要求
今まで様々な者と取り引き、交渉をしてきた。ときには危険をおかして魔族との交流もした。その全てが成功した。そう、自分にとってプラスとなるものは、本能が教えてくれるのだ。百発百中のこの感覚が、この娘はなにかあると、危険な信号を発する。
妹、両親は完全に思考制止状態で固まっている。特に妹はこれからなにをされるのか、わからい。わからないという恐怖が彼女を縛り付け、震えさせる。
[領主様、ご提案とはなんですか。]
俺頑張れー(頑張るスキルないけど、妹のためなら、お兄ちゃんやるよ。)
[我が屋敷の執事に迎えいれたい。もちろん成人の儀を行うまで待つぞ。]
この世界の成人の儀は十五歳で行う。ただし農奴は早く大人にして働かしたいので、十二歳以降ならいつでも儀式を領主の指示で行える。もちろん、労働者の人数を考慮してである。この世界にも法律が存在するので原則は十五歳だ。ウィリアム家は農奴である。成人の儀は領主が全額負担で町の教会で儀式を行うらしい。
さらに領主が続けざまに
[もちろん、褒美もだす。そうだ先の話の収穫の功と合わせて2つ、願いを聞こう。この屋敷での生活は農奴と比べると良いとおもうがの〜。]
両親の顔をみると考えてるようだ。悪くない提案だよなというかんじで父と母が見つめ合っている。
(いやいや〜妹の話だよね。妹に聞かないとだめでしょ〜。)
[領主様。有難き提案でごさいますが、なにぶん、いきなりなもので妹ともよく相談して決めたいのですが。だめでしょうか。時間はとらせません。]
相手を怒らせないように、慎重に丁寧に頭を下げる。この様子に両親と妹もつられて、頭を下げる。
[わかった。隣の部屋で相談しろ。ただし、貴様らが農奴ということを忘れるなよ。カカル。案内しろ。]
皆頭を一度下げて、退出して、カカルが部屋へ案内してくれる。
カカルは案内してくれた部屋から退出するときに、ダメ押し気味に[あまり時間をかけないよう。身分をわきまえた行動を、外で待っています。]といって出ていった。
(これもう脅迫ですよね。イエス以外の答えありますか。イエスorイエスよこんなもの。)
では父上、母上、そしてかわいい妹よ家族会議をはじめます。
時間ってないですよね
時間はつくるものだみたいなことを言う人は精神論主義か神様かのどちらかだとおとう。