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SF  作者: 霞川悠
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第14話 打倒佐渡隼人!奇跡のタッグ結成!

司の運命はいかに?!



神速を破られた俺は、男とまだ諦めずに対峙していた。

そして男が語り始めた。


「地獄への狂想曲カプリッツィオを奏でてやる」


「?!」


男は大鎌を自分の前で1回転させた。


「逝け」


男は俺に大鎌を振りかぶる。

これは受けるしかない…


「う…受けては…ダ…」


レンの声は俺の耳に入らず、ぞのまま初撃を受けた。

しかし、グニャリと鎌の柄が曲がり、俺の右手首にヒット。


「あぐっ!!」


痛みで目を閉じてしまった俺は信じられない光景を目の当たりにする。


「刃が…曲がった…?!」


そして曲がった刃が俺の木刀を裁断した。


「な…!!」


「これで終わりだ。安らかに眠れ」


「くっ…」


目の前には鎌の刃。俺は丸腰。

殺しはしないだろうが、俺はここで負けたら敗退だろう。

1週間ルールによって。

くっ…

俺は目を閉じた。

ん?おかしいな?痛みが無いぞ?

俺はゆっくりと目を開けてみる。


「こ、ここは…!!」


この薄暗い部屋…最早おなじみの部屋だ。


「こんにちわ」


「あ、はい…」


例の如く、占い師ドレミが俺の背後から話しかけた。

なので、俺は彼女の方を見ることにした。


「前は有難うございます…」


確か彼女の言葉が戦いのヒントになった。


「ふふ。礼は結構よ。それが仕事だもの。それで、今度は何用かしら?」


そうだ…!

俺は今、大鎌の男と戦っていて…


「あの…ドレミさんはこれはもうダメだ…と思ったときはありますか?」


「あるわよ」


ドレミさんは即答した。


「人間だもの。そう思うことはあるに決まってるでしょ?」


どうやら彼女もそういうことがあるらしい。

つまり…


「あなたでも予言できないことはある、と」


「そうね…でも、貴方に関することなら答えられるかもしれないわね」


「へ?」


俺は首をかしげる。

彼女の言ったことはどういうことなのだろうか。


「悩みを言って御覧なさい」


「あ、えーと…」


俺は今の自分の状況をありのままに話した。

もうSFのことを隠しても仕方がない。それに、彼女は気づいているだろう。


「そういうことね。あなた、また弱気になってるわね」


「あ…」


「あれほど自分を信じろ、と言ったのにね」


「すいません」


でも、何とかなるのか?


「あなたは何を失ったの?手?足?違うでしょ」


「あ」


「あなた自身はまだ何も失われていないのよ」


彼女の言葉に説得力があるのは何でなのだろう?

俺が彼女の言葉を信じるのは何でなのだろう?


「自分を信じて。自分に語りかけるのよ」


「…はい!」


俺は再び目に闘志を宿した。


「いい結果を期待しているわ」


俺は堂々と扉を開けて元の世界に帰った。

目の前には大きな鎌。


「まだ…やられるかっ!!」


「?!」


俺は鎌の刃の部分を掌で挟んで止めた。

いわゆる白刃取りという奴だ。


「き、貴様…!」


男が鎌に力を入れる。


「絶対…放すか…!!」


「くっ…」


俺は渾身の力で鎌を止める。

力を抜いたらそれまでだ。


「くそっ!!」


男は鎌に力を入れるのを諦め、俺に回し蹴りをしてきた。


「ぐおっ!」


両手の使えない俺は、わき腹にモロにヒットした。


「ちっ…少しは骨のある奴だな…。いいだろう、今は生かしておいてやろう。だが、1週間ルールの期限はあと少しだ」


「?!」


そういえばそれを忘れていた。


「まあクズはクズらしくそこの倒れている二人…」


男はレンと寧々を指した。


「あの二人のどっちかからバッジを獲ればいいがな。幸いともに動けないしな。ハハハハハ!!!」


「くっ…!!」


寧々もレンもバッジは一つ。そんなことをしたらどちらかを俺が脱落させたことになってしまう!

俺は男を睨む。俺の取るべき手段はただ一つだ。


「お前のバッジを…獲りにいく…!!」


「ほう…分かった。屋上の監視塔にいるからいつでも来ればいい。ただ…時間はあまり無いがな。ハハハハハ!!」


男はそう言って去っていった。

今の俺には追いかけてもどうすることもできない…

武器も折られてしまったし…


「今は…こいつらを休ませよう…」


俺は寧々とレンを一人ずつ、近くの教室に運んだ。

机をくっつけて、その上に二人を載せる。


「若…様…」


「レン」


そのとき、レンが起きた。


「おい、まだ体は…」


「いいえ、一応平気です」


レンは俺の頬に触れる。

なんだかその部分の痛みが少し和らいだ気がした。


「っつ…」


「レン?!」


レンは自分の頬を押さえた。

まだ傷は癒えていないのだろう。


「若様…本気であの男を…?」


レンが珍しく不安そうな顔をした。

気持ちは分かる。俺も不安だ。


「ああ。お前が何を言っても、俺はアイツを倒す」


俺は握りこぶしを作る。


「アイツは俺に無い、何か強い意志を持っていた。でもだからって、アイツのした行動が許せるわけじゃない。アイツは俺の大事な奴らを傷つけた…だから俺はあいつを許さない。アイツを倒す!そして、SFを終わらせる!」


「若様…!」


レンが俺を見て驚愕する。


「これって、俺の確かな意志だよな?気剣体の気だよな?」


「はい!ですが…」


「分かってる」


レンは俯く。


「いくら強い意志を持ったとしても、俺はアイツより弱いことに変わりは無い。それに…武器も無いしな…」


俺は自分の折れた木刀を見る。

一番お気に入りの奴で、剣道型の練習でもよく使っていた。


「武器なら…私のがあります」


レンは自分の武器を俺に渡した。


「今の私にはこれしか出来ません。あなたの身を守ることも…出来ません!」


レンは悔しそうな顔をする。

こいつのこういう顔を見るのは久しぶりだ。


「だから…だから…!!必ず勝って…勝ってください!」


レンが泣きそうな顔で俺を見る。

本当に心配性な奴だ…


「はぁ…」


「「?!」」


そんなとき、廊下から大きなため息が聞こえた。


「誰だ!!」


俺は木刀を構えた。


「なに悲壮感漂いまくってるのよ。あんた達」


「真理恵!!」


「き、気安く呼ぶなって…コホン!」


教室に来たのは鎖使いの真理恵だった。

確か今は休戦中で…


「司」


呼び捨てかよ。

いつの間にか随分な仲になったものだな、俺達。


「アンタ、あいつを倒しに行くんでしょ?」


「お前、アイツのこと知っているのか?!」


「まあね。昨日は燃料補給に忙しくて言えなかったのよ。悪く思わないでね」


はい?燃料補給?


「あの男…佐渡隼人。3年生で私達より上級生。そして佐渡財閥の若きリーダー」


「ええ?!あの男が?!」


何かすごい人がいると言うのは知っていたが、人数が多すぎて把握できない。


「そ。例の男子生徒を金で扇動してるのも彼よ」


「そうか…あいつか…」


真理恵も少し嫌な顔をしていた。

彼女も気に食わないのだろう。


「頭にくるのよ。私も…!!」


「そうだな…」


俺はその佐渡のやり方は嫌いだ。

やっぱりイライラする。


「それで、鎖使い」


「何よ腰巾着」


「お、おいおい…」


相変わらず二人の仲はすこぶる悪い。


「若様、今すぐ休戦協定を破棄しましょう」


「レン!落ち着け!!」


レンの目が本気だ。本気と書いてマジと読む状態に突入だ。


「ま、いっつもくっついてるんだから否定しようが無いでしょう?」


何か真理恵の言葉には少し棘があるなぁ…


「お前もやめろよ…な?」


「…ふん。それで…アンタは佐渡と戦うんでしょ?」


「ああ。避けては通れない道だ」


俺の顔が険しくなる。非常に険しい道のりだからだ。


「そ。私が手伝ってあげてもいいわよ」


「え?」


「な?!そう言って若様を後で後ろから…」


「しないわよ!!そんな卑怯なこと!!」


「最初はしたような…」


「あの時はしょうがないでしょ!!」


「あああ!悪かった悪かった!!レンもマジ目は止めような?な?」


俺の失言のせいで二人の仲がますます…トホホ。


「ふん。もういいわ!勝手にすればっ!」


真理恵は怒って教室を出て行こうとする。


「待って!いや、待ってください!!」


俺は彼女の腕を掴んだ。


「な、何よ…」


「頼む!」


俺は土下座をした。


「え?!」


「若様!!」


「力を貸してくれ!俺に力を…貸してください!!」


俺は頭を深く下げた。かなり限界だ。

いわゆる地面にキス状態だ。


「ちょっ!何でそこまで…」


真理恵の顔が戸惑いを隠せなくなっている。


「俺にはお前が今、必要なんだ…」


「〜〜〜!」


真理恵の顔が真っ赤になる。

人に必要とされることってやっぱり恥ずかしいのだろう。


「しょうがないわ!そこまで言うなら…」


「最初に手伝ってあげてもいいと言っていたくせに…」


レンがボソッと呟いた。

お前ってこういうキャラだったか?


「何か言った?」


「な、何も言ってないよな?!」


「?」


俺が必死になって言うことに、レンは首を傾げている。

本当にコイツは…


「それで、佐渡の居場所は知っているんでしょ?」


「ああ。屋上の監視塔だ」


「そ。でもアンタは少し休みなさい」


真理恵が俺の体を気遣う。

まあ今は仲間だから珍しくはないか。


「若様、私も少しは動けるようになりました。だからここで寧々さんを守ります」


「分かった」


俺と真理恵が屋上に行き、レンはここで待機、という作戦に決まった。

俺は小一時間ほど、休み、廊下に出た。


「いよいよだな」


「ええ」


俺の手が震えてきた。

あの圧倒的強さを思い出す。

あれほど強いのは宮島先輩だけではなかったのだ。

やっぱり、ここには化け物が多い。


「大丈夫…?」


真理恵が俺の顔を心配そうに覗き込む。


「あ、ああ…でもアイツってメチャクチャ強いからさ…」


「それを考えれば、私のほうがアンタより倒せるかもね」


「そうだな…」


恐れのないであろう真理恵なら臆すこともないだろう。

それに、性格的にかなりの強気だし。羨ましい限りだ。


「じゃあ作戦通りにいくわよ」


「ああ」


俺が先に仕掛けて、佐渡を硬直させ、その硬直した佐渡を真理恵が鎖で狙い撃ちにする作戦だ。

俺が臆せずに突っ込まなければこの作戦は成功しない。


「失敗は許されないわ」


「ああ」


俺達は深呼吸をする。

そして俺は屋上の扉に手を掛けた。


「じゃ、行ってくる!!」


俺は勢いよく扉を開け、監視塔まで突っ走った。

そこに佐渡がいるはずだ。


「佐渡!!」


「来たか…クックック…」


佐渡は監視塔の上で俺を見下ろしていた。


「さて、存分に楽しませてもらおう!!」


佐渡は超スピードで俺のところまでダイブをした。


「?!」


何て奴だ。恐怖を欠片も感じていない。

俺はその思い初撃を何とか受けることに成功する。

レンの木刀は俺の木刀より短いので、力が入りやすい。


「ぐうっ!!」


しかし、この硬直がチャンスだ!!


「今だっ!!」


「何ぃ?!」


俺の叫びと同時に上から真理恵が跳んでやって来た。


「覚悟しなさい!佐渡隼人!!」


彼女は十本全ての鎖を佐渡に放った。


「くっ!!」


佐渡の顔が歪む。

俺達の好機が到来した。






<次回へ>





次回「佐渡強し!暴走への円舞曲!」



佐渡隼人との戦いは長くなりますね〜。

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