第6話 新ルール追加!最強の出現!
前話の予告題名と違いますが…
SFが始まってから1週間が経った。それでも相変わらず俺は道場で稽古をし、たまにレンと共に情報収集をしていた。
ただ、SF1週間後でも、学校の様子は変わらなかった。どうやら実感の無い生徒が多いようだ。
ただし、放課後の異常さはレンの言ったとおりであるが。
まるで何かを必死に探しているみたいだ。
何を探しているのかは分からない。だが、近づいて良さそうな奴らではないのは確かだ。
「みんなおっはよ〜!!」
『おはようございま〜す!!』
朝礼台から生徒会長の元気な声が聞こえる。
今日も彼女は元気だな…まあSFを傍観している人にとっては楽な気持ちなんだろうな…
「今日はSF参加者に重大発表があるの〜!」
重大発表…?
俺の隣にいるレンの顔が強張った。
俺も気を引き締めないとな…
「追加ルールを発表しま〜す!!」
「?!」
俺達の顔が引き締まった。
追加ルール…だと?
一体どういうことだ?生徒会にとって何かまずいことでもあったのか?
「実はみんな意外と戦ってくれなくてね…だから新ルールを追加しようと思ったの!」
俺達は真剣な目で見る。だが、あまり真剣な目で見るとまずいかもしれない。
俺達が参加者だとばれてしまう。
「さっそく発表!ドゥクドゥクドゥク!!!ダーン!!」
口でドラムロールを口ずさむ生徒会長。
しかも微妙に違う気が…
「1週間に1度も勝てなかった人はバッジを剥奪!!」
「?!」
そんなルールを適用させるのか?!
そんなことをしたら学校が完全に戦場になるぞ?!
「今日から適用だから、来週のこの時間までにバッジを取れなかったらバッジ剥奪ね。ちなみに剥奪されたバッジは適当に隠しておくから見つけてね〜。あ、それとね、仲間内でのバッジの勝ち負けの譲り合いは禁止だよ。仲間内で戦って、バッジの渡しあいをするのはズルイからね」
この人は遊び感覚でSFを主催しているのかもしれないが、実際はそうじゃない。
本気で戦う奴や、卑劣な奴だっているだろう。彼女はその状況を知らないのか…?
「今日は以上で。じゃあ参加者達はルールを守って頑張ってね〜!」
彼女は最後にみんなに手を振りながら台を降りた。
この人は演技しているのか?少し疑ってしまう。
「若様…」
「レン、とりあえず次の授業は英語だから」
「…そうですね」
レンが真剣そうな顔をしているので、和らげてやった。
こいつはすぐに表情が強張るからな。おかげで俺や寧々やトモ姉、そしてジョージとしか話さない。
「司!英語の和訳やってきたか〜?」
「寧々にでも見せてもらえ、ジョージ」
そして突然ジョージが後ろから俺に抱きついてきた。正直キモイ。やめろ。
「はぁ…司、私がやってるとでも思ってるの?」
「寧々。お前は自慢するところを間違えている」
話を聞いていた寧々がため息をつきながら俺の元にやって来た。
そうそう、SFばかりじゃ切羽詰まっちゃうからな。こういう日常も味合わないと。
昼休み、俺はレン、寧々、と一緒に昼食を食べに食堂に入った。
しかし…
「混んでるわね」
「ああ」
食堂は予想外に混んでいた。SF参加者の俺としては昼抜きとかはヤバイ。
さすがに腹ごしらえをしなければいけないだろう。
「席3つは無理かもな」
「そうかもしれません」
レンが俺に何か言いたそうに見る。
「お、席2つは空いてる!!」
俺は突如見つけた二つの空席に駆けて行った。
こういうのは早い者勝ちだ。
「でも二つだけどどうするの?」
「お前ら二人が座れよ」
俺はレンと寧々を交互に見た。さすがに女子一人で別に席に座らせるわけにはいかない。
「若様!」
「レン」
レンの言いたいことは分かる。俺が一人になることを懸念しているのだろう。
だが、心配は無い。こんなに一般生徒が多いところで戦いなんてしないだろう。
「じゃ、言ってくる」
俺はレンにウィンクして席探しに向かった。
レンと寧々が何か言いたそうだったが、無視して探索を開始。
こういうときにジョージがいれば…ちなみにアイツは今保健室である。
理由は…説明が面倒くさいので想像に任せる。
それはともかく、予想以上の混み具合に俺はうろたえる。このままじゃ昼は立ち食いか?
仕方ないので、一応食券を買って列に並ぶ。
…待つこと数分、俺はかき揚げうどん大盛をお盆の上に載せて、再び席探しを…
「おお!」
そんなことをする必要もなく、速攻で空席が出来たので、そこに向かって駆け出した。
ラッキーだな、と思いながらそこに着席してうどんを食べることにする。
「ふう…ん?」
俺は目の前の女子生徒を見る。何だか見覚えが…
「ああっ!!」
「?」
俺は目の前の女子生徒に声を上げてしまった。こいつはあいつだ!あの鎖使いじゃないか!!
俺は切磋に身構えてしまった。
「…」
「た、戦わないのか?」
俺は呆れた目で俺を見るその女子生徒に小声で訊く。
「こんなに人目のつく場所で?」
「う…」
確かにそれはないだろう。
ていうかこんなところでこいつと出会っちゃうとは…運が悪い。
「…何ジロジロ見てるの?」
「いや、あのときの雰囲気が違うな、と」
「当たり前でしょ」
どうやら別に彼女は人付き合いが苦手とかそういうのじゃないみたいだ。
現に普通に俺と話しているし、
「お、お前はどうして普通に話しているんだ?」
「あなたが先に話しかけたんでしょ?」
言葉は妙に刺々しいな。まああれか、前回の戦いのせいだな。
「そ、そうだな…」
俺はかき揚げうどんを食べることにする。
「アンタって甘いわね」
「え?」
彼女がすごい目で俺を睨む。つうか怖いです。
「もしここで私があんたの足を攻撃しても誰にもばれないわよ」
「…そうだな」
確かにテーブルの下は見にくい。それにこの混み具合では刺されてもばれない可能性が高い。
「でも、お前はそんなことしない。だってそういう卑怯な手段は嫌いだろ?奇襲はともかく、ここには一般生徒もいるんだ。お前はそういうのしなさそうだ」
「…」
図星なのか少しバツが悪そうに俯く。
こういうかわいいところもあるんだけどな。
「お前は敵かもしれないけど、人間としては好きだぜ」
何言ってるんだよ俺は!こんなこと言って彼女が手を退くとでも思っているのか?!
ついノリで言ってしまった俺は後悔した。
「な、ななな何言ってるにょよ!そ、そんなんで騙されないんだからにぇ!!」
「お前、噛んでる」
「うるさい!」
彼女はそう怒って自分のご飯を速攻で食べた。
「ごちそうさま!!」
そしてきちんと挨拶もした。礼儀正しい奴だ。
しかし…結局怒らせてしまった。俺の馬鹿野郎。
彼女は俺のほうを振り返りもせずに立ち去っていった。
「若様」
「おうレン」
そしてその後すぐにレンと寧々が俺の方に来た。
「すぐ食べ終わるから先に教室に行ってていいぞ」
「若様」
「…分かったよ」
俺はレンの言いたいことがわかったので、仕方なく待たせてやることにした。
「本当にレンって過保護よね〜」
「そうですか?」
レンはキョトンと寧々を見る。
いや、寧々の言っていることは正しいと思うぞ。
「一緒にお風呂とか一緒に寝たりとかもしてるんじゃないの〜?」
寧々が茶化すように言う。
「いえ。でも若様がそうおっしゃるならしますが」
「おい」
レンは俺に対して何かおかしい。妙に忠義?みたいだしな。それに、羞恥心が無いんじゃないか?俺に対して。
まあつまり男として見られてないのかもな。
「ご馳走様。悪いな」
俺は待っている二人のためにさっさと食事を終え、容器を片付けに行った。
とりあえず、昼の鎖使いのことはレンに黙った方が良さそうだ。
今日も放課後、うろうろとしている男子生徒が多かった。
全員男子なのも気になるがな。
「新ルール追加ということは、これまでのように様子見だけじゃ無理だな」
「そうかもしれません」
しかも仲間内での渡しあいも禁止。つまり、俺とレンが二度戦ってバッジを渡し合いするのは卑怯と言うことだ。
確かにこれをすれば、楽に1週間に1勝を稼げる。
「じゃあどうする?バッジつけてない奴と戦ってもしょうがないだろ?」
「そうですね…ですが、焦っても仕方ないです。この状況はみんなも同じなのですから」
レンがそう言う。まあ実際はそうではないのだが、俺達がそんなことに気づくわけが無い。
「じゃあ今日のところは帰るか?」
「そうですね…」
もうすぐ日が暮れる。レンの話によれば、夜中になると学校内の雰囲気が殺気立つらしい。
見てみたい気もするが、危険だからレンに止められるだろう。
まあ後ろからやられてしまっては元も子もない。
俺達は帰る準備をする。まあ見つからないように頑張って帰るか…
そっと廊下に出て、気配を消し、ゆっくりと進む。
「「?!」」
しかし、突如俺達は後ろを向いた。
理由はただ一つ。敵の気配だ。
こっちに向かって誰かがやってくる。向こうはこちらの気配に気づいている。消しているにもかかわらず。
つまり、強敵だ。
「レン…」
「はい…」
レンの顔に冷や汗が見えた。レンも感じているようだ。
この圧倒的強さを。
「来る!!」
「え?!」
俺より早くかまいたちの風に反応したレンは俺の前に出てかまいたちを受け止めようとする。
「レン!!」
「大丈夫です!」
レンはかまいたちを受けた…が、吹っ飛ばされた。
「ああっ!」
レンが悲鳴を上げて後ろに飛ばされる。俺はそれを何とか抱きとめる。
「レンが…飛ばされた…?」
レンは体重が軽いものの、攻撃の受け流しとかはすごく上手い。
ウチの道場でも、レンに攻撃を完全に受け流させないのは父だけだろう。
つまり、相手は父に近い強さを持つ人…
俺には心当たりがある。この圧倒的強さを持つのは…風紀委員長の宮島先輩だ!!
「若様…逃げてください…」
「くっ…」
この状態のレンを放っておけるわけがない。
それに、レンを一撃でこの状態にする奴から逃げられるとは思えない。
「二人…与那国道場の者達か」
聞こえてきたのは、女性の割に凛とした宮島先輩の声。
やはりというべきなのか…
そして彼女は俺達に薙刀を突き付けた。
「若様…!」
「くっ…!」
絶体絶命のピンチに俺達は陥ってしまった…
次回は「圧倒的強さと、姑息な戦法と」
さて、司とレンはどうなってしまうのでしょうか。
題名的には…ですけど、実際は…です。