表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/11

第7話 チート級スキルのデパートだ!(白目)



 冒険者に限らず、この世界の人間は"スキル"と呼ばれる才能、技能を持つ。

 スキルは大別して2種類。

 7歳になると誰もが神から授けられる才能、"固有スキル"。

 鍛錬したり、職業ジョブに就くことによって後天的に習得できる"ジョブスキル"。


 俺の場合は"光魔法"が固有スキルで、"四属性の剣"は魔法剣士のジョブスキル。

 ハモンの場合はモンク僧としての"ヒーリングオーラ"と"格闘術"がジョブスキル。

 ヴァージニアの場合は斥候スカウトとしての"索敵"や"遁法"の他に、個人的に鍛えて習得した"鑑定""開錠"のような盗賊シーフのジョブスキルも持つ。


 ジョブスキルは適正としての向き不向きはあるが、本人が望んだものを習得していくことになる。

 しかし、どんな固有スキルが与えられるかは文字通り神のみぞ知ること。

 当然、本人が望まないものを与えられることも珍しくない。



●●●



 酒場で遅めの昼食を注文し、できるのを待つ昼下がり。


「そういえば、皆さんの固有スキルってなにっすか?」


 アーサーが、そんなことを言い出した。

 この前の一件以来、俺たちのたむろす酒場にちょいちょい顔を出すようなったのだ。

 客の反吐が床にしみこんでるような最低の酒場。爽やかな笑顔で清潔感あふれるアーサーはかなり浮いているが、本人は気にしていないようだ。


「ちなみに俺のは"指揮"っす。」


「自分の指示で戦う仲間を強化するスキルでござるな。」


「召喚士と相性の良い、便利なスキルだな。

 俺は"光魔法"。」


 俺が告げると、アーサーは目を丸くして身を乗り出した。


「え、滅茶苦茶すごいじゃないっすか!?

 あれでしょ、傷を癒したりとか、味方を瞬間的に強化したり、極めれば多数の敵を光の彼方へ消し飛ばすこともできるっていう……!

 確かドラブさん"四属性の剣"も使えるっすよね!? レア中のレア、"勇者の資質"ってやつじゃないすか!!」


「うん、俺もそうやって誉めそやされて育ったんだけどな……

 致命的な問題があったんだよ……」


「問題っすか?」


「資質があるのはいいことだ。だけどな?

 例えば、普通のスキルはどうやって磨いていく?」


「どうって……指南書を読んだり、誰かに師事したり?」


「『レア中のレア』なスキルを誰に習う?どんな本に書いてある?」


「あっ……」


 アーサーが『悪いこと聞いてしまった』と言いたげな表情になった。


「世が乱れてる時代なら、逆に巡り合うこともありそうなものでござるが、今は魔王も邪神も流行はやりではござらんからなあ。

 ちなみに拙僧の固有スキルは"無限成長"。」


「アリっすかそんなの!?

 聞くだけで明らかにヤバイやつじゃないすか!!」


「そう思うでござろう?

 拙僧も最初そう思っていたのでござる。ところがどっこい、そう旨い話はないもので……」


「?」


「肝心の成長速度が普通の半分なのでござる。」


「え、半分って……」


 アーサーの目が尊敬から同情に切り替わった。


「常人であっても、上限目いっぱいまで成長できる者などそういないでござろう。

 いわんや、半分の速度ではなぁ……」


「どう考えても無い方がマシだな。」


「え、えぇと……ヴァージニアさんはどうなんっすか?」


 気まずげに矛先を変えるアーサー。


「アタシかい?

 ……あんまり言いたくないんだけどね……」


「? 言いたくないのならかまわないんっすが……」


「ヴァージニアの固有スキルは"神秘の舞踊"だ。」


「あっ、テメエ言うなよ!!」


「"神秘の舞踊"って、あの伝説のヤツっすか!?

 荒ぶる魔神を鎮めたとか、勇者と共に戦った巫女が持っていたとかいう、光魔法以上のレアスキル!!

 神に捧げる舞を踊ることで、強力なバフやデバフ、治癒効果を発揮するという……!

 見せていただいても……」


「絶対嫌。」


 アーサーがたじろぐほどの早さで拒絶した。


「ヴァージニアの場合は大した追加効果はないんだ。

 ただ、神の舞だからか踊りとしての完成度はすさまじくてな。それこそ見世物として食っていけるだけの腕前なんだが……」


「どうしてか、すっごく下品な感じの踊りになるんでござるよなぁ……」


「下品?」


「だから言いたくなかったんだよ……」


ポールが立ってるステージが良く似合うというか……

 多分童貞が見たらノーハンドで出すレベルでござるな。」


「ぶっちゃけ、冒険だの骨董だのよりこっちの方が稼げると思うぜ。

 そりゃもう、おひねりガッポガッポ、パンツのゴムに挟んでもらえそうな……」


「それが嫌だから冒険者やってんだろうが!

 あんな恥ずかしいモンそうそう見せられるか!!」


「す、すまないっす……」


「いや、アーサーはかまわないんだ。悪気があったわけじゃないし。

 そこのロクデナシどもに言ってんだよ!!」


「ホントのことだし。」


「むしろ褒めてるのでござるよ?」


「まったくコイツらときたら……!」


 くだらない話をしているうちに、店主が皿をもってやってきた。


「お待ちどうさん。注文の焼き飯だ。」


「お、来た来た。安い割には美味いんだよな、これ。」


「そういえば、店主殿との付き合いもなごうござるが、聞いたことはなかったような。

 店主殿の固有スキルは何でござるか?」


「"絆の力"。

 一緒に戦う仲間との絆が深いほど強くなるスキルだ。」


「「「「……一番主人公っぽい!!」」」」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ