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SF  作者: 霞川悠
12/27

第10話 脱出せよ!闇夜の学園!

司の男の見せ所ですね。

さて、どうなのか…

俺は夜の学校廊下の曲がり角で「あの」鎖使いに遭遇。

そしてそのままなし崩し的な戦闘を開始してしまう。

彼女の鎖を使ったトリッキーな攻撃に、俺は倒されそうになってしまう。

だがそのとき、占い師ドレミの言った言葉が勝利へのヒントになった。

俺はそのヒントを生かし、鎖使いに神速をお見舞いし、彼女の撃破に成功する。

しかし右足を負傷していた俺は神速による負担で片膝をつく。

そんな俺達を学校内をうろうろしていた男子生徒達がニヤニヤして囲んでいた。

どうやら俺達は嵌められた様だ。初めからこれが狙いだったようだ。

絶望する俺と鎖使い。

だがそのとき…


「え?」


一本の閃光が俺達の目の前を通り過ぎた。


「ぐあっ!!」


それと同時に俺達を囲んでいた男の一人が吹っ飛ばされた。

何が起きたんだ…?!

俺は目を凝らしてよく見る。

男に刺さっていたのは…矢だった。


「な、なんだ一体?!」


男達と俺達は一斉に矢が飛んできた方角を見る。

しかし、遠すぎて誰がいるのかがよく分からない。


「ぐあっ!」


そして今度は二人目の男が飛ばされた。

もちろん矢で。


「おい、今のうちに逃げるぞ」


鎖使いは俺の発言に頷いて逃げる態勢に入る。


「待ちやがれ!!」


それに気がついた男達は5人ほど俺達の前に立ちふさがった。


「くっ…!」


負傷している足で逃げ切れるか…?

俺は彼女を見やる。

彼女も悔しそうな顔をしている。


「へっ…これでお仲間がまた増えるぜ」


男達はそう言って俺に近づく。

が…


ビュオオオッ!!


「?!」


すごい音がして矢が5発、5人の男達に命中。

何という精度の高さ。どこの誰だか知らないが、助かった。


「今のうちだ!」


「うん!」


俺は鎖使いと一緒に走った。

だが…


「くっ…」


彼女は足が限界のようで、顔がかなり苦しそうだ。


「誰かが足止めしてるから大丈夫だろう…俺の背中に乗れ!」


「だ、大丈夫よ!それくらい!」


俺も足が負傷しているが、我慢するしかない!


「いいから!!」


俺は鎖使いに強く言った。

このままじゃコイツを気にして逃げられない。


「う、うん…」


彼女は少し俯いて俺の背中に乗る。

全く…何を恥ずかしがってんだか…


「行くぞ!」


俺は駆け足で家庭科室に向かう。

レンと合流すれば後は何とかなるはずだ。


「若様!!」


「おっ!ラッキー!」


前方からレンが走ってくるのが見えた。


「レン!」


「若様!っ!こいつは?!」


レンが鎖使いを見てびっくりして、そして身構えた。

鎖使いもキッと彼女を睨む。


「レン!話は後だ!俺達は今追われてるんだ!力を貸してくれ!」


「…分かりました」


レンは渋々俺の言ったことを了承した。

鎖使いを見る目は依然として厳しい。


「ほら。後ろから声がするだろ?」


「…ですが、どうやって逃げますか?私としては戦ってもいいのですが…」


「いや、あいつらにお前の力を見せられない。すでに俺達二人は見られてしまった」


「詳しい話は分かりませんが、若様がそうおっしゃるなら!」


レンは俺の隣に来て併走した。

しかし、このままでは追いつかれるのも時間の問題。

何せ俺は右足には大量の血…


「しまった!」


俺の血の跡を奴らは追ってきているのか!!


「レン!どうやら俺の血がいけないらしい!」


レンが足元を見る。


「若様!」


「だからこのまま校内を逃げることは…!」


俺はこの間のことを思い出した。

俺と鎖使いの1回目の戦いのときだ。


「なあお前。使える鎖、何本ある?」


俺は背負っている彼女に質問した。


「え?…一応2本ほど」


「よし。お前、前に俺と戦ったときに、鎖をターザンロープみたいに使ってたよな?」


「若様まさか…」


「出来るか?」


俺は彼女に訊いた。


「…し、仕方ないわね。私の力が必要なんじゃしょうがないわ」


俺達は近くの教室に入った。

そして彼女は俺の背中から降りて、窓の外の木に向かって2本の鎖を刺した。


「はい、貴方達…アンタが一番重そうだから、アンタは一人でそっちの鎖」


俺は彼女に指示されたとおり、一人でぶら下がることに。

そしてレンと鎖使いが一緒の鎖に掴まった。

…あの二人、大丈夫かな…?


「おい!あの教室に入ったぞ!」


「ヤバイ!急ぐぞ!」


俺達は一斉に鎖に掴まって、木の方へと飛んだ。


「ああ!!」


後ろから声が聞こえるが、俺達は無視した。

そして、何とか一つ目の木に到着した俺達。


「で、これを学校を出るまで繰り返してくれるか?」


「しょうがないわね…」


彼女はため息を吐きながらも、全然嫌な顔はせず、俺の言うことに従った。


「ありがとう」


「別に」


しかし、俺の感謝に対して彼女の返事はそっけないものだったけれど。

そうして俺達は何とか学校外へ逃げ出すことに成功した。


「はぁ…助かった…」


俺達は一応胸を撫で下ろす。

一応校外なので、襲われることは無いはずだ。


「ふう…」


「わっ!」


そのとき、疲れが限界に達していたのか、鎖使いは俺のほうへ倒れこんだ。


「ちょっ…大丈夫か…?」


「若様。気を失っています。結構疲労していたのでしょう」


「そうか…って俺も結構足が…」


「あ!申し訳ありません!」


レンは自分の胸元に手を突っ込んだ。


「?!」


そして取り出したさらしを俺の足に巻いた。


「レ、レン?!」


「どうかしましたか?」


「い、いや…」


忘れていた。レンはこれがデフォであった。

ただ、巻かれている生地の生暖かさが…エロい。


「?」


レンは俺を見て首をかしげる。


「な、何でもない。とりあえず、こいつはウチまで送るけど…」


「…仕方ないですね」


やっぱりレンは不服そうだ。

この二人、初対面が最悪だからな…


「すまん」


「いえ、若様の言うことは絶対ですから」


…良かった。俺が鬼畜な野郎じゃなくて。

レンがもしとんでもないヤツに仕えていたら…大変だな。


「あ、レン。お疲れ様」


「若様も」


俺達はそう言い合って、夜の帰り道を歩いた。




















翌朝、傷を一応治した俺は、昨日と同じ朝稽古をしていた。


「若様!傷は大丈夫なんですか?!」


「何かもう治ってる」


「え?」


レンが俺の右足を見る。

少し傷跡はあるものの、結構傷跡は消えていた。


「すごい回復スピードですね…」


「そうだな…」


自分でもこれは驚きである。


「へぇ…随分と大きな道場ね」


「よう。起きたか。体は大丈夫か?」


道場に鎖使いがやって来た。


「まあね」


レンはまた身構えている。


「な、なあ…俺達さ、一応今は休戦協定を結ばないか?」


「「ええ?!」」


二人同時に俺のことを見つめた。


「いやさ、何か今、学校に変な男達がいるだろ?あの件が片付くまでだよ。あ、俺はもちろんずっとでもいいけど。お前もそう思うだろ?」


「…ならお前って呼ぶのは止めてくれないかしら?」


鎖使いは俺をチラっと見てそう言う。


「じゃあ何て呼べばいいんだ?」


「厳島でも、ま、真理恵でも…」


「じゃあよろしくな真理恵」


「…!!き、気安く呼ばないでよ…」


そう呼ぶと真理恵は顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。

いや、じゃあ何で真理恵って言ったんだよ。


「若様、それで今日なんですが…」


「あ、そうそう。俺達で情報交換しないか?」


「いえ、それよりも…」


レンが声を潜める。

何かまずい事でもあるのだろうか。


「昨日の学校の荷物を持って帰っていません。急いで持って帰って入れ直さなくては」


「そっちかよ!!」


俺はレンの天然ボケに呆れる。

ちなみに真理恵もため息を吐いていた。


「私は一応家に帰るわ。そ、それと…あ、あ、あああ…あ、ありがと…」


彼女はそっぽを向いたまま蚊の鳴くような声で感謝をした。

素直じゃないヤツだな…


「じゃあレン、俺達は学校に行くか」


「はい」


そうして真理恵は家に帰り、俺達は学校に向かうことになった。



















「寧々」


学校から帰宅した跡、食卓上でぶっ倒れている彼女に声をかけた。


「お腹空いた…司〜。何か作ってよ〜」


寧々はジタバタする。

いや、お前は家で食べてこれるだろ。

こいつはトモ姉の作ったご飯を愛すあまり、朝は絶対ここで朝食を摂るのだ。


「トモ姉は?」


「見てのとおり不在」


「オイオイ…」


と、いうことは俺が作る羽目になるかもしれない。

勘弁してくれよ。俺は結構疲れてるんだ。


「だってよ、お前さ、俺が作った料理食べてトモ姉と比較して文句言うだろ?」


「言わない!言わないから作って〜〜!!」


「コンビニにでも行け」


「ヤダヤダ!一歩も動けないも〜ん!」


寧々は子供のようにその場にジタバタしていた。

こいつは本当に…


「では私が作りましょうか?」


レンが食卓に顔を出した。


「「いや、あなたは下がってください!」」


「そうですか。残念です」


俺と寧々は同時に拒否の言葉を唱えた。

レンの料理では死者が出てしまう…

レンは特に気にもせずに自室へと戻っていった。


「さて、寧々。お前には二つの選択肢がある。一つ、今すぐコンビニでパンでも買ってくる。二つ、これまで自分がした俺への悪行を土下座で謝罪して俺に作らせる」


「今まで散々舐めた口聞いてすいませんでした!」


寧々は速攻で俺に土下座をした。

こいつはプライドの欠片もねえようだ。


「…しょうがねぇな」


俺は仕方なく朝食を作ることにした。

何だかんだいって甘いな、俺も。






















―某所―


「現在の戦況は?」


「佐渡が圧倒的有利に戦いを運んでいる」


事務的で、感情の篭らない二つの声が、薄暗い部屋に響く。


「宮島の動きは?」


「佐渡との接触は出来ていない。いや、佐渡が嫌がってるのだろうな」


「そうか…」


そんな薄暗い部屋に一人の女性が入ってきた。


「何々?どうしてそんな深刻な顔をしてるの〜?」


「これは会長」


会長と呼ばれた女性はニコニコしていた。


「ふ〜ん…SFも結構進んでるんだね〜」


彼女は手元の資料を適当にパラパラと捲っていた。


「じゃあね。私、今から仕事しなくちゃいけないから」


「気をつけて」


「大丈夫だよ〜」


会長が部屋から出ていき、さっきまであった明るい雰囲気は消失した。


「さて…これからどうなることやら…」


彼らはクククッと薄気味悪く笑った。

まるでSFは自分達の遊びであるかのように。



次回は「激戦の予感?!深まる謎!」です。


SFについての謎が一つ出来上がります。

そしてSFは激しくなっていきます。


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