第12話 仕掛けられたクナイ!救済の閃光!
土日は隔日更新にします。
土日は執筆が出来ないので…
朝起きたとき、体がすごく重かった。
別に何かが俺に乗っかっているわけでもない。
ただ単に疲れが溜まっているだけなのか、嫌な夢でも見たのか…
だが、そんなものを気にしている余裕は俺には無い。
早速胴着に着替えて、道場に向かわなくては。
俺はダルイ体をフル稼働させ、道場に向かった。
「おはようございます若様」
「ああおはよう」
レンはすでに道場で正座して待っていた。
さすがはレン。俺より気合が入っている。
「若様…お顔があまり優れないようですが…」
「え?そうか?」
俺は鏡を見てもなんとも思わなかったぞ。
「いつもより血の気が無いように感じられます」
「そうか?気のせいじゃないの?」
「いいえ。私は若様のことならほぼ何でも分かります。若様の匂い、若様の体格、若様の…」
「もういいもういい!恥ずかしいから止してくれ!!」
「?」
レンは再び首をかしげる。
こいつは本当に俺に対して何とも思わないのかねぇ…
ちょっと悔しいぞ。
「確かに俺はいつもより寝覚めは悪かった。それだけだ。メシ食えば何とかなるって」
「そうですか…ですが、あまり無理はなさらず…」
「分かってるって…」
やっぱりレンは口うるさいな。
本当に俺の保護者みたいだ。まあ母さんなんて顔ももう覚えていないし…
「ではウォーミングアップと…神速を見せてください」
「ああ…」
そういえばレンの前で神速はまだやったことなかったな。
俺は態勢を低く構える。
レンもそれを見て身構える。
「いくぞ!」
「はい!」
それと同時に俺は地面を蹴った。そして一歩でレンとの距離を詰める。
そして俺はレンに横薙ぎを放つ。
「やあっ!!」
パーン!!
竹刀と竹刀がぶつかった音が聞こえた。
やはり父のように折ることは出来ないか…
「どうだ?」
「…素晴らしいです…!若様はさすがです!ほぼ完璧に神速は習得できています!!」
「そ、そうか…?これなら宮島先輩にも少しは…」
「それはまだ無理ですね」
「そうだよなぁ…」
やっと俺はスタートラインに立てたのだ。
つまり、本当の特訓もこれからだ。
「じゃあ昼食を食べた後に学校に向かおう!」
「はい!」
俺達はこのまま朝稽古に明け暮れた。
食卓には中々豪勢なメニューが載せられていた。
今日も朝食をトモ姉が作りに来てくれた。
俺達にとっては嬉しい限りだ。
「司。与那国流第一奥義、神速を習得したそうだな」
「あ、はい」
俺は父親にそんなことを言われた。
「よくやった。だがまぁ…少し遅かった感もあるが…」
それは俺の練習嫌いのせいです。
特に朝稽古は面倒くさくてしょうがなかった。
「へぇ…なんだか知らないけど、司ちゃんよかったね〜!」
トモ姉に俺は頭を撫でられる。
「い、いいよ。恥ずかしいから!」
俺はトモ姉を引き剥がした。
するとトモ姉はかなり残念そうな顔をした。
「折角私が褒めてあげてるのに〜」
「いやまあ…それはありがたいんだけどさ…」
さすがにこういうのは恥ずかしいというか…そういう年頃なんですよ!察してくれ!
「あれ?寧々さんがいませんね」
「あ、ホントだ」
昨日のことやSFのことで訊こうと思ったことがあったのに…
「たまにはこういうこともあるんじゃない?」
トモ姉は特に気にはしていない。
まあ気まぐれのアイツのこと、気にすることの方がおかしいのかもしれない。
「そうだな…」
でもまあ、あいつの家に顔でも出してやるか。
俺はそんなことを思いながら味噌汁をすすった。
俺は昼飯を食べ終わった後、寧々の家に向かった。
レンにもちゃんと許可を取ったので、レンには道場で待ってもらうことにした。
俺は寧々の家のインターホンを鳴らした。
「はーい」
すぐさま、インターホンからそんな声が聞こえた。
多分寧々のお母さんだろ。
「突然すいません。与那国司ですけど…」
「司ちゃん?!寧々に用なの?」
「はい。寧々はご在宅中でしょうか?」
「う〜ん…それがね、何か朝にどこかに出かけちゃったのよ…」
「え?」
寧々が出かけた?友達とどこかに出かけたのだろうか?
いや、それとも…
「寧々はそのとき制服を着ていたんですか?」
「そうだわねぇ…確か制服を着ていたかもしれないわねぇ…」
「そうですか…ありがとうございます!」
「あ、司ちゃん!お茶でも飲んでいけばいいのに!」
「いえ、それはまた別の機会にします。さようなら!」
俺は急いで寧々の家の前から離れ、道場に向かう。
寧々が制服を着て行く場所…学校か、それとも…
いや、間違いなく学校だ。
だが、わざわざ土曜日にどうして…
忘れ物?ならもうすぐ帰ってくるだろう。
と、すれば答えは自然ととある場所に行き着いてしまう。
「レン!」
「若様、どうでした?」
俺は門前で待機していたレンを呼んだ。
「寧々は今学校にいる」
「それはつまり…」
「ああ。十中八九、寧々はSF参加者だ」
「…そうですか」
レンは複雑そうな表情を見せる。
実際、俺も複雑である。例えば、寧々がもし目の前にいたとして、戦えるか?
…多分無理だ。だが、寧々は俺達に参加していることを言わなかった。
それは俺達に参加していることを知られたくないという証拠。
何かしらの理由があるんだろうが…俺も寧々もまだ、バッジ獲得を達成できずに出会ってしまったら…
「若様。学校に行きましょう」
「ああ」
俺は力強く頷いた。
そうして、俺達も寧々に遅れて学校へと入っていった。
土曜昼間の学校は恐ろしいくらいに静かであった。まるで、平日の夜の学校みたいに。
「なあ。学校自体の様子がおかしくないか?」
「多分殺気や闘志によって校内に殺伐とした空気が漂っているのかもしれません」
学校に塀から侵入した俺達は、裏庭でそんなことを会話していた。
ていうか裏庭と言ったら…
「真理恵のトラップは?!」
「私達には反応しないようにしているのかもしれません。現に罠の気配はあるのに、発動する気配が感じられません」
真理恵のヤツ…俺達のためにトラップを解除したのかな?
「それとも…」
レンが腕を組みながら考える。
「外されたのか…」
「外されたって…罠?」
「はい」
レンによれば、敵によって密かに罠を外された可能性があるということ。
「じゃあレン、先に進もうぜ…ん?」
そのとき、俺達…いや、俺の周りに急に霧が立ち込めた。
「…敵、か」
俺は目を閉じて気配を探知する。
多分これは敵の結界というヤツで、俺とレンが狙われた。そして、標的は俺だろう。
そしてレンは必死に俺を探しているのかもしれない。
「…近くにいることくらい分かっている」
俺が敵に語りかけるも、返事がない。
「…右斜め45度!」
俺は切磋に目を開いて木刀で飛んできたクナイを防いだ。
「背後斜め30度!」
次に俺は一回転して続いてのクナイも叩き落した。
「左右同時、ともに45度!」
俺はバック転でそれをやり過ごす。
遠距離から俺を狙ってくるとは、随分と卑怯なヤツだ。
「おい!俺に遠距離攻撃は無駄だぜ」
そして敵を挑発してみる。
しかし反応が無い。つまり、近づく気はないということか。
「ならばこっちから…?!」
そのとき、クナイの気配が全方位から感じた。
全方位攻撃だと?どうやって防げばいいんだ?
「ちっ…」
俺は周囲に目を凝らす。どうすれば…どうすれば…
ヒュッ
そのとき、俺の前を一本の閃光が通った。
「わっ!」
そしてその閃光が俺の周囲に降り注ぐ。
「な、何だ?!」
その閃光は次々とクナイを撃ち落とし、俺の周りにとうとうクナイの気配が無くなった。
「これって前にも…」
俺は地面に刺さっている矢を見る。
確か、真理恵と男子生徒達に追い詰められたときもこの矢で助けられた。
「誰が俺の味方を…?」
「若様!!」
そのとき、霧が晴れ、レンの姿が見えた。
敵は去っていったようだ。
「大丈夫でしたか?!」
「ああ」
俺は周囲に散らばるクナイと矢を見ながらそう言った。
「無事でよかったです…では、校内に行きましょう」
「ああ」
それにしても俺を襲ったやつ…忍者みたいな奴…まさか…
いや、そうだ。アイツはレンと戦った奴だ。
「どうかしましたか?」
「いや…」
俺は考えるのをやめる。
このことに関しては、今日の夜にレンに言えば良いか。
―繁華街―
厳島真理恵は深夜の繁華街を歩いていた。
深夜なので、普通は店は閉まっているはずなのだが、ここはまだ賑やか。
彼女はそんなところを一人、派手な格好で歩いていた。
髪の毛をきちんとセットし、服装は露出の多い格好。化粧もきちんとし、スカートの丈はものすごく短い。
「ねえ彼女。一人?俺達と遊ばな〜い?」
そんなとき、いかにも遊び人みたいな5人の男達が彼女を囲んだ。
みんな下卑た笑いを浮かべ、考えていることなど丸分かりだ。
彼女はそんな彼らにニコリと笑った。
「どういう風に楽しませてくれるの?」
彼女は媚びたような顔をして、彼らに告げた。
「そうだね…キミを快楽の彼方へと導いてあげられるよ」
「それは楽しみだわ」
真理恵は満面の笑みで応対をする。
「じゃあ、じゃあ、俺達と遊んだ方がいいって!!」
男達の一人が鼻息を荒くして近づいてくる。
真理恵はそんな彼らに嫌な顔一つせずに応対した。
「う〜ん…でもちょっと人数が多すぎるかな…」
「え〜!じゃあさ、何人がいいの?」
男達の厭らしい顔は直らない。
完全にケダモノ化している。
「一人ずつ相手をしてあげるわ。順・番・よ」
「ウッヒョ〜!可愛い顔して結構エッチだね〜!」
男達は喜ぶ。
「ジャンケンで順番を決めてくれる?一人が済んだら順番に呼ぶから」
真理恵は笑顔のまま、男達を見た。
まるで、今の時間を楽しんでいるかのようだ。
「分かったぜ!よ〜し!ジャンケンポン!!」
男達は躍起になってじゃんけんを開始した。
みんな一番を所望らしい。
「よっしゃ!まずは俺だな!」
「ちっ!まあいいぜ」
「じゃあ行こうぜ!ドコ行きたい?」
「あなたと二人っきりになれる場所…」
「わかった。とっておきの場所に連れてってやる」
男は真理恵の肩を抱いてラブホテルへと足を進めた。
「フフ。男の人って本当にエッチな人ね…」
「へヘヘ…」
男と真理恵はそう言ってホテルへと入って行ったのであった…
次回は「破られた神速?!地獄への狂想曲!」
司の大ピンチが到来。
相手は…