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第一章 第3話 初の依頼人は異世界のNo.1アイドル!?

毒蜂(ポイズンハッチ)を駆除して、新たにカナが仲間に加わった。街に戻り家探しをする所だ。


「ココアさん、この本によると、家を探すために案内所があるようです。行ってみますか?」



「にゃもっ?不動産屋みたいな所か?よし、行こう!」



「不動産屋ってなんですか?調べます!」



相変わらずミルクは人間界の物には物凄く興味を持っていて、話に食い付いてくる。

それに比べてカナはというと、案内所に着くやいなや、


「ちょっと疲れた。そこのベンチで寝てるから。行く時起こして。ふぁ〜っ」



あれでお姉さん気取りなのはちょっと意味がわからない。どこでも寝る無神経なのだろうか。


案内所に入って担当してくれるであろう髪色が緑のエルフの女性がこちらに来た。



「初めまして。私は担当のテイクです。本日はどういった家をお探しですか?」



「3人で住めて、スキルを試せる部屋のある家とかありますか?」



「少々お待ちください。今資料をお持ちします。」



テイクさんは丁寧な人で、こっちの要望に合わせてくれる。

奥から資料を持って戻ってきた。



「今のところ、お客様の御要望の家ですと、中庭が広い、こちらの家か、外に音を漏らさない部屋のあるこちらになります。」



中庭付きの家の方は、やはり住宅街にあるので、騒音で周りに迷惑をかける訳にはいかない。なので、


「この家を見に行きたいです。」



「それではこちらまでご案内致します。」



ミルクにカナを呼んでくるよう頼んだ。2人が来るまでに、どの辺にあるのか説明を受けた。

その家の位置は、ギルド協会の近くであった。


ミルクがカナを連れて戻って来たので、俺達3人はステイさんの後を着いて行った。

その家に着いて驚いた。


3人で住むにはもったいないくらいの敷地の広さで、庭園があり、しかも噴水まで付いている。



「いかがでしょうか?」



「この家にします!」



ミルクもカナも頷いている。


「ありがとうございます。こちら、2000万ヨリでございます。」



毒蜂(ポイズンハッチ)の討伐報酬のおかげで難なく購入できた。


「もし修理や点検が必要な場合は気軽に案内所までお越しください。しっかり整備致しますので!」



アフターサービスもしっかりしている。

すると3人とものお腹が同時に、


「「「グゥーーー」」」



「・・・・・・お腹空いたなー」



「確かに、もうお昼通り越して夕方になっちゃってますもんね」



「お姉さんもさすがに限界」



「よし、朝も行ったけど、あのお店に行こう!」



「賛成です!」



「ん?どこ?」



「カナ、そこで、にゃも?を使わなきゃ」



「はぁーっ!?にゃ、にゃもっ......て、恥ずかしいわ!」



「カナお姉さん、着いてきてください!」



俺達3人はあの『魔物料理専門店』に向かった。


意外と購入した家から近所なのが助かる。

中に入ると料理人のイートさんが俺らを見るなり、こちらに走って来た。


「君たち!ありがとう!しばらくは営業が助かるよ!」



イートさんはハイテンションだった。

するとカナが、


「って、師匠!?」



「おー!カナじゃねーか!久しぶりだな〜!立派なお姉さんになったな〜」



「師匠、何やってんの?」



2人が話し出した。


話を聞いた感じ、カナは、小さい頃に両親を亡くし、イートさんが育ての親代わり兼、師匠として、カナを育てたそうだ。師匠のイートさんも、カナと同じでタンク協会の人では珍しくドMでは無く、攻撃が強かったとか。



「はい、お待ちどうさん!」



イートさんが大量に持ってきてくれたのは、毒蜂(ポイズンハッチ)の毒抜きサンドだった。


「ありがとうございます!」


ミルクはとても目をキラキラさせている。



「「「いただきます!!!」」」



やはりこの毒抜きサンドはとても美味しく、何個でもペロリと食べてしまう。

1口食べると止まらない。




カナに質問された。


「ねぇ、なんで2人は魔王の討伐か和平にこだわるの?」



「んー、それが俺らの運命だから。かな〜」



「そうですね。私が原因なんですけど...。」



「まぁ、良いや。お姉さんがギルドに入ったんだからちゃんと頼りなさいね」



「よろしく頼むよカナ!」



「よろしくお願いします。お姉さん!」



「特にモカはスライム耐性ないんだから、ふふっ」



「ココアだ!なんで鼻で笑う!」



「だって、スライムだよ?スライム耐性があれば子どもでも倒す事ができるんだから」



「そーだなー。物理攻撃が通用しないってのは怖いなー」



「スライムが現れたら手、繋いであげよっか?ふふっ」



「そこまで子どもじゃない!てか同い歳な!」



「ミクは全属性攻撃(フルアタック)の爆風で飛ばされないようにお姉さんが支えてあげるからね」



「ミルクですよ〜!はい、ありがとうございます!」



毒蜂(ポイズンハッチ)の毒抜きサンドはあっという間に完食してしまい、お腹いっぱいになった。



「「「ごちそうさまでした!また来ます!」」」


お店を出る。

ギルド協会に向かう前に少し街をブラブラしていると男2人組が何か言いながらこちらに近付いてきた。



「おいおい、ハブられ物のバカナじゃねーか」


「タンク協会の恥さらしで劣等生のバカナだ」


明らかにカナの悪口を言っている。

するとカナは、


「誰が劣等生って?変態2人組。ガオーとゲヒンだっけ?」



「「違うわ!!」」


「俺が『ガウン』だ!」


「俺は『ゲイン』だ!」



「あ、ごめ、お姉さん2文字以上の名前覚えらんないんだよねー」



「おいバカナ、喧嘩売ってんのか?」



「いや、先に仕掛けてきたのそっちでしょ?」



喧嘩になりそうな雰囲気だった。ミルクもオドオドしている。

ここは俺が止めないと。



「ねぇ、ガウンさんとゲインさんだっけ?」



「あっ?誰だお前?」


「うわ、チビっちゃーい!」



「俺はココア。カナは俺のギルドメンバーだ。悪口とか言わないでもらえるかな?」



「ちょ、モカ、アンタには関係ないでしょ?」


「カナは黙ってて!あと、ココアだから!」



「なんなんだてめぇ?もしかしてそいつと組んだのか?運が悪いなー」


「本当に可哀想だなー。もっと全然マシなのが沢山いるのにさ〜」



「にゃも?どういう意味?」



「コイツはタンク協会の人間なのにドMじゃねーんだよ!」


「そーそー、今だって悪口言われて嬉しいはずなのにな〜」



この2人には何を言っても意味がなさそうだ。

普通に相手にしては行けないタイプだ。



「あんたらにはそうでも、俺にとって必要な存在だ!」



「こんな劣等生のバカナがか?」


「バカナはイカれてるだぞ?」



「悪口を言うあんたらは最低だな。そっちの方がイカれてるわ」



「なんと悪口!嗚呼最高!!」


「いい!心に来る感じ!はぁ〜」



「ーーーーさすがに気持ち悪い......。」


「もっと言ってくれ!ぐへへへっ」


「殴ってくれても構わないぞ!うへへっ」



もはや俺の知ってるドMとは次元が違う。本当にカナで良かったと心から思う。



「とにかく、俺の家族を悪く言うなら容赦しない」



「おおー!最高の言葉〜」


「癒されます、兄貴と呼ばせてくれ〜!」



変なやつらに好かれてしまった。

とりあえずこの場は丸く収まり2人もどこかへ言ってくれた。



「はぁ。タンク協会はあんなのばっかなのか.....?」


「モカ、」


「ココアだっての!」


カナが何かボソッと言った。


「ちょっとかっこよかったよ....。」



「今なんて言った?」



「いや、別に。ココアホ!」



「ココアホって言ったか?」



「ココアホ、早く行くよ!」



「俺の名前に悪口を付け足さないで」



「お姉さん、2文字以上の名前は覚えれません」



そんなやりとりをしながらもギルド協会に向かった。

討伐報酬が多かったとはいえ、家を購入してかなり『ヨリ』が無くなった。完全に無くなる前にまた資金を調達しなければならない。


ギルド協会の扉を開けると、トワさんが居た。


「あら、ココアさん、ミルクさん、早速お仲間が出来たのですね!それに、お2人の事はギルド協会でも噂になっていますよ!」


確かに先程からザワザワしている。中にいる大勢の人達が口々に、



「あれが噂のギルドか〜」


「凄いよな、一気に100匹以上の毒蜂(ポイズンハッチ)を討伐するなんてな....。」


「ギルド組んだのは昨日だって話だぜー」


「凄いな......。」



声は気になるが、俺はトワさんに聞いた。


「なんか依頼とかないですか?」



「それでしたら、ギルド・ミルクココア宛にこちらの依頼が・・・・・・」



「にゃも?俺らに依頼?」



「実はアイリス様の件なのですが.....」



「えっ!?アイリス!?」


2文字以上の名前は覚えれないとか言ってたはずのカナが4文字の名前を覚えている。そして、今日1番テンションが上がっている。



「にゃも?アイリス??」



「モカ、あんた知らないの?あの人気アイドルギルド、『海心(かいしん)』のセンター、アイリンことアイリスさんだよ!?」



「ーーーミルク、知ってた?」



「はい。昨日本で読みました!」



「その本は今の状況も分かるのかよ.....。で、その人がどうかしたのですか?」



「はい、実は、アイリス様宛に脅迫状が届きまして....」



それにはこう描いてある。


『年に一度のバトルライブで貴方を頂く。

アゲツネ!』



「アゲツネ?てか、バトルライブって何?」



「あなた本当に何にも知らないの?」



「なんなの?そのバトルライブって?」



「それぞれ2人〜5人組の女子だけのギルドと男子だけのギルドがあるの。女子ギルドが『海心(かいしん)』と『Meisou』。そして、男子ギルドが『Masaka』と『秘めた力』。

この4グループが競い合う年に一度のライブ。それがバトルライブ。当然これは毎年大盛り上がり。なんてったって、最高のライブだからね」



ーーめっちゃ喋るーー



「ーーーつまり、その凄いライブの時にアゲツネってのが来るって事?」



「はい、左様でございます。ギルド・ミルクココアには会場の警備を担当して欲しいのですがよろしいでしょうか?」



「ココアさん、選択肢はYESか、はいか、喜んでか、off courseですよね!」



ミルクが目を輝かせている。

カナも引き受けたいと目が訴えている。



「分かりました。引き受けます。」



「ありがとうございます!それでは明日の夜、よろしくお願い致します!」



「明日!?」



「そうだよ。明日がバトルライブ!ライブのチケットとか手に入らないんだよね〜」



カナは物凄く楽しそうだ。出会ってから見た事のないテンション。



「そうだモカ!」



「ココアだ!」



「ごめ、あと、今日は明日のバトルライブのリハーサルを兼ねた前夜祭をしてるから見に行ってみない?」



「まぁ、どういう人か知らないといけないしなー。とりあえず行ってみるか!」





3人で会場に向かった。



どうやら今日の前夜祭は終わった様で、ステージには1人の女性が立っていた。


「明日のライブ、皆で一緒に楽しみましょうね!!」



「「「キャーーー!」」」「「「ワーーーー!」」」



「「「「「アイリン!!!!!」」」」」


暗くて遠かったのであまり見えなかったが、ステージに立っていた人が明日俺達が守らなくてはならない『アイリス』さんっぽい。




「「「「キャーーー!」」」」


「「「可愛いーーーー!!!」」」


「「「最高のセンター!!!」」」




アイリスさんがステージに立っているというだけで、男女関係なく、物凄い歓声が沸きあがる。

人間界のアイドルライブよりも盛り上がっている。




「それでは皆さん、明日のライブステージでお会いしましょう!海心(かいしん)をよろしくお願いします!」




「「「アイリン!!!!!」」」



「「「頑張れ〜〜〜!!!」」」




凄まじいほどの熱狂だった。

そして俺達は、買ったばかりの家に帰り、作戦を考えた。



「そのライブは夜なんだよな?」



「そう、夜、19:00から。大盛況の中行われる。もちろん、今日よりも沢山の人達が来るからその中に盗賊が紛れてる可能性もある。」



「となると、私達はそれぞれ別の場所で見張らないといけないですね」



「よし、じゃあ、カナ!」


「ん?」


「カナはそのアイリスさんの付き添いをしてくれ!控え室に怪しいやつは居ないかとか、舞台に立ったら袖から監視を頼む!」



「えっ?ちょ、お姉さんがアイリスさんの付き添い!?」



「うん。もし盗賊が更衣室に現れたら、男の俺は入れないし、ミルクは魔法使いだから狭い部屋だと分が悪い。だから任せる!」



「わかった。お姉さん頑張る」



「ミルクと俺はライブが見える範囲で監視。それで良いか?」



「はい!」



「後は連絡手段が・・・・・・」



「え?モカあんた何にも知らないの?」



「ココアだっての!で、何を?」



「この会員証、ギルドメンバーとなら音声会話できる優れものだよ?」



なんと会員証は、大きさも機能もまるでスマホの様だった。普通に通話ができる優れもの。



「じゃ、各自見つけ次第連絡!」


「了解ー」


「分かりました!」




明日は朝アイリスさんと打ち合わせをしないといけない。正直人見知りの俺には自信がない。



「いや、でもここは異世界、何とかなる!はず!多分......!」



明日に備えて寝なくては。

読んで頂き誠にありがとうございます。


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