第5.5話 松島七恵の悲劇!現れた黒幕!
黒幕の出現…
さて、黒幕を何故今出現させるのか。
それはつまり…ということです。
冗談じゃない!!
私、松島七恵は新聞部所属のカメラマンで、SF参加者である。
参加理由は戦場ジャーナリストみたいな感じで、SF新聞を作ろうと思ったから。
だからこれっぽっちも戦う気がないし、勝つ気もない。
でも、私は変な男達に狙われていた。相手は3人。
「何で私を狙うのよ?!私を倒しても強敵じゃないから全然メリットが無いわよ!」
私は後ろから追ってくる男達に叫んだ。
だが、男達の足音は止まらない。
何故私なんかを…?
「どうして私を狙うのよ!理由を言いなさい!」
私は出来るだけ強気に物を言った。
ここで弱気になったら負けだ、そう思った。
私は暗闇をキッと睨みつける。相変わらず足音は止まらない。
だが、肝心の姿が見えない。
「え…?」
足音が聞こえるだけ…?
よく聞けば足音は近づいてもないし、遠ざかってもいない。
私は安心した。ただの脅かしだったのか…実は私を見失ってしまっていたりして…
「もう…脅かさないでよ」
「脅かしではない」
「?!」
私は後ろから聞こえた声に振り向いた。
「な、何で…」
そこには例の3人がいた。私を追っていた例の3人。
「お前は気が動転してて気づかなかったようだな。この音、どこから漏れていると思ってる?」
「え…?!」
私は音のする方向を見上げた。
そこには放送スピーカーがあった。つまり、放送室で足音を流していたのだ。
「でもどうして…」
「俺達はお前を追う気なんてサラサラ無かった。狙いはただ一つ。お前をここに誘い込む」
「どうしてここに来るって…!」
「人間は左に行くのを好む。なぜなら人間は生まれながらアンバランスな存在だからだ」
3人うちリーダーらしき男が語る。確かこの人はあれだ…
佐渡財閥の若きリーダー…佐渡隼人、高校3年生。
「人の心臓は左にある。中央ではなく左だ。まあ例外はあるが…。そのおかげで人間は左を選ぶ傾向にある。なおかつ、足音による動揺で、正確な判断力を失ったお前は必ずそうすると…思ったからだ」
この人…只者ではない…
「わ、私をどうする気?!」
私は冷たい目をしたこの男にそう言った。
この男は正直怖かった。何か嫌なオーラが漂っている。
私は声の震えを何とか抑えるのに精一杯だった。
「どうもしないさ。大人しくバッジを渡せば命は助けてやる」
「い、命って…」
しかし、彼の目は冷たく、冗談で言っているようには思えなかった。
「さあ、どうする?」
「わ、分かったわよ…」
私は大人しくバッジを一枚彼、佐渡隼人に渡す。
「おい、何で一枚なんだ」
「え?だってルールで…」
「負けた人は勝った人にバッジを1枚渡す…お前は俺達3人に負けたんだ。ならば、一人に1枚ずつ渡すのが道理だろう?」
「え、ええええ?!」
私は混乱しつつ叫んだ。このままじゃ私は敗北が確定。
まだ取材とかも何もしていないのに…
「渡さないのか?」
「ず、ずるいよ…3人もエントリーしてるなんて…」
私も仲間を連れればよかったかもしれない。
でも私の友達は誰も参加しないと思うけど…
「何を言っている?エントリーしているのは俺だけだ」
「え?!だって残りの二人もバッジを…?!」
私は3人を信じられないような目で見た。
だって…これは…
「3人ともバッジの番号が同じ?!」
「当然だろう?こいつらが付けているものは俺のバッジだ」
「そ、そんなのルール違反じゃない!!」
「ルール違反?このSFに参加するものはバッジを所持していればいいんだろ?そして戦うものはバッジを付けたもの同士。どこがいけないんだ?」
「い、一般生徒を参加させている時点で…」
「お前、頭弱いな」
「な…!!」
彼は私を虫けらを見るような目で見る。
睨み返したいけど、恐怖が先に出て、睨み返せない。
「このバトル、ルールを遵守して戦うものではない。どこまでがルールなのかをきちんと把握するのが戦いだ。つまり…戦いはSF発表のときから始まっていたのだ」
「っ…!!」
この男、初めからルールを遵守する気なんてサラサラ無かった…
ただ、ルールをどう都合よく解釈できるか、それだけを考えていた。
この男は相当なキレ者であることが分かる。
「だから俺はこいつらにバッジを与え、参加させた。この時点でこいつらは一般生徒ではない。だからバトルしても問題ではない」
「でも自分のバッジは全て所有して…」
「はぁ…これだからゴミは…武器にバッジを装着…違反じゃないだろ?こいつらは俺の武器…つまり所有物だ。そして常に傍らに置けば所有物として問題ないだろう?」
「う…」
これではこの人をルール違反で生徒会に突き出せない。
ていうか生徒会が見てみぬ振りしている時点でこれはルール違反ではないのかも…
「これで満足かゴミ。早くバッジを渡せ」
「わ、分かったわ…」
私は諦めた。変なことをされるよりはよっぽどいい。
「それと…お前、新聞部だそうだな?」
「そ、それが何…?」
「情報をばらされると厄介だ。口封じさせてもらう」
「え?え?!」
男達が近づいてくる。
「な、なんで…?!」
「お前が知りすぎたからだ。好奇心旺盛は死を招くぞゴミ」
「う、う…」
男達は私の首に手を掛けた。
「な、何を…」
「ちょっと眠ってもらうだけだ。我慢しろ」
「い、いやーーーーーっ!!!」
グシュッ
そんなグロい音とともに私はその場に倒れた。
腰巾着の男達はそれを見てヘラヘラ笑っていたが、リーダー格の彼だけは最後まで冷たく、無表情であった…
登場キャラ紹介
松島七恵
新聞部所属のカメラマンで、3年生。
SFをリアルタイムで見るために参加したものの、バッジ獲得の餌食にされてしまった。
喉を潰され、意識を失った彼女は、病院に運ばれたものの、意識は回復していない。
佐渡隼人
佐渡財閥の若きリーダーで、3年生である。
ルールの裏返しや人海戦術を駆使し、SFを有利に進めている。
現在の黒幕的存在。
次回は「新ルール追加!現れた最強!」
とうとう名前だけ出てきた彼女の出現ですね。