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SF  作者: 霞川悠
23/27

第20話 レンとの出会い…そして試合!

更新再開!!

パソコンいじるのが面倒くさくて本当すいませんでした。

夢を見た。

それは、昔の記憶。

俺とレンが出会ったときの話。

俺はまだ幼い…小学校低学年のとき、一人の女の子が俺の家にやって来た。


「…」


「誰?」


俺はその少女に何故か、多少の懐かしさを感じたものの、まずは疑問に思った。

この子は誰? と。


「…」


しかし、少女は黙っていた。

しかも、俺の方を見向きもしない。まるで俺がこの場にいるのに興味が無いみたいだ。


「おうおう来たか」


そんなとき、父がその場にやって来た。

俺の父親は同級生の父より老けている、というか年配だ。俺を産んだときの父の年齢は40代の後半だから。


「司、今日からこの家で一緒に暮らす西表蓮華ちゃんだ」


「一緒に…暮らす?」


いくら小学校低学年の俺でもその言葉の意味は理解していた。

母親が事故で亡くなり、その入れ替わりのようにやって来た彼女。俺は少し混乱していた。


「そうだ。仲良く出来るか?」


もちろんこのときの俺は無垢だったので、たいしたことを考えもせずに頷いた。


「ぼく、つかさ。よろしく」


「…」


彼女は俺の出した手をジッと見つめたまま固まった。


「どうしたの?」


何を思ったのか、彼女は俺から視線をプイと逸らし、その場から立ち去った。


「…」


俺の右手は空中に制止したままだった。

隣の父親は少しだけため息を吐いていた。

それからというものの、俺は彼女とロクに話が出来なかった。俺や寧々、トモ姉が彼女に話し掛けても無視されるという日々が続いた。

そしてさらに彼女は問題児であった。

家のものは良く壊すし、人の話は聞かない、学校では浮いていた。そう、彼女は最低限のことしか喋らないのだ。

そして彼女も俺と同じく剣道をやっていたが、その剣は無情だった。そう、だからとある事件を引き起こしてしまう。


「痛っ!!」


寧々が強い衝撃に飛ばされる。


「寧々!!」


俺は寧々に走り寄る。


「大丈夫か?!」


「ヒック…ヒック…」


彼女は泣いていた。それはそうだろう。彼女はまだ小学校中学年なのだ。仕方が無い。むしろ声を押し殺しているところを褒めるべきだ。


「謝れよ!」


俺は寧々を突き飛ばした相手を睨みつけた。

しかし、彼女はそれに気にすることなく剣道の練習をしていた。

そしてその態度が幼い俺の心に怒りを宿してしまった。


「お前…!!」


「静まらんか!!」


俺が彼女に掴み掛かる直前に、父の怒声が同情内を舞った。

それと同時にその場が静まり返った。


「司、お前は寧々を連れて部屋に戻れ。泣き止むまで側にいてやれ」


「でも…!!」


俺は寧々に危害を加えた犯人を睨みつける。


「司!!」


「くっ…」


剣道中の父の言うことは絶対だ。昔から身を以って思い知らされている。

俺は唇を噛みながら、寧々を連れて道場を出た。俺の気分はもちろん晴れなかったが。

その後、レンは父から思いっきり怒られたのだが、表情一つ変えなかった。だが、父はそんなレンに何一つ文句を言わずに説教を止めた。正直言って不条理だった。レンに甘い父親は嫌いだった。

まあそれからいろいろあって今のレンがいるわけなのだが…まあ肝心な部分の記憶がごっそり抜け落ちているので、詳細は不明。聞いた話では、俺がレンのピンチを救い、それによってレンが俺に心服した…というものだが、どこまで正しいのやら。

おっと…ちょっと夢について考えすぎたようだ。今日は剣道大会なので、きちんと朝稽古をしないと。

俺は布団を出て、顔を洗いに洗面所へ向かった。


ガラガラ


「ふあ〜あ…」


「若様?」


「へ?」


そこには素っ裸のレンがいた。まあここは脱衣所としての役割もあるので、おかしくはない。おかしくは。だが…


「す、すまん!!」


俺は急いで目を背けて洗面所から抜け出た。


「あ、若様!」


俺は何も恥ずかしいと思っていないレンの言葉を背中で聴いた。





















とまあレンは俺に対して警戒心が無さ過ぎる。いくら家族同然だとしても、少しは考えてもらいたい。ただでさえ彼女はスタイルが良いのだ。俺が何も思わないわけが無い。


「若様、そろそろ」


放課後、俺はレンに話し掛けられた。


「あ、ああ」


レンめ。何とも思っていないのかよ。

まあそれより目的の場所…体育館に行かなくては。

俺はレンと一緒にそこに向かった。



















「は? 親善試合?」


俺は体育館での種貸主将の発言に聞き返してしまった。


「そうだぞ。俺は大会だなんて一言も言っていない」


「何ぃ?!」


俺は勘違いしていたのかよ!

気合いもきちんと入れ、緊張もしたんだぞ?!


「でも手は抜くなよ」


「当然です。相手に失礼です」


「そうか」


フッと主将は笑った。何かを含んでいる笑みだ。


「俺はこれとあと一回の親善試合で引退しようと思っている」


「え?!冬の大会は?!」


「俺もいろいろ忙しいからな。それに3年だ」


国立ペロポネソス学園にはもちろん国立ペロポネソス大学へ進学する人がいる。ただ、国立なので、エスカレータ式ではない。つまり、受験勉強をきちんとしなければどこの大学にもいけないということだ。実に耳の痛い話だ。


「でも主将ならスポーツ推薦で…」


「保険だ保険。勉強するに越したことはないし、損は無いだろう?」


確かに…この人は凄く真面目な人らしい。


「よう種貸!」


そんなとき、相手側の方から一人の男がこちらにやって来た。相手側の主将だろうか?


「おう永島!」


どうやら二人は知り合いらしい。


「例の約束を覚えているか?」


「ああ。俺達が勝ったらお前からマスチルのライブチケットを俺がもらう。そしてお前が勝ったら…」


種貸主将が何かをスラスラと言う。


「お前のDVDプレーヤーを貰う」


「何か俺の方が賭けてるものが高い気がするが…」


「何を言う!!このマスチルのライブチケットはもうソルドアウトだぞ?!」


「…」


俺は言い合う二人を見て嘆息した。

どうやらこの人がここまで真面目なのは自分のためらしい。何が真面目だ。

この人は真面目では、ない。


















剣道の試合が始まることになり、俺達は整列した。ちなみに俺は大将。

出来るだけ部外者の俺に回したくないというのが理由らしい。


「みんな〜!頑張って〜!!」


生徒会長の竹島千草の声が聞こえる。

彼女も見に来ているのか。まあ生徒会長だし。

ちなみに、観戦者はあと、知っているのはジョージ、レン、トモ姉、まあ後は…ん? 真理恵もいるみたいだ。これからの戦いの参考にでもするつもりなのだろうか?


「先鋒! 前へ!」


ちなみにうちの先鋒は種貸主将だ。

そして相手の顔は顔面蒼白。そりゃそうだ。種貸主将は高校生とは思えぬ実力だ。


「初め!!」


そして、試合が始まった。


「ヤァッ!!」


種貸主将が声を出す。剣道はこのように掛け声を出すのだ。声が出ていないと一本にならない。


「突きぃ!!!!」


「一本!!」


「え?」


気がついたら種貸主将は相手から一本を取っていた。

俺は目を疑った。相手は全く動けなかった。そう、それほど鋭い突きだ。俺も捌ける自信は無い。


「すっごい突きだね〜」


ただ、会長の脳天気な声は少し場違いな気がした。





















俺の番がやって来た。

ちなみに先鋒の種貸先輩は、あの後にもう一回突きを決め、たった二本で勝利。剣道の試合は基本的に三本勝負…つまり二本先取で勝利なのだ。つまりあの先輩は、二本中二本を相手に決めたのだ。いやはや、とてつもない強さを秘めている人だ。純粋にその強さは憧れる。

そして次鋒の副主将も一応勝利し、二連勝をして王手をかけた。しかし、種貸先輩の懸念したとおり、主力を欠いていたので、中堅と副将は負けてしまった。そして俺の出番というわけなのだ。


「司っち〜!頑張って〜!」


「司ちゃんファイト〜!」


「お前なら出来るぜ〜!」


「精一杯の実力を出してください、若様!!」


生徒会長、トモ姉、ジョージ、レンの応援が聞こえる。

少しだけ恥ずかしい。

そして相手を見る。相手は向こうの学校の副主将だ。おそらく結構な実力者だ。


「前へ」


俺と相手は互いに礼をし合い、右足から三歩歩いて仕切線で蹲踞(そんきょ)する。

ちなみに、蹲踞というのは…まあ調べた方が早いと思う。


「始め!!」


審判の掛け声と同時に俺達は立ち上がる。

相手との距離は少し離れており、普通は初期位置から打つことは出来ない。普通は。

だが、俺にとってこの間合いは充分打突の範囲である。


「面ぇぇん!!」


だから俺は迷わず立ち上がった途端に一本を放った。


「な…!!」


相手の顔が驚愕するのが見える。

そりゃそうだろう。普通はこんなこと出来る人はいない。いや、カウンターが怖くてやらない人が多い。それに、遠い間合いなので、外す可能性も高い。


スパーン!!


「一本!!」


だが、そんな間合いは俺にとって関係が無いのだ。

すでに神速を習得している身としては、この程度の間合いは近すぎるくらいだ。


「司っちすっご〜い!!」


「え? 司ってあんなに強かったのか?」


生徒会長の驚きが混じった歓声と、ジョージの驚愕する声が聞こえる。しかし、レンや種貸先輩はさも当然のように頷いていた。


「参ったなぁ…」


相手の溜め息を吐きながらの小声が聞こえた。

だが、その声に焦りなど感じなかった。むしろ、楽しんでいるような声だ。なかなか豪胆な男子生徒だ。


「始め!」


それからまた試合は仕切り直された。

さっきの戦法はもう使えない。俺は相手の出方を待つ。


「面ぇぇん!!」


「?!」


その反撃の機会はすぐにやって来た。

相手が動いたのだ。俺はそれをいなそうとするが…


スパーン!!


「一本!!」


「?!」


間に合わなかった…?

というか今の攻撃は誰かに似ていた。誰だ? レン? いや、違う。あの打ち方、スピードは俺だ。今、相手は俺の打ち方をコピーしたのだ。


「ほほう…与那国、これは苦戦必至だな」


種貸主将が楽しむように笑う。


「若様…」


レンの顔に焦りの表情が見える。

分かる。強敵だ。


「始め!!」


再び俺達は仕切り直し、試合を再開する。

現在は一対一。次を取った方が勝者となる。

実戦向けの剣道はやっぱり本格的剣道より不利なのだろう。だが、劣っているとは思わない。

俺は、まっすぐに相手を見つめる。

すぐに着く勝負じゃない。それだけは理解した。



















「お疲れさま〜」


生徒会長が俺にタオルと飲み物を持ってきてくれた。


「あ、どうもすいません」


「あ…」


それを見てレンが俺を見つめる。


「申し訳ありません! 気が利かなくて…」


レンが俺に深く頭を下げた。


「いや、別に大丈夫だから!」


「ずるいぞ司!!」


ジョージが涙目で抗議をする…でも、お前は何もしてないからその発言は意味不明。


「いいな〜」


トモ姉も俺を羨ましそうに見る。トモ姉も生徒会長ファンなのかな?


「さ、約束のものを渡せよ」


「ちっ!」


相手チームの主将がチケットを種貸先輩に渡していた。

全く…あの人は…


「与那国くん」


「あ…」


そのとき、俺と先程まで勝利を奪い合っていた相手が俺の元へとやって来た。


「強いね君。僕が同年代に負けたのは初めてだよ」


「え?」


それってめちゃくちゃ強いんじゃないですか?


「ありがとう」


「あ、はい…」


えーと…あなたの名前を知らないんですが…


「ああ! そういえばまだ名乗ってなかったね」


しかし、それを察したのか、相手はそんなことを言ってきた。

まあ苗字は剣道の垂に書いてあるので分かるのだが…


「僕は瀬戸せと孝平こうへい。2年生だ」


「同い年ですか…」


さっきの種貸先輩の会話で分かったと思うが、俺はこの瀬戸君に勝った。

時間がオーバーしたが、引き分けだと二勝二敗一分になってしまうので、時間無制限のサドンデスに突入した。共に細心の注意を払って戦い、中々勝敗が決さなかった。

そう、俺と彼の腕は互角であったのだ。俺は苦戦しながらも、最後は相手の体力が先に切れて勝った。どうやらSFのための基礎トレーニングが思わぬところで役に立ったようだ。


「でも君は剣道部じゃないんでしょ?」


「ええまあ…道場が忙しくて…」


半分は嘘だ。忙しいのはSFだ。道場も確かに忙しいが、部活と両立はギリギリ出来る…けど、疲れる。元々練習嫌いの俺がそんな選択はしない。でも剣道はしたい。

…矛盾してるなぁ。


「そうか…でもまあ、またどこかで会える気がするよ」


「え?」


何を根拠に?


「おーい瀬戸! そろそろ帰るぞ!」


「あ! 分かりました主将! じゃあ与那国君。また会えるのを楽しみにしてるよ」


「ああ。また試合しよう」


俺と彼は固い握手を交じわし、別れを告げた。…結構疲れたな。

俺はみんなの元へ戻り、帰る支度を始めた。今日はSFせずに帰りたいところだな。


「与那国」


「主将…」


しかし、帰る前に俺を呼びとめた種貸主将。

一体どうしたのだろうか?


「俺に剣道で勝てるか?」


「は?」


いきなりこの人は何を言うのだろう?

全国大会常連者のこの人に剣道で勝て?


「質問の意味が分からないのか?」


「い、いや分かりますけど! 多分無理だと思います」


「…俺が相手だと本気を出せないか?」


「いえ、本気でも無理です」


「そうか…」


種貸先輩はなぜか深く考え込み、しばらくたってから顔を上げた。


「お前、俺の時もそうだが、常に全力で戦うことを心掛けろよ?」


「は、はぁ…」


突然の発言につい気の抜けた返事しか返せなかった。


「お前はまだ強くなる。お前なら…」


「え?」


「いや…とりあえず…お疲れ様」


「はい!!」


こうして俺はやっと帰れることになった。

それにしても、あの人は妙に俺を気に掛けるんだな…

単純にそんなことを思った。




























―校内某所―


おかしいですネ…

ボクはケンドーというジャパンのブドーを見に行こうとしたのですが…


「くっ…」


目の前の相手が力尽きて倒れる。ちなみに胸にはバッジがついている。

つまり、相手はSF参加者。ボクもそうデス。


「はぁ…思わぬ相手に手間取ってしまいましタ…」


ボクは相手を見下ろす。

この人がいなければボクは体育館に行って試合を見れたのニ…

でも…


「おかしいデスネ…」


ボクは倒れる彼を見る。

彼の拳は素晴らしい破壊力を誇る強力なウェポンでしタ。しかし、彼は少しおかしい気がするのデス。

…上手く説明が出来まセンが、何かがおかしいと感じたのデス。

前までうろうろしていた大量のボーイ達とも何か違ウ。けれど、似ていル…


「とりあえず…彼の最後のバッジを頂きましょウ」


ボクは彼のバッジを貰い、ポケットにしまい込む。

それと共に彼の口から虫のような生き物が這い出てきまシタ。


「何デスカ?!」


ボクはその虫を素早くレイピアで突き刺した。

でもすぐに後悔した。生かしておけば、この虫を放った人物が誰だか分かるかもしれなかったのダカラ…

ボクは気を取り直し、前を見つめた。

本当の戦いは今、始まったのかもしれない…


次回は新たなSF参加者が発覚します!

そしてうどん争奪戦も…


次回は「うどん争奪戦と突然の訪問者」です!

出来るだけ更新頑張りますので、よろしくお願いします。

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