢いで書いているので、拙い部分ばかりですが、楽しんでいただけると幸いです!
「みんなー、おはもっちー!」
:おはもっちー!
:久しぶりの雑談配信だー!
:待ってたよー!
凄まじい速さで流れるコメントを見ながら、私はマイクに向かって声を発する。
「コメントにある通り、今日は久しぶりの雑談配信だよー!」
:やったー!
:前回の雑談配信も面白かったし、期待大
:今日はどんなぶっ飛びエピソードが出てくるんだろう
:ワクワク
「もう、みんなヒドイよ!別にそんなぶっ飛んだ話じゃないでしょ!」
:ちょっと何言ってるか分からない
:有識者求む
:前回の雑談配信にて、もっちーは「猪と一対一で勝負」について話していたぞ
:は?
:え、どういうこと?
「いや、だから、森で探索していたら猪がいて、襲ってきたから倒したんだって」
:そんな簡単に言うことじゃないって......
:ハハハハッ、ここは本当に日本?
:諦めろ、そこにいるのは、仮想世界の高校生だし
:確かに
そう、コメントにある通り、私は配信活動をしているのだが、vTuberという少し変わった方法で配信活動をしている。画面に映る、全く異なる容姿の自分を見つめる。
vTuber『鏡山もち』
大手vTuber事務所『ファミリア』所属のvTuberで、登録者数40万に超える中堅vTuber。短く切り揃えられた淡い黄色の髪に、真っ白な瞳をした美少女。バーチャル高校の二年生という設定のため、衣装は制服。しかし、その衣装に全く合致しない彼女の奇想天外のエピソードが、視聴者に人気で、コラボしても、必ずぶっ壊れ枠として扱われている。
「もう!いいから今日の雑談配信を進めるよー!」
:はーい
:お、ルーレットや
:最初のテーマは何かな
私の雑談配信では、基本的にテーマをルーレットで決め、それについて話すのを何回か繰り返した後、視聴者から送られたメッセージに答える、という形を取っている。
「んじゃ、最初のテーマはー!え」
:マジトーンやめてwww
:え、どんなテーマが出たんや
:多分、ロクでもないで
:いや、分からんぞ!
「えーっと、最初のテーマは『初恋』だよー」
私がテーマを発表した瞬間、
:キターーーーーー!!!
:待ってました!
:初恋話だと!?
:切り抜き班、よろ
凄まじい速さで流れるコメント。私はそれに対し、文句を言う。
「絶対に嫌だー!」
初恋話なんて、黒歴史だよ!という思いを込めて、視聴者に伝える。しかし、
:黙秘権?もっちーにそんなのないよ
:逃げれると思わないでもろて
:まあまあ、お金あげるから ¥50,000
:当たり前に五万出すやばい(普通)のオタクおるwww
現実はあまりにも無慈悲だった。
「うぅー、誰も助けてくれないのー!」
逃げ場を失った私は画面に向かい叫ぶ。そして、視聴者との攻防に負けた私は初恋話をすることになった。
「えーっと、私の初恋は、小学4年生のころです……」
:おぉ!
:どんな子や!
:早く早く!
「その、好きになった男の子は、凄く運動ができて、頭もよくて……」
:うわぁ、主人公や……
:俺らには、一生、縁のない話やな
:これが『シン』だったら許せる
:それな
「えっと、その、コメントにある通り、『シン』のことです…///」
:え!?
:何!?
;てぇてぇ ¥50,000
:再び、有識者求む
:もっちーの同期、シンこと、暁シンともっちーは、よくコラボでイチャイチャしている
:そのため、一部のファンの間では、恋人なのでは?と言われている
:え、つまり!
:告白!?
「ち、違くはないけど……」
:かわいい……
:誰か!俺の担架を!
:あっ……
:まずい!これ以上、犠牲者(原因:尊い)を増やすな!
「で、でも!シンは、多分、私のこと、興味ないよ……」
:もしかして、まだ、初恋続いている?
:あぁ!眩しい!
暁シン:僕も好きだよ!
:えっ!?
:シンだ!
「え、う、嘘!?」
視聴者に紛れて、流れたコメントに私を目を見張る。え、嘘、シンが私のことを好き!?
「え、え、え、ど、どうすればいいの!?」
戸惑っていると、シンからチャットがくる。
『一緒に話さない?』
『わ、分かった』
そして、配信にシンが参加する。
「みんな、こんにちは、暁シンだよ」
:シンだと!?
:すみません、二人は恋人ですか?
:結婚式はいつですか?
「みんな!気が早すぎだよ!」
「そう?僕はすぐでもいいよ?」
「ふぇ!?」
:もっちー、振り回されてるwww
:ありがとう、シン
:結婚式、待ってます!
:ご祝儀です ¥50,000
「ね、ねぇ、シン!」
「ん、何?」
「ほ、ほんとに私のこと、好きなの?」
「うん」
「視聴者に、ぶっ壊れ枠って言われているのに?」
「僕もそうだからね~」
:あぁ、確かに
:前、クマと相撲して勝っているもんな
:マジで!?
:マジ
「だから、もちが気にする要素はどこにもないよ」
「いいの、私が恋人で?」
「もちだから、いいんだ」
「……じゃあ、これからは、恋人で///」
「うん!」
:てぇてぇ
:これは、トレンド間違いなし
:#シンもち だな
:ありがとう!
:このカップルでしか手に入らない栄養がある
「みんな、ごめん!今日、多分、もう、まともに喋れないから終わるね!」
:おつもちー
:おつもちー!
:結婚指輪、あとで見せて
私はすぐに配信を閉じ、ベッドに飛び込む。ちなみに通話はつないだままである。
「大丈夫?」
「ちょっと、幸せすぎて///」
「そっか、じゃあ、明日、会わない?」
「え!?」
「その、デート、しない?」
「し、したい!」
「じゃあ、明日、○○駅、10時に集合、でどう?」
「うん!それでいいよ!」
「じゃあ、また明日!」
「は~い!」
……
「よしっ、明日の準備しよっと!」
◆
「うぅ、勢いで言っちゃった……」
僕、暁シンは、通話が終わった後、悶絶していた。先ほどのテンションは、ずっと好きだった女の子の好きな相手が自分だと分かった瞬間、止まらなくなってしまったのだ。
「あぁ、明日のデート、ぼろ出さずにすむかな……」
彼女が語っていた自分は事実ではあるが、それはあくまで彼女の前ではカッコいい男でありたいだけだった。
故に、普段のダメな自分を見せずにすむのか、怯えているのだ。
「とりあえず、明日、何着ていくか、考えよ……」
こうして、異なるテンションで、明日の準備を始める二人だった。
その後、デートで何があったかは、また、別のお話。
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