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SF  作者: 霞川悠
10/27

第8話 習得せよ!与那国流第一奥義、神速!

また題名が変わっています。

すいません。

朝、俺はいつもどおりに稽古をしていた。

レンと一緒にな。


「踏み込みが甘いです!」


「ヤアッ!!」


俺はレンとのいつものぶつかり稽古をする。

レンは軽い割に中々の力強さだ。それにスピードも相当なものだ。


「おお、司、レン、やっとるな」


「父上…」


そんな稽古中に父が俺達の元にやって来た。


「例のあれは順調か?」


多分SFのことだろう。


「はい、一応」


「そうか」


父は自分の竹刀を取り出した。

そして俺に向ける。


「え?」


「与那国流奥義の一つ目を見せてやろう」


「与那国流奥義?!」


与那国流奥義とは4つある与那国流の必殺技みたいなものである。

確か1つ目は素早い踏み込みで相手に近づいて一閃する、神速だった。

ちなみにレンは一つ目をすでに習得している。

これを3つ習得すれば、師範になることが出来る。

そしてこの奥義を4つ習得している者は、現在は父だけである。


「お前は反射神経はすでに一流だ。それにスピードもある。だから見せてやろう。レン、相手を頼むぞ」


「はい!」


俺の目の前でレンと父が対峙するのを見た。


「行くぞ!」


「はい!」


バキン!!!


「?!」


気がつくと父はすでにレンの背後にいた。

そう、一瞬だった。

父が態勢を低くした途端に、すごい音と共に父がいつの間にかレンの背後にいた。

そしてレンの竹刀は完全に折れていた。


「…レン、よく受け止めた」


「しかし…」


レンの手は震えていた。多分あまりの威力に手が痺れてしまったのかもしれない。

だが、それでも俺にとってはすごいことだ。あの父の攻撃を1撃でも受け止められるとは…


「で、司。分かったか?」


「…早すぎてよく分からなかった」


「まあそうか…」


父が頬をポリポリと掻いた。


「レン、司にそれを教えてやれ。これぐらいなら司も習得できると思う」


「はい!」


レンは2年前にすでに神速を習得した。

与那国家でない者でこの習得の早さはナンバーワンであった。

それほどレンの才能はすごい。いや、俺が大したことないのか?


「では行きますよ、若様!」


「おう!」


俺はレンと共にまた稽古を継続した。まずは足の踏み込みから。

























授業ってどうしてこうも眠いんだろうね…

隣のジョージは寝てるし、寧々はうつらうつらしてるし。

その割にレンはきちんとノートを取っている。

ああ…俺も寝られたらな…だって寝たらレンに起こされちゃうんだよな…


「はぁ…」


「与那国、私の授業でそんなため息とは、いい度胸だな」


「いいいい?!」


いつの間にか教師が俺の前に立っていた。

隣のジョージにこぶが出来ているのを見る限り、ジョージを起こすついでだったのかもしれない。

なんと運の悪いことか。


「さて、ちゃんとノート取っているか?」


「わあああ!!」


先生に思いっきりノートを覗き込まれた。


「これ、先週の部分だが」


「き、気のせいですよ!アハハハ…」


俺は数式を適当に羅列して書いてある自分のノートを見る。


「そうか。じゃあ明日までに例題10を解いてきなさい。宿題よ」


「マジかよ…」


ただでさえSFで忙しいのに…

というかジョージの方が確実に悪い気がするのに、俺の方が罰がきつくない?


「司のバーカ」


「くっそ〜…」


寧々にまでせせら笑われ、この理不尽な授業は終了した。


















「絶対あの教師、俺のことが嫌いだ」


昼休み、屋上でトモ姉、寧々、レンと食事をしているとき、俺は先ほどの授業の愚痴を言った。


「レンはどう思う?」


「そうですね…少しやりすぎでは?という感はありますね」


「だよな〜。レンもそう思…」


「ただし!!」


レンが俺の発言を遮って俺を睨む。

何かまずかったかな…?


「ノートを取らなかったのはいけません!だから自業自得です!」


「へーい…」


「何かレンちゃんの方が私よりお姉ちゃんって感じ〜」


トモ姉が俺とレンを見比べながらそう言った。


「いやいや巴お姉ちゃん、あれはどちらかと言うとお母さんね」


今度は寧々が俺達を批評する。もう勝手にしてくれ。


「でもさ〜。レンちゃんって司のことどう思ってるの〜?」


トモ姉がレンに軽い調子で話しかけた。


「私ですか?若様は若様ですが…」


「や、そういうことじゃなくてね」


寧々が口を挟む。


「レンは司をどういう目で見てるのか?ってことよ。例えば弟とか、息子とか、男とか?!」


最後の方で少し興奮しているぞ、寧々。


「そうですね…主君みたいなものです」


「…」


「…」


「…」


俺達3人は押し黙る。

この答えは予想外と言うか予想通りと言うか…反応しづらいものではある。


「?」


そんな空気に首をかしげるレン。

理解した、レンは多分KYだ。




















その日、俺達は何もせず帰ることにした。

俺の特訓のためだ。個人的には早めにバッジを取りたいのだが、慌てて失敗したら水の泡だ。

だから俺は我慢してレンと一緒に稽古に励む。


「あ、司ちゃんとレンちゃん!」


「おう、トモ姉」


そんなとき、トモ姉が道場にやって来た。


「稽古に精が出てるね〜」


「トモ姉はどうしたの?」


「私は今日もご飯を作りに」


「サンキュ!」


俺はトモ姉にまた感謝した。

トモ姉の作るご飯は美味しいからな。レンも何だかんだで満足するだろう。


「あれ?」


しかし俺は一つ気になることを発見した。


「トモ姉、その指、どうしたの?」


俺はトモ姉の左手中指の絆創膏を指指す。


「あ、これ?これはちょっと料理で失敗しちゃって…」


「おいおい大丈夫かトモ姉?俺も夕飯作るの手伝おうか?」


「いいから。大丈夫だよこれくらい」


トモ姉は笑顔で俺の提案を断る。


「そうか?まあ無理はしないでくれよ」


「うんうん」


トモ姉は笑顔で頷いて道場から出て行った。

それにしてもトモ姉が料理で失敗…珍しいこともあるんだな。

俺の記憶ではトモ姉が料理で失敗するなんて滅多にない。

最後に失敗したのは小学生の頃だったかなぁ…


「若様、稽古を続けますよ」


「おう!」


俺は再び両足に力を入れる。

神速に大事なのはこの足捌きだ。

確か父は5メートルほどの距離を一瞬で移動した。

動体視力が凡人より遥かに高い俺でも見えなかった。


「では、私が神速を打ちます。なので、受け止めてください」


「お、おう…」


自信は無いが、やれるだけやれなくては。

俺も構えの態勢に入る。

正直あのスピードについていけるとは思えない。しかし、ただ前だけ、レンだけを見つめる。


「行きます」


レンが構える。

そして態勢を低くし…レンは目の前から消えた。


「だあっ!!」


しかしそのレンが消えた瞬間に、俺はうめき声をあげた。

俺を襲ってきたのはレンではなく、痛みだった。


「わ、若様?!」


俺の背後にいたレンが肩ひざを着く俺に駆け寄る。


「くっ…」


俺は神速を受け止められず、そのまま腹にダメージを受けた。

威力が手加減されていたのがせめてもの救い。手加減なしだったら完璧にやられていただろう。


「申し訳ありません!若様に怪我をさせてしまったら…」


「大丈夫」


俺は立ち上がる。こんなところで諦められない。


「ですが…」


「もう一度だ」


俺はレンを力強い目で見た。俺は強くならなくてはいけない。

レンみたいに…父みたいに。


「分かりました。では行きます!」


そうしてレンとの特訓を再開した。




















―校内―


「ちっ!ここもダメか…」


一人の男が廊下の影で悪態を突いた。

男の視線の先には男達がうろうろしていた。


「どうする光世こうせい?」


男は光世という長髪の男に話しかけた。


「そうだね…大樹だいき、ここは二手に分かれよう。僕が囮になる」


光世に話しかけた短髪の男は大樹というらしい。


「だがいいのか?危険だぞ?」


「僕の方がこういうのは得意だろう?」


「そうだな」


男達は互いに頷きあって前を見据える。

そして…


「僕が奴らの注意をひきつける。その隙に屋上に」


「分かった」


それを言うと同時に光世は廊下の男達へと駆け出し、大樹は階段を急いで上がっていった。

そうして大樹は何とか屋上に到着。


「ふう…ここの一番上の監視塔を占拠すれば…」


「ほう」


「?!」


大樹の上から声が聞こえた。

急いで声のする方を見た。


「お前は…佐渡?!」


「ここまでたどり着いたのは見事。かなりの防衛線をくぐり抜けてきたようだな」


佐渡は自分の傍らに掛けてある大鎌を手に取った。


「まさかお前がボスか。そしてボス直々が本拠地を守っているとはな」


大樹は自らの武器の双剣を構えた。


「数に頼ってるお前には負けないぜ」


「何を言っているんだお前?」


「?!」


佐渡は一気に大樹との距離を詰めると、鎌の柄で大樹を突き飛ばした。


「な、何ぃ?!」


「お前は勘違いしている。俺はお前より…いや、他の誰よりも強い自信はある」


そうして佐渡は二撃めを大樹に与える。


「ぐうっ…」


何とか双剣で防ぎきるも、かなりの威力で腕が痺れてしまった。


「ハハハハ…ハハハハハハハ!!」


佐渡の笑い声が屋上全体に木霊した。

それと同時に天の雲行きも怪しくなっていったのだった。




次回から本格的バトル小説になります。

バトルが非常に多くなるということです。

次回は「自分を信じろ司!神速炸裂!」です。

とうとう神速が本格的に…

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