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第一章 第5話 殺到する依頼

日本とは違う朝が始まる。

今日もまた騒がしい。


「モカ、ちょっと、早く起きて!」


「ココアさん、早く起きてください!」



俺はまだ眠い、なかなか開かない目を無理やり開けた。


「何?」



「アイリスさんの件で、噂が広がってるの」


「大変ですよココアさん!沢山の人が押しかけてきて」



「にゃも?」



俺は窓の外を見た。

するとそこには、先の見えない、何キロも続いていそうな行列ができていた。



「にゃも!?なにこれ!?」


「やっと目が覚めた?」


「いや、どういう事?」


「知らないけど、なんか朝、ご飯作ろうとしたら、急に沢山の人が依頼を持って押しかけてきてたの」



「この前のアイリスさんの護衛任務の噂が広がってるみたいなんです!」



それは先日、人気アイドルギルド海心(かいしん)の1人、アイリスさんの護衛任務を俺達は見事、無事にこなしたのだった。



「それで、こんな事になるのか......?」



「モカ、とにかく、一旦ギルド協会に行って相談しないと」



「ココアだっての!そうだな!」


俺はミルクを見た。


「なんですか?ココアさん、なんでこっちを見るんですか?」


「俺とカナはここに居るやつらにギルド協会に行くように説得する。だからミルクはギルド協会に行ってこの状況をトワさんに伝えてくれ!」



「わ、分かりました!」


ミルクは直ぐにギルド協会に向かった。



「カナ、とりあえずこの人達もギルド協会に向かって貰うように誘導しよう!」



「はいはーい」



俺達は何キロにも及ぶ何千人を誘導しただろう?

気付けばもうお昼すぎ。

ミルクから連絡があった。



「ココアさん、カナさん!今度はギルド協会がとんでもない事になってしまいました!」



「マジか....すぐ行く」



俺とカナもギルド協会に向かった。

ギルド協会に着くとトワさんがこちらに気付いた。



「ココア様、早くこちらへ!」


その手元には沢山のの依頼が書かれた紙があった。

厚さ1ミリ程の紙が1m以上の高さになった物がいくつもある。



「すみませんトワさん。これは、一体....どういう事ですか?」



「あのライブが終わったあと、アイリス様が、盗賊に襲われるそうな所をギルド・ミルクココアさんが護ってくれたと言ったのです。そして、その言葉を聞いた大勢の方々が、結構難易度の高い依頼を持って来たのだと思います」



「全部の依頼をこなすのは無理だと思います....。ほとんどの依頼は『No』か『いいえ』か『お断り』になりますよ?」



「はい。ですのでこちらも簡単な依頼をまとめました」



トワさんがそのまとめたという依頼を見せてくれた。

ただ、その依頼の量は100件を超えている。

依頼内容は、魔物の討伐や、ダンジョンの探索がほとんどだった。



「とりあえずこの、魔物討伐類は引き受けます」


最初の魔物は、『イノシブシ』という名前の様だ。

恐らく、この異世界に来てから1番最初に戦った魔物の事だと思う。


俺達はそうと決まれば直ぐに依頼の場所へ向かった。

依頼の場所は古い神殿のような屋敷の中だった。

なんでも、以前住んでいた人がイノシブシに襲われ、その家を出て行き、そのままイノシブシが縄張りとして住み着いたらしい。




建物の前に着く。人気はなく、なんだか生臭い臭いがした。

すると、1匹のイノシブシが現れた!


「グオオーー!!」



「このイノシブシはあたしがやる。さて、お姉さんの実力を魅せますか〜」



なんとカナが引き受けた。



「さぁイノシブシ、お姉さんが抱いてあげようか?おいで」



「グオオーー!」


イノシブシがカナに突っ込んで行く。



「幸せな時間は5秒だけ....」



「グオオーー!!」



水の斬撃(ウォータースラッシュ)



ザクッ!



「ごめん、2秒だったね。幸せだった?」



イノシブシが均等にバラバラになった。

その見た目は、まるで卵カッターで、ゆで卵を均等に8等分したかの様だった。

俺とミルクはその光景をみて唖然としていた。



「モカ、ミク、中にも居そうだから行くよ」



「あ、うん」


「はい!」


ただ、その建物の中は迷路の様になっていた。

そこでミルクに聞いた。


「その本に何か書いてない?」


「えっと、この本には、ここはちょっとした御屋敷で、盗賊が入ってきても直ぐには盗まれたり出られたりしないように、いろいろな仕掛けがある。と書いています!」



「仕掛け?」


「まずそこの角なんですが・・・・・・」



そこは、左右に道が別れていた。


「ここを左に行くと穴に落ちるので右が正解だそうです!」



やはりその本は優秀だ。なんなく安全に行ける。


「ここで1回止まってください!」



ガンッ


ミルクの言う通り1度止まると、上から刃物のついた大きな石?いや、岩が落ちてきた。



「危な!」


この生臭い臭いは恐らく、魔物が入って(トラップ)に引っかかり怪我でもしたのだろう。



「この岩の上に乗れと書いてます」



ミルクの言う通り3人で乗った。すると、エレベーターの様にみるみる上に上がっていく。

上まで来ると、そこには真っ直ぐの1本の道があった。



「下を通ると危険な仕掛けが沢山あるが、ここを通ると簡単に部屋まで辿り着ける、と書いてます!」



「マジか!」



「えっ、ミク、さすがにそれズルじゃん」



「ミルクです!ズルじゃないですよ!」



俺達は真っ直ぐ進む。少し歩くと大きな扉の前に着いた。その扉を開ける。



ギイーーー

年季の入った音だった。



前を見る。何か大きな物体が椅子に座っていた。

すると、そいつはか入口付近で見たイノシブシの5倍はあるだろう。かななり大きなイノシブシだった。



「グオオーーー!!!」



「ココアさん、あれはキングイノシブシです。さっきのと違ってかなり硬いらしいです!」



「了解!ミルク、援護よろしく!カナ、行くぞ!」



「ん?お姉さんが手繋いだげよっか?」



「いや、大丈夫!」



俺は突っ込んで行ってキングイノシブシに剣を振るった。


カーーンッ



「硬っ!」



「お姉さんが抱いてあげる。5秒の夢は2秒で終わる、水の斬撃(ウォータースラッシュ)



ザクッ!!

プシューー!


「これが現実」


キングイノシブシから血が出だした。



冷たい斬撃(コールドスラッシュ)!」



ザクッ!



何とかキングイノシブシを倒すことができた。

イノシブシはとにかく硬い魔物だと分かった。


「えっと、あの椅子の下には外に逃げられるように通路があるそうです!」



椅子をのける。すると、椅子の下には階段があった。

その階段を下っていく。

1分程歩くと扉があった。

その扉を開ける。



ギィーーー



そこは俺達が入っていった入口のすぐ隣だった。

外に出る。



「えっと、隣?」



「でもこの本には、外からはその扉を開けられないと書いてます!」



念の為外から確認する。

ミルクの言う通り、外からでは本当に開かないらしい。



「ミク、その本良いね」


「ミルクです〜!これは先輩方が作って下さった参考書です!」



「よし、次の依頼行くぞー」


「モカ、休憩しようよ」


「そーですよ〜。さすがに朝からハード過ぎますって!」


「んー、次の依頼が昼ご飯になるかと思ったんだけど・・・・・・」



俺はカナとミルクに討伐書を見せた。



「モカ、『ユウウツボ』って魔物の中でも高級食材じゃん!」



「そう!コイツを倒す!」



「でも、ココアさん、この『ユウウツボ』は基本的には海の中でかなり巨大みたいですよ?どうやって倒すんですか?」



「とりあえず行くぞー」



俺達は海へ向かった。

異世界にも海や川、湖がある事には驚いた。



「よし、時間だな!」


「モカ、どういうこと?」


「昼を過ぎると、俺の縄張りとでも言わんばかりにユウウツボが海面に上がってきて飛び跳ねるらしい。」



その直後、ザッパーン!と音がした。

俺はそれを見て驚いた。



「にゃも!?なにこれ、デカすぎない!?」



「ココアさん、この本によると『ユウウツボ』のその全長は最大で50m、最低でも20mという、魔物でもトップクラスの大きさらしいですよ!」



「モカ、どうすんの?」



「簡単な話さ。俺があいつを凍結状態にする。それをカナが斬る!」



「いや、『ユウウツボ』はさっきのキングイノシブシより硬いんだよ?」



「その後ミルクが全属性攻撃(フルアタック)をする!とりあえずそれでいく!」



「でも、ココアさん、噛み付かれたら一溜りも無いって書いてますよ、辞めた方が...」



ザッパーン!


この辺りはあの『ユウウツボ』1匹で大変な事になっているとの事だ。さすがに辞めるとなると漁師さん達が可哀想だ。


俺は何とかミルクとカナを説得した。


「でもココアさん、どーやってあそこまで行くんですか?」



「氷の芸術(アート)氷の道(アイスロード)!」



俺は氷の道を創った。


「これで海の上でも大丈夫!カナ、行くよ!」


「ミク、援護よろしく。行ってくる」


「は、はい!気をつけて!」



俺とカナは氷の道を走った。

すると、『ユウウツボ』がこちらに気付いた。


「凍結!」


ユウウツボを凍らした。が、30秒程で、

パリーン!


「にゃも!?マジかー」



「海だから直ぐに溶けるのかもね。それにあの大きさだから・・・・・・」



「それなら・・・・・・」



「ちょっ、モカ!」


俺は飛んだ。次の瞬間、


「ガブッーー!」


俺はユウウツボに咥えられた。


「この距離ならどう?凍結!!」


ユウウツボはみるみる凍っていく。



「カナ!」



「無茶するね、ーーー抱いてあげる。5秒の夢は2秒で終わる。水の斬撃(ウォータースラッシュ)



ザクッ!


「これが現実」


やはり斬る事は出来ない。


「ミルク、丁度真ん中を狙え!」



「死なないで下さいよ?ひゃうんっ!全属性攻撃(フルアタック)!!」



俺は何とか脱出した次の瞬間、


ドゴーーーン!!






ユウウツボは綺麗に散った。

カナがこちらに来る。



「ココアホ!あんた死ぬつもり?」


「いやー、俺は物理攻撃無効化って特性あるから大丈夫かと思ってー」



「ココアホ」



「名前を悪口にするな!」



「ココアさん、カナさん、大丈夫ですか?」



「よし、ユウウツボを回収しよう!」



俺達はユウウツボを魔物料理専門店のイートさんの所へ持っていく事にした。

すると、後ろから声がした。


「あのー、すみません」



声の方向を振り返ってみる。そこには5人ほどの漁師であろう人が立っていた。



「本当にありがとうございます!これでまた漁を再開出来ます!あなたがたは私達漁師にとって英雄でございます。ありがとうございます」



俺達は漁師の人達にお礼を言われた。

その漁師さん達を後にして、『イノシブシ』と『ユウウツボ』の討伐をギルド協会に報告、後日報酬を貰うことになった。

ユウウツボはイートさんの元に持っていった。



「ほぉ!これは、ユウウツボじゃないか!さすがだな〜!腕が鳴るな〜!」


イートさんは興奮している。


「1番美味しいの作るからちょっと待ってて!」



俺達は起きてから忙し過ぎて何も食べてない。

正直お腹も限界だった。

厨房からはいい匂いが漂ってくる。



「はい、お待ちどうさん。ユウウツボの刺身、唐揚げ、すき焼き、蒲焼、ユウウツボ飯だよ〜!」



ユウウツボのフルコースだった。テーブルいっぱいで、どれも美味しそう。



「「「いただきます!!!」」」



「美味しいです!」


「さすが師匠」



最初にユウウツボの唐揚げを食べた。

コリコリとしていて、歯ごたえ最高で鶏肉の唐揚げを食べるのと同じような味わいだった。


ユウウツボの刺身は特に臭みなどなく美味しく食べることができた。


ユウウツボの蒲焼はうなぎの蒲焼の様な味わいだ。

すき焼きは良い出汁が出ていて旨みがあった。

ユウウツボ飯はユウウツボをご飯と一緒に炊き込んだ料理だった。こちらも歯ごたえが良くとても美味しかった。



ユウウツボフルコースは3人の箸が止まることがなく、テーブルいっぱいだったものが、30分程で全て完食してしまった。



「どれも美味しかったです!」


「師匠、また腕上げたねー」


「イートさん、最高の料理だったよ!」



「ありがとね」



イートさんの店を出て、俺達はまたギルド協会に向かった。なんだかんだ、今日は依頼を2件しか終わらせていない。まだまだ依頼はどっさりある。

そこで俺は考えた。



「よし!依頼のついでに新しいスキルとか手に入れよう!」



確かクエストやダンジョン系、洞窟の調査など、探索系の依頼がいくつもあった。その依頼ついでにスキルゲットと行きたい。



ギルド協会に着く。


早速依頼を確認した。

1つこう書かれた依頼があった。


『洞窟内の魔物討伐・報酬金200万ヨリ』



「トワさん、この依頼は?」


「その洞窟には沢山の魔物が生息していて、その洞窟内にある資源を採取する事が出来なくなっているようです」



「分かりました。明日、この洞窟の魔物討伐に行きます!場所は?」



「東の街、『サラト』の奥へ進んだ復讐心の山、シロツメ山にあります」



「分かりました!」



俺達は明日、その洞窟のあるシロツメ山に行く事にした。

ただ、復讐心の山というのが気になる所ではある。

一応、ミルクに確認してもらった。



「えっと、シロツメ山には沢山の魔物が生息している。中でも、人の心を映し出す霧を吐く魔物が居ると書いてます」



「つまり?」



「自分の心を強く持てばどうって事のない魔物だとか・・・・・・」



「まぁ、3人居るから大丈夫だろ!」



「そうですね!後はスライムしか居ないって書いてます!」



「今、なんて言った?」



「スライム......あっ!ココアさん!ピンチじゃないですか!」



「あー、それは大丈夫。お姉さんがスキル・蘇生で直ぐに生き返らせてあげるから」



「いや、死ぬ前提で話さないで」



俺達は明日に備えて風呂に入って寝た。

スライムの事が気になるが、今は、アイドルの護衛で仕事量がとんでもない事になってまったと言うことで頭がいっぱいだ.....。


早く強くなって、魔王の元へ行かなくては!

今回も読んでいただき、誠にありがとうございますございます。

次話は、ついに、主人公の天敵である『スライム』に遭遇します!どうなるか気になる方、次話もお願い致します。


感想や、評価、ブックマークなどもよろしくお願い致します。

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