すり減らしても減らないすれ違い。
「暑っ。夏も終わりか。」
この男、結利大智は、大学の夏休みを謳歌していた。(実際は、友達とゲームしかしていないが。)
まだ暑さが残っている。そんなとこだった。レジを手に持ちながらコンビニ帰りだった。
帰ってアイスだ、アイス。
「お兄さん、ねぇお兄さん!」
話しかけてきたのは、若い女性だった。
「うわっ、ってだ…誰ですか?」
驚いて、尻もちをついた。
彼女は俺の方を見ながら笑った。
「お兄さ…ふふっ、おにふふっ、…お兄さん、家泊めてよ。」
なんだよコイツ。人前で転けさてくる奴が、泊めるってどんなお願いだよ。うん?泊める?
「泊めろだと!!」
思わず立ち上がってしまった。尻が痛い。
「なんでもするからぁ。だめ?」
「俺は女が嫌いなんだ、構わないでくれ。」
俺は駆け出した。だけど、彼女は、付いてくる。これはストーカーと呼べるのか?呼べないよな。
「なんなんだ!」
「他に当てない…し。」
モジモジしながら彼女言う。
「だからと言って知らない奴を泊められるほど、俺は、そんな変な人じゃねぇ。」
きっぱり言ったこいつも分かって家に帰るだろう、うん。
「変な人じゃないなら尚更安心だね。」
うん、うん?
「泊めな…いぞ?」
「え?」
「話を振り出しに戻すな!」
「だってトイレ行きたいし。」
「コンビニいけ!」
「お兄さん、名前は?」
「名前?教える必要ないだろ。」
手に持っていたレジ袋から冷たい感触が、
「うわっ、マジかよ。」
アイスが溶けて袋いっぱいになっている。
「今日のアイスがっ…。」
「あ、ふはは、っふは。」
彼女が笑う。
「笑うなよ。」
「分かった、代わりの買ってくるから。」
「おいちょっと。」
彼女は、さっき俺が行ったコンビニへ向かった。
俺は家の前にいるが、これで帰っていいのだろうか。
よく年始に会っていた祖母を、思い出す。
『大智ちゃん、困ってる人を、助けない人はねぇ、ひーろー?かなんかにはなれないんだよ?だから助けてあげるのよ。おばあちゃんはそれさえ出来れば、立派な大人だと思うわ。』
このことを何度も思い出す。他人の自転車が風で倒れている時も、知らないおっちゃんが腰が抜けていた時も助けてきた。
大体、なんだって俺に泊めろなど言うんだ?多分理由は、家出?だろう。
ただ泊める訳には行かないよな。
「ただいま!はい」
「あ、ああ。」
彼女が帰ってきていた。よく見るとどっかで見たような?
「あら?その子誰かしら?」
この人は隣のおばさんである。
「いやあの、」
「昔からの知り合いなんです!」
「え?」
何を言って…昔、中学くらいの時に、遊んでた…。
「もしかして由奈か?」
「え?気づいてないなーとは思ってからかってましたけど今ですか?」
「由奈ちゃんねぇ!思い出すわぁ。ダイちゃんと一緒に山車引っ張ってたよねぇ、ちっちゃいころねぇ。」
「えっーっと菜奈おばちゃん?」
「あら?気付いてなかったの、やーねぇ。」
奈良のおばさんは、昔隣に住んでいたのだが、孫のために引越しをした、そして、偶然俺が大学に入るために借りたアパートに住んでいたのだ。
だが、由奈には中学以来会って居ない。なんなら高校すら言わなかった。高校は、言うタイミングが分からなかったからだ。
今由奈は大学生だろうか高校生だろうか、分からない。
それぐらい三年という年月は人を変えてしまうのか。
「じゃあ、わざわざ会いに来たの?あ、そういう関係ね」
「「違います!」」
「私は、邪魔ここらで失礼しますわ。」
「ちょっと!」「待って!」
奈良のおばさんは行ってしまった。
「行っちゃったな。」「行っちゃったね。」
二人きりになってしまった。気まずい。
「で、なんで来たんだ。本当の理由は?」
「….さっきからかったって行ったけど家出は、本当なの。」
「え?家出?お前が?」
「…そうよ。」
「なんでだよ。親父さんと仲良かったじゃないかよ。」
「いつの話よ。あの父さんなんて嫌いよ。」
「まあいい、中に入って。」
由奈を家に入れた。
「散らかってるね。私の部屋みたい。」
「一緒にするな。」
「で、詳しく話してくれ。」
由奈は、しばらく黙り込んで話し始めた。
「大智にぃ、あれはね、…貴方の所為なんだよ。」
私はいつも、空元気だった。
あれは少し日が暮れるのが早くなった頃だろうか。
私は小さい頃、身体が弱く、入院して、退院してすぐ入院するという生活だった。小学校にもまともに通えてなかった。
リハビリしても意味ないのに、いつもリハビリして。でもこんな幼子の私でも、何か変わるとは思わなかった。
そんな時"友達"が出来た。
いつも通りリハビリしていると、男の子が来た。
「いつもそれやってるね、面白い?」
男の子が聞いてくる。リハビリが面白い?
「…面白い訳…無いでしょ!」
私は男の子に怒鳴ってしまった。
「うぇ…あぁーん」
男の子が泣き出してしまった。
「ごめん、ごめん。許して?」
私は、いつも"おとなたち"に使う、下から覗いて上目遣いをした。
「分かった、俺はだいち。君は、」
だいちか、普通な名前、面白くない。
「今どうでもいいって思っただろ?」
だいちはにやにやしながら言う。
「そんな…わ、私は由奈。八嶋由奈。」
「ゆなね、ゆなか、いい名前!俺好きだ。」
「急に好きなんて、その…」
恥ずかしい。なんなんだこの子は。
「違うよ!名前だよ、名前。」
「なーんだ。」
少しガッカリした。好きって言ってくれるのは、お母さんだけだから。
「まあ、気に入った。退院したら同じ学校だろうから一緒に行こうな。」
学校…行けるのだろうか。万が一行けたとしても友達などできるのだろうか。
「友達、居ないのか?」
「うるさい!」
なんなんだ、この人は。
「その反応友達居ないな。」
「いいでしょ。別に」
うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい、うるさい。
「じゃあ俺がお前の1番最初の友達になってやるよ!」
「え?いい…の?」
「うん。だって一人ぼっちは、悲しいだろ。」
「バカ、…ありがとう。」
「なんか言った?」
「…なんでもない。」
彼はニコッと笑っていた。
学校、学校、学校。
私は、何度も何度もリハビリをした。
学校に、彼に会うために。
「そんなリハビリしてても、無駄だと思うよ。」
そんなことを姉は言った。
それでも"普通"に会うために。
「俺はヒーローになりたいんだ!」
「バカバカしい。」
彼はそんなテレビの中のことを、小学六年生なのにまだ言っている。
「ヒーローに誰もなってないってことは、それだけ難しいってことでしょ。」
私は小声で言った。
「だからなんなきゃいけないんだよ。みんなが微笑んで暮らせるように。」
私はドキッとした。この言葉は今でも思い出す。
「微笑んでか…」
彼には、きっと何かがある。
そう思って、ずっとリハビリを続けた。
「一緒に学校に行きたい。」
今まで友達と呼べる人は誰もいなかったから。
その後も何度もリハビリをしてようやく退院できるようになった。
でももう学校に彼はいなかった。
私は小学六年まで、リハビリだったからだ。
もう彼は中学生になっていた。
俺は何をすればいいか分からない。
心通っている友達なんておらず、ヒーロー?だったかなんだかになりたいだのなんだの言っていたあの時代が恥ずかしい。
「先輩、あの…」
由奈、いつまでいるんだ、いつも、いつも、近くに来る所為で部活の奴に勘違いされる。
「いい加減にしてくれ。」
「ごめん…なさい。」
由奈は、いつものように謝る。もうあの頃の純粋で馬鹿な俺じゃないのに。
「でも私は、あなたが微笑んでいて欲しいだけ…で。」
「じゃあ、尚更、俺に迷惑をかけるな!!!」
「わ、分かった。」
由奈に、怒鳴ってしまった。由奈は、走って帰ってしまった。
俺は本当に何がしたかったんだ?微笑んでいて欲しい?こんな将来への不安で押しつぶされそうなのに?
そんなことを考えながら家に帰った。
寝床に着くとまた、不安で押しつぶされそうになる。由奈がきっとプレッシャーになっているんだろうな。あいつはよく分からないが俺に憧れている。あいつが俺の前以外で笑っていたところを、見たことは無い。笑うのが下手だからな、あいつ。
あれなんでこんなこと考えてんだ?
明日も部活か、早く寝ないと。
それ以来、将来なんてどうでも良くなった。
先輩が、大智さんが卒業してしまう。
その前に気持ちを伝えないと。
ラブレターでも書いてみるか。
私は筆箱からペンを取りだし、筆を走らせ『拝啓』の文字を書いてみたが恥ずかしい。やめだ、やめ。
そんなこんなで、結局卒業するまで気持ちを伝えられなかった。
「なんだって?」
大智は、よく聞こえなかったので聞き返した。
「だから進路で喧嘩したの。」
由奈は言った。
「だからって、わざわざ俺の家まで来るか普通?」
大智は由奈に問う。
「だって、信頼できる人いなかったし。」
確か由奈の実家の電話番号が、確かあったはず。
「とりあえず、昼飯買ってくるわ。」
「え?」
「お留守番だよ。」
由奈は不満げにいたが、鍵をかけてアパートを、後にした。
そういや、由奈がなんか言ってたことがあったな。
『…微笑んで欲しいだけ。』
そんなことを言ってたか、あの頃は馬鹿でしかなかったからな。今は、防音アパートで、ギターと、フィンガードラムの練習をしている。
将来的には海外で日本の曲を、広めたい。的なことを考えてはいる。
微笑んで欲しいって言うのは、今は、ちょっと難しい。
コンビニに着いた。
俺はスマホを、ポケットから取り出した。
「もしもし、由奈さんのご実家ですか?」
由奈の実家に電話をかけた。
「大智くんね、由奈は、由奈はどこにいる?ねぇ、ねぇ。」
電話に出たのは母親だ、由奈のことを、凄く心配している。
「落ち着いてください、由奈は今俺の家にいます。」
俺は、ゆっくり話した。
「え、大智くんの家にいるの?」
これって俺の実家だと思われてない?そこは修正して。
「正しく言えば、俺の借りてるアパートです。」
「まあ、良かったぁ。」
お母さんは、安堵していた。
「お父さんも、心配しててね。もう少しで捜索願出す予定だったの。良かったぁ。いつ帰ってくるかしら。」
俺はドキッとした。由奈がいつ帰るか知らないし、きっと今迎えに来たら親子の仲に亀裂が入るかもしれない。
「それは…それは分からないです。今急に来たばっかりで。ただ、多分今日迎えに来ちゃうともっと溝深まるかもです。その…」
これを提案していいのだろうか、分からない。
「どうしたの?」
「由奈ちゃんを夏休み中はこっちに居させて…」
「由奈とは、大丈夫なのよね?」
「はい。」
「…分かったわ。お父さん、何とか説得しとくからね。」
「ありがとうございます。」
俺は、無意識に微笑んだ。
「一応、受験生なんだからずっと遊ばせとかないでよ?」
「分かりました。任せてください。」
電話を切った。その後コンビニで弁当とホットドッグを買った。
「由奈、ちゃんと理由説明してくれ。」
大智が聞く。
「お父さんがね、私が絵描きになりたいって言うのに邪魔するの。歯医者になれって。」
由奈はモゾモゾしながら言う。
「お母さんが、親父さん説得しとくってさ。」
「それって…」
「歯医者話は今聞いたから言ってないし言われてないぞ。」
「なんだ。お母さん、私に興味無いんだ。」
大智は、一息置いてから言う。
「…お母さんは、お前のこと心配してた。…将来は未来の事だ。ただ今までお母さんは、今のお前が危ない目に会ってないか心配してたんだ。」
「お母さんは、…関係ないから。それは済まなかったと思ってるでも、…お父さんは酷いんだよ。元々私は病弱だったのに、絵描きになりたかったのに、どうして好きな事を、やらせてくれないの?」
由奈は、きっとお父さんと大喧嘩をしたのだろう。じゃなきゃこんなに早口で喋らない。
「…絵を描きたいのか?」
由奈は小さく頷く。
「…少し描いてくれないか?この夏休み中で。」
俺には分からない。…絵が絶望的に下手だったからだ。見るのは好きだが描くのは嫌いだ。
ただ目の前には、絵を描きたいのが目に見えるくらいの意思を持った者がいた。
「分かった、ただ画材がないと…。」
由奈は、こっちを見る。
「お前の家にあるのか?」
「うん。」
「じゃあ、取ってくる。」
「え?いいの?」
由奈は、困惑している。
「ああ、好きな事出来ないのは辛いよな。」
俺は由奈の家に出かけた。
「こんにちは。」
「どうしたの?」
由奈のお母さんが、ドアを開けて出てきた。
「あの、由奈ちゃんは?」
「俺の家に居ます。」
「そ、そう」
とりあえず由奈の部屋だな。
「由奈ちゃんの部屋入っていいですか?」
「ええ、ただ散らかってるから。」
「大丈夫です。散らかってるのは、好きですから。」
ガチャ。ドアを開けて中に入った。
「お邪魔します。」
由奈の部屋には絵が風景画が、飾られていた。空に一面の星がある。これは…星座か何かか?分からないが、これはなんだ?一応これも持っていこう。知りたいし。絵の具と大量の鉛筆。
なんかの小説に書いてあった気がする。鉛筆にも種類があって、それぞれ違う目的がある的なこと言ってたなぁ。
スケッチブックってどこだ?
「あの、スケッチブックってあります?」
お母さんに聞いてみた。
「由奈は、スケッチブックずっと持ってたから持って行ってるんじゃない?」
「分かりました。ありがとうございます。」
お礼をし、家を後にする時のお母さんの目は潤んでいた。
「夏休み中には帰しますので、必ず。」
ポストを見ると冬休み留学の封筒が入っていた。
「留学の書類やらんとやべぇな。」
家の鍵を開け入った。
「ほら持ってきたぞ。」
持ってきた鉛筆と、絵の具を渡した。
「え?なんで鉛筆必要って分かったの?」
俺は本棚から本を取り出して言った。
「この本のお陰だよ。」
その小説は、由奈のお父さんがくれたものだ。
「これか、…私も読んだ。唯一お父さんと共感できた本だったな。これ呼んでもいい?」
「いいよ。」
それから短い同居生活が始まった。
俺は少し心配でバイト休憩で、たまに様子を見に来ては、由奈に、「大丈夫」と言われた。
そんなこんなで8月の終わりに、完成した絵を見せてもらった。
「これは、…!」
スケッチブックには入らないような巨大な宇宙が描かれていた。
「大智にぃがこれを持ってきてくれたおかげで続きをかけた。」
由奈が指さしていたのは壁に掛かっていた風景画だった。
「私は全ての作品に繋がりを持たせているの。これは、この続きだね。この星が爆発して星雲になって行ったってとこ描いたんだ。」
「この星座は?」
「これは大智にぃと昔見た星座。」
「え?」
正直見覚えはあったが覚えていたのか。
「大智にぃ…その…実は、」
由奈は、モゾモゾしている。
「好きです…。もしずっとここに居られるなら」
「それは…残念ながら無理だ。」
由奈の頬に涙が滴る。
「どう…して。」
「由奈にはまだ迷いがある。本当に絵描きになれるのかなって思ってるだろ。確かに、この絵は凄いとてつもなくな。ただお父さんと話さないとダメだ。」
「でも話し合っても、納得してくれなかった。」
「納得させることが由奈の目的か?違うだろ。多分お父さんは、今まで辛かったけど、もうちょい頑張って欲しいんじゃないかな。絵を描くのは、安定してからもできる。歯科医になってそれでこれまで感じられなかった楽しさとか感じて欲しいんだよ。」
「それでも、絵を描きたいんだよ!私は、リハビリが終わって大智にぃに、迷惑がられたけれど、あなたに、見てほしいの。あの時見た星を。」
俺はスケッチブック見ていった。
「その為の…これだろ。」
由奈が帰って二週間が経った。
「由奈…何してんかなぁ。」
留学の書類やんないとなぁ。オーストラリアに行くことになっていた。書類を、書いているとふと由奈のことを思い出してしまう。
「あいつは大丈夫。」
そう思いながらじゃないと気になって進められなかった。
「お父さん、歯科医になって欲しい理由って何なの?」
私からは、お父さん聞いてみた。
「それはね、今まで友達とかも上手くできにくかっただろうし、それに、今まで感じられなかった幸せを感じて欲しいんだ。」
大智にぃの言った通りのことを言った。凄いな。
「これみて。」
私はさっき持って帰ってきた二つの絵を見せた。
「由奈、だから絵は…これは…。」
父の目は、輝いていた。潤んでいた。そして、泣いていた。
「私は、絵でお金を得たい訳じゃない、それが家出してた二週間で分かった。ただ見てもらいたいんだよ。それだけなんだ。歯科医になれば"普通"の人の倍は、幸せになれるけど、私は"見てもらいたい。"見てもらわないと嬉しくない。歯科医をして描けても私は幸せになれない。"普通の人"の幸せは要らないの。お父さんが納得しなくても私は歯医者には、絶対にならない。」
私は物凄く熱弁してしまう癖が、あったけれどこれほどまでに感情を乗せたことは無かった。
お父さんが深く息を吸い、言った。
「ごめんな、幸せって言うのは人それぞれだよな。お父さんは、少し勘違いしてたみたいだ。」
どうやら納得したらしい。
「ただ…歯科医」
「歯科医には、文理選択で文系選んでるからなれないわよ、お父さん。」
お母さんが口を挟んだ。
「え?そうなの?」
「そうよ、というか私に言わずこそこそそんなこと言ってたの。」
お父さんがようやく理解してくれた。どうやら文理選択自体知らなかったらしい。
まあ、私はお父さんがしつこかったから、出てっただけだけど。
「そうだ、大智君にお礼渡さなきゃ。」
お母さんが慌てていた。
「ゆなーポスト見てきて?」「お母さん行ってきてよ。」
「私は大智くんのお礼を買ってくるわ。」
「ちょっと!」
ポストなら帰りがけでもいいのに。
私は渋々、ポストを開けるとチラシと手紙が入っていた。
宛名は私だった。そこにはこう書いてある。
『由奈、俺は半年間留学する、ごめん、言うのを忘れてて、ごめん。ただ、正月も難しそうなんだ。だからしばらくは、俺は由奈がどうなってるか知らない。あと、鉛筆忘れてたか同封しておいた。ちなみにオーストラリアの留学だ。』
この字の汚さは、大智にぃだ。でも…留学しちゃうんだ。
半年だろ。これまで結構あってなかったし、高校だって、違かったし、でもなんでこんな悲しいのかな…。フラらたし。
機内の中で今までの日本で体験したことを振り返る。
俺はある時は、友達の家で騒いで父さんに怒られたっけ。
ある時は黒いスーツ男に、助けられたこともあった。
そして、初めて女子に告白された。今思うとあれ、断るべきじゃなかったなぁ。でも留学って言って辛い思いさせたらどっちも負担かかってしまうし、まあ、半年経てば由奈にも彼氏ができるだろ。今10月だけど、クリスマス辺りには。
オーストラリアではドタバタだった。英語は多少読めるけれどやはり発音が厳しかったし色んな言語話す人がいて混乱した。それに授業も、かなりキツかった。
そんなこんなで俺の新しい住まいには、一通の手紙があった。送ってきたのは由奈だ。
『大智にぃ、私は何とかお父さんの、歯科医やれやれハラスメントは、無くなったから心配しなくていいよ。ただ、留学するのは少し知って悲しかったかな、あと、オーストラリア行きたいって言ったらお父さん良いって言ってくれた。嘘だけど、本当はすごく悲しかった。ただ心配しないで。頑張ってね。』
由奈からの手紙が、ちゃんと送られてきたのは初めてかもしれない。よく見ると小さい字でこう書いてある
『クリスマスイブ、いつもの公園で待ってる。』
クリスマスイブなんて、行ける訳…行くか、行こう。
イブの日、大智にぃとよく遊んだ公園にいた。
あんまり同学年と馴染めなかった私によく、「一緒に遊ぼう」って言ってきた気がする。
18時に来たがまだ来ない。もう30分経ったのに、
「ごめん、時間指定なかったから。」
「それは…ごめん。」
「「あのさ、」」
「え?」「あのその」
二人で慌てて。
「ねえ、大智にぃ。大智って呼んでいい?今日だけは。」
「いいけど、俺は、」
「由菜呼びなんだから変わらないでしょ。」
「あはは、ごめん。」
他愛もない会話が続く。
大智にぃ、いや、大智とこんなに微笑んで話せるのは久しぶりだな。
「誰もいなさそうだな。」
「え?」
大智が私に近づいて来た、いやもうその時には唇が…。
「はぅう」
変な声が出てしまった。
「ごめん。急に、流石に早かったよね。」
「いい、続けて。」
二度目の…。
このすれ違いはまだすり減りそうにない。
めっちゃ時間かかった。理想論者(彗星メテオ)です。何とか25日に間に合った。やった。やった。やった。
あと、こんなに連続で文字書いたの初めてで誤字あったら言ってね。じゃじゃ。