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SF  作者: 霞川悠
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第1話 思いつきで始まったとんでもない行事

うわぁ…アイケンと同時連載していると違和感がすごい…


何か…まあいいや。そして実はアイケンより女性キャラ量が多い。

その日、俺はいつもよりちょっとだけ長く寝ていた。

そう、それだけ。たったの5分。

なのに何だ?この仕打ちは何だ?


「布団に水ぶっ掛けて起こす奴がいるかぁぁぁ!!」


「ここにいるわよ!!」


俺の目の前に立っている制服の女。

腰に手を当てて俺を威圧している。


「自慢することか?!布団乾かさなくちゃいけないだろーが!!」


「乾かせばいいじゃない!」


「ぐぐ…他人事だと思って…」


俺は唇を噛む。こいつ…奄美あまみ寧々ねねは俺の幼馴染だ。

俺の道場に通い、剣道を習っている。あんまり強くないけど。


「若様!どうなされたのですか?!」


「うおっ!今度は何だ?!」


そんなとき、突然俺の部屋の襖が思いっきり開けられた。


「若様…なんでお体がそんなに濡れて…」


「あ、あーそれは…」


「朝稽古ですね!さすが若様!とうとう真面目に稽古をなさろうとしているのですね!」


「そ、そ、そうだよ!」


俺は誤魔化すことにした。だってこの人は口うるさい。

おっと…この俺を若様と呼ぶこの人は西表いりおもて蓮香れんかといい、俺のお目付け役、ボディーガード…まあそんなところだ。


「…汗にしては随分とクリアな匂いですが」


「うぇ?!」


「この匂いは若様の汗の匂いではございません!」


レンが俺に詰め寄る。というかこの人はある意味の「俺」マニアで、俺のことはなんでもお見通せるらしい。

ていうか汗の匂いとか記憶するなよ。


「では何故こんなに濡れて…おお?!ここにバケツが?!と、いうことは…お花の水遣りに失敗したのですね?!」


「何でそうなる?!犯人を割り出せよ?!」


俺は部屋の隅で知らん振りをしている寧々を指差した。

天然ボケなのか?未だに分からぬ。


「こら若様。人を指差してはいけません」


「…」


これでもこの人、俺と同い年の高2なんだぜ。

というかなんか会話がズレる…疲れる…


「だぁぁぁぁぁぁ!!!俺は着替えるからお前らは出てけ!!」


俺はレンと寧々の二人を部屋からたたき出し、元の平穏状態を取り戻した。


「ふぅ…」


「あ、バケツは片付けておいてください」


「開けるなよ?!」


ちょうど半裸状態のときに、レンが最後にそう言って襖を少し開けた。


「ではそれだけです」


そう言って彼女は襖を閉めた。どんだけマイペースなんだ…

俺は制服を見た。今日からまた学校か。

夏休みも終わり、今日から9月。


「やれやれ…」


俺は制服ではなく、胴着に着替え、道場に向かう。

そういえば自己紹介がまだだった。

俺の名前は与那国よなぐにつかさ。与那国道場の師範代だ。

というか単に俺の父が師範だから、っていう理由だ。

寧々よりは強いものの、レンには一度も勝てたことがない。

思えばレンも幼馴染なんだよな、一応。


「おはようございます」


俺は道場に一礼して中に入った。


「おはよう司。朝稽古にしては遅い時間だな」


「は、ははは…」


父親に言われ、俺は頭を掻く。朝稽古は午前5時からやるらしいが、夜更かし上等の思春期がそんな時間に起きれるはずもなく…


「まあいい。素振りはしていくんだろ?」


「はい」


俺は自分の竹刀を取り出し、つばをはめ、構えをとった。


「寧々、お前もやるか?」


「い、いえ…もう制服ですので…」


寧々はやんわりと否定した。というかこいつは単に面倒くさいだけだろう。


「こら司!よそ見するな!」


「は、はい!」


怒られてしまった。というかこの父親はかなり視野が広い。

さすがというところか。ダテに日本で5指に入る実力といわれているだけある。


「司、お前にはこの道場の師範代としての…」


また始まった。この父の欠点の一つは説教好きというところだ。

聞いてられない。というか同じことしか言わないから飽きた。

俺は適当に話を聞き流しながら、日課の素振りを終わらせた。


「おっ。やってるね〜」


「トモ姉おはよう」


「おはよっ」


俺に笑顔で挨拶してきたのは俺の姉貴分のトモ姉こと、屋久やくともえだ。

この人の家は弓道をやっており、トモ姉自身も弓道はすごい腕前。

姉と呼んでいる理由は、お姉ちゃんっぽいからだ。ちなみに年は俺より一つ上。


「珍しいね、こんな時間に」


「久しぶりに朝稽古覗きたくなったの。あ、レンちゃんと寧々ちゃんおはよ〜」


トモ姉は俺との挨拶もそこそこに、道場の中にいるレンと寧々にも挨拶した。


「おはようございます、巴姉様」


「おはようございます、巴お姉ちゃん」


ちなみにこの二人も巴をお姉ちゃん扱いにしている。

まあ昔からの付き合いだしな。


「俺はシャワー浴びてるから、レンもほどほどにしろよ」


「はい、若様!」


「…若様ね」


そういえばずっと「若様」に言及しないのは、無駄だったからである。

一度、「若様」はやめてくれ、と言ったのだが、では「ご主人様」にします、と言われたので、泣く泣く「若様」を容認した。

個人的に「ご主人様」でもいいが、外で言われると恥ずかしくて死にたくなる。

俺はそんなことを思いながらシャワールームに入っていった。














「では行ってきます」


「うむ。寄り道はするんじゃないぞ」


「はい」


俺は父に挨拶し、学校へと向かう。あ、レンと寧々とトモ姉も一緒だ。


「よう!司!今日も女侍らしてんな〜?」


「おい、ジョージ。お前は侍らせないのか?」


「侍らせられるなら侍らせるわ!!」


俺にそう言って話しかけてきたのはジョージ。一条いちじょう次郎じろう。だからジョージ。

別にハーフとかでもない、エセ外国人。


「一条様おはようございます」


「レンちゃんいつ見てもクールだね〜」


ジョージはレンに挨拶され、感激した。まあレンは礼儀正しいからな。


「ところで司。お前こんな噂を聞いたことあるか?」


「何だ?」


すると突然ジョージが声を小さくして俺に話しかけてきた。

大抵はロクでもないことだが…


「生徒会が何か大きいこと企画してるんだってよ」


「大きいこと?」


俺はジョージに訊き返す。


「ああ。何やら騒がしいことらしいぞ」


「騒がしいこと?そんなの学校の先生とかが許すのか?」


「だがな、生徒会長はあの「竹島たけしま千草ちぐさ」だ」


「ああ…彼女を止められるのは「長篠の戦の織田信長レベル」の人間だったな」


俺は至極納得する。とにかくこの生徒会長はやることがハチャメチャだ。

1学期にあった文化祭も、プログラムにないことをしたり、後夜祭の後に超後夜祭をやったりした。


「そういうこと。ま、実際どうなるか分からないけどな」


「そうだな」


俺はジョージたちとそんな会話をしながら学校へと向かって行った。














「はいはい〜!重要なお知らせがありま〜す!」


「ん?」


学校の敷地内に入ったとき、何やら生徒会の人たちが何か言っていた。


「今日の始業式が終わった後、体育館に集合してくださ〜い!」


どうやら生徒会長直々に呼びかけているようだ。

ジョージの言ったこともあながち嘘ではないらしい。


「な?俺の言ったとおり」


「そうだな」


俺は少しだけ頷いた。

一体何が始まるんだ…?


「ねえ司。何かあるのかな〜?」


「さあな」


俺は寧々の質問にそう答え、いつもの教室に向かう。

…何だか嫌な予感がする。


「じゃあね〜」


「ああ」


トモ姉と別れ、俺とレンと寧々とジョージは同じ教室に入った。

まあ実はクラスメートだったりするんだよ。

俺は生徒会の「お知らせ」の方が気になり、今日一日何も集中できなかったのであった。














「これより、生徒会による重要なお知らせを発表いたします」


ワアアアアア!!


歓声がかなり挙がる。まあ生徒会長は容姿が端麗のせいか、人気を博す。

俺にとっては縁のないことなので、気にはしてない。


「みんな!こんにっちわ〜〜〜!」


「こんにちわ〜〜〜!!」


生徒会長の挨拶にかなりの生徒達が挨拶を返す。

恐ろしいほどの会長人気。


「今日はね、みんなに大事なお知らせがあるの〜」


生徒達は一気に静まり返る。


「私ね、思ったんだ。この学園で一番強いのは誰だろう?」


何を言っているんだこの人は。幼稚園児か?


「それでね、決めたんだ。調べればいいじゃん、って」


「…」


俺は押し黙るも、嫌な予感が消えない。

まさかこの人、とんでもないことを考えてるんじゃ…


「スクールファイト!略してSFを開催することにしました〜〜〜!!」


ワアアアアア!!


周りから大きな歓声が挙がる。というかお前らツッコミはどうした。

この人のペースに呑まれるなよ。


「優勝者にはね様々な特権がつくんだよ〜〜。学食無料とか、ハーレムOkとか」


「なぬ?!」


ジョージが反応する。いや、お前は弱いからアウトだろ。


「参加希望の方は明日、応募してね〜〜〜!ルールの紙は掲示板に張っておくからね?」


ルール…か。ずいぶんと大それた企画だな。

まあ俺には関係ないか。しかしこのときレンの目が輝いていたことに俺は気がつかなかった。


「多い場合は抽選で25名にまで絞るからね〜〜〜!」


「は〜〜〜〜〜〜い!!」


男共、自重しろ。聞いてて恥ずかしくなる。

そしてそんなドタバタ劇は終了した。














「…」


俺は家に帰って無言になった。

何せ、父親から意外なことを言われたのだ。


「父上、もう一度言ってもらってもいいですか?」


「んぬ?何度でも言うぞ。そのスクールなんちゃらに出ろ」


「…エエ〜〜〜〜〜〜?!」


俺は父親の発言に驚いてひっくり返りそうになる。

父はこんな人だったか?


「我が道場の門下生を増やすいい宣伝になりそうだ。だから頼む!」


「ヒイ…」


そんな怖い顔で土下座しないでください。

それは脅し土下座ですよ。


「若様、私も賛成です。最強は与那国道場だということを思い知らしめてやりましょう!」


「レン…」


レンも賛成かよ…なんでこんなのに俺が…


「司!お前しかいないんだ!レンも出てくれるそうだから!」


「へ?」


俺がレンの方を見ると、レンは軽く頷いた。

そこからは自信が読み取れた。まあ確かに俺よりは余裕だろうけどな…


「若様!ご決断を!」


「う…わ、わかったよ!やればいんだろ?!」


俺のこの言葉で俺のSFが始まったのだった。

このとき俺はまだ気楽に考えていた。

所詮は学校でのお遊びだと。その考えが甘いと気づかされるのは、すぐ後のことであった…




登場人物紹介

与那国よなぐにつかさ


与那国道場師範代。本人も結構な腕前。

ただ、あまり練習が好きではない、どちらかと言うと天才肌の人間。

ただ、剣道は相当好きで、家が道場であることには満足している。

レンには一度も剣で勝てたことがない。

身長は175センチ。



西表いりおもて蓮香れんか


通称レン。与那国道場に通っている、というか住み込み。

なので、司とは幼馴染なのだが、何故か主従関係や母子関係みたいである。

剣の腕は相当なもので、道場内若手ナンバー1、全体でナンバー4の実力者。

天然ボケみたいなところもあり、司を困らせることも。

外見はショートカットの髪、身長は154センチとかなり小柄。しかし、胸は意外と大きく、さらしで隠している。



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