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第一章 第1話 異世界転移はとばっちり

恐る恐る目を開ける。窓からほんの少し光が注ぎ込んでいる。俺はどうやら冷たい木の床で寝ていた。どこだかよく分からないが狭い部屋に居る事は確かだ。


身体を起こしてみる。


「ひゃうんっ!」


なんだか女の子の声がした。

声の方向見ると、俺より少し背は低く、髪の色はまるで雪のような白。髪の長さは腰くらいまである。

瞳の色も純粋な白で、明らかに日本人ではない少女が居た。

その白髪の少女は魔法の杖?を持ってオドオドしながら立っていた。

俺は「誰?」と聞いた。


少女は何故か少し怯えている。

そして、恐る恐る話しかけてきた。


「あ、あのっ…もしかして、人間界の方ですか?」


その言葉に違和感を持ちながら俺は、窓の外を見た。そこには、ゲームやアニメでよくありそうな景色が広がっていた。確実に日本ではない。

商人、冒険者であろう人、剣を持った騎士、恐らく獣人、エルフ、魔族など様々な種族が目に飛び込んできた。

スマホを見ると圏外と表示されている。


「って! 異世界召喚されちゃったの!?」

思わず大きな声が出た。


「ひゃうんっ!」


少女が驚いている。


「あ、ごめんね。驚かして」


「いえ、あの、その...」



俺はおそらく、この気弱そうな子が召喚したんだと察した。


「俺を召喚したの、君?」


「えっと、その...」


少女は、今にも泣き出しそうな目をしている。

俺は和ませようと必死で話した。


「あ、大丈夫!今までつまらなかったし、召喚されて嬉しいよ!」


「...........」


少女が黙り込んでしまった。

そして、泣きながら、



「ごめんなざい...私が、失敗し....て巻き込んでじ、ま、まい...まじだ.......」


「いやいや、泣かないで!大丈夫だから!」


俺はそっと少女の頭を撫でた。

泣き続ける少女。

どう接したら良いのか分からず、とりあえず自己紹介をした。


「俺の名前は向島心愛。 君が言ってた人間界のもので〜す。ココアって呼んで!よろしく。」


少女もゆっくり自己紹介をしてくれた。


「私は、フォレスト・ミルクです。 魔法界の住人です。私もミルクって呼んでください。あの、その、よろしくお願いします。」


「ミルクね!よろしく!あと、その杖は何?」


「あの、その、魔法の、杖です」


普通に考えれば中二病。だが、街の景色や人々を見れば本当に異世界に召喚されたのだと分かった。



「本当にごめんなさい.......。」



話を聞くと、どうやら人間界に行くための魔法の練習をしていたら失敗して、全く関係のない俺がなぜか巻き込まれたという事らしい。

つまりこれは召喚じゃなくてもらい事故のような転移......。

有り得ないスケールのとばっちりだ。



俺はとりあえず質問をした。


「俺らは元の世界に帰れるの?」


「えっと、この本によるとーーー」


「ん?本?」


少女は、誰でも持ち運べるサイズのあまり分厚くない本を持っていた。



「はい、歴代の先輩方が魔法で作って下さった、人間界と、この異世界の事が書いてある参考書です。」


「参考書って、異世界系で反則じゃない?」


「そんな事ないですよ!元の世界に帰るには、魔王か魔王幹部の誰か1人でも良いので討伐、もしくは和平を結ぶ。その為にまず、ギルド協会に向かってと書いてあります。」


「うん、ベタな設定だね」



「ベタ? もしかして人間界の言葉ですか!」


少女は急に目をキラキラさせて食い付いてきた。



「この本によると、ベタとはありきたりな設定と記されています!」



「凄いね、その本、何でも載ってるんだ。でも、あんまり分厚くないんだね?」



「はい! 調べたいことを言葉に出せばその説明が直ぐに出てくるのです!」



俺ら人間界で言う所のインターネットであろうか。


建物から出る。どうやら、使われていない小屋の様だった。


俺とミルクはギルド協会に向かった。

街を行き交う人々は多種多様だ。


「いろんな種族が居るんだね」


「この本によると、この異世界では人間以外にも、エルフ、魔族、獣人など、いろいろな種族が暮らしているそうです!なので、魔族なのにしっぽやツノが無いハーフの人も産まれるそうですよ」



「ハーフね〜」



その本はなかなかの優れものであった。


こうして、俺とやたら人間界に興味を持つ少し気弱そうな少女、フォレスト・ミルクと2人でそのギルド協会に向かった。

街を歩いて気付いた事がある。


「ねぇ、なんで普通に言葉が通じるの?」


「この本によると、発した言葉は空気中で直ぐに変換されて誰にでも分かるようになるそうです」


ーーその便利機能が人間界にもあれば、英語やら何やら覚えなくてすむのにーー



広場っぽい所に着くと、『サプリオン共和国』と描かれたマップがあった。


どうやら異世界にも、いくつかの国があるようだ。

そして、現在地は『サン広場』と描かれた場所にマークがついている。


「ここが広場か....。このマップ?を見た感じ、ギルド協会は・・・」


「大丈夫です!この本にマップも記されています! ちなみにこの国のお金は『ヨリ』と呼ばれているそうです!」


「ーーヨリ、ね」


どうやら少女が持っている本には、ほぼ全て記されているようだ。




広場から歩くこと10分。

かなり大きめの建物が見えてきた。

恐らくギルド協会であろう。

かなり頑丈そうな木の扉を開く。


「いらっしゃいませ〜」


見ると、赤茶の髪色の女性が出迎えてくれた。


「私はギルド協会の管理人のトワです。ギルドの設立ですか?」


俺たちはまず、資金を調達しなくてはならない。トワさんに聞いた。


「今、お金無いんですけど、なんか集められる場所とかありますか?」


「初めての方ですね?それでしたら.....」


そう言って、壁を見た。そこには、張り紙がびっしりとあった。



「こちらはいかがでしょうか?」


「これは?」


「北にある極寒ダンジョンです。 初回クリアすると、良い装備や、ヨリが手に入ります」



「それ良いですね〜」



「ただ、これは高難易度で、武器の使用禁止という制限付きなのです。 未だ攻略できた人は1人としていません」


小声でミルクが、

「この本にも記されてないです....」



「何故そんなのを俺達に?」



「もしかしたらあなた方ならと思ったのですが....。」


俺にはなんだか少し自信があった。

「とりあえず行ってみます!」


「お気をつけて。お戻りの際は魔王の討伐に御協力お願い致します」


トワさんはそう言って優しく送り出してくれた。

今から向かうダンジョンの敵は魔物一体だけで、斧やら武器を持っているとか。それを格闘で攻略しろとの事なので、正直自信があった。



「あの、なんでそんなに自信満々なのですか?」


「まぁ見てな!」



極寒ダンジョンの入口に着いた。

かなり寒い。

入口には説明の書かれた看板があった。

それにはこう書いてある。




『ダンジョン内で死んだ場合、生き返ることは不可能。 ポーション、回復薬の使用不可能。入れば最後、生きるか死ぬか・・・・・・』



「おいおい、マジか....」


「辞めますか?辞めませんか?辞めましょうよ!」



だが、何とかクリアしないと俺たちは何も出来ない。



「よし、行こう」


「えーっ!行くんですか!?なら私は、後ろをついて行きますからね!」


ミルクは足が震えている。


「怖い?」


「寒いだけです!」


ダンジョンの扉を開ける。

何かタブレット画面のような物に文字が浮かび上がった。



『戦闘参加者は1人。

参加するかを以下から選べ。』


『「YES」or「はい」 or「喜んで」 or「off course」』



「いや、(まる)(ばつ)かなら全部(まる)じゃん!」


俺はどれも同じだろうと思いながらも『はい』を選択した。


「ひゃうんっ!なんですか?これ?」


ミルクの方にも何かタブレット画面のような物に文字が浮かび上がっている。



『戦闘参加者以外の者。

戦闘参加者が怪我などしても回復さすべからず。

目の前で死んでも触れるべからず。』


「やっぱりこれ、辞めませんか?」


「いや、俺なら大丈夫!」


「ーーー死なないでくださいね!」


そして、ゆっくり1歩ずつ進んでいく。

後ろを歩いているミルクは足が震えている。

すると、少し足音が近づいてきた。

次の瞬間1匹の魔物が現れた。


「グォーーーーー!!」



「やっぱ魔物はイノシシっぽいな!」



そのイノシシは両手に刃物を持っている。


「切られる前に倒す!」


「グォーーーーー!」

まっすぐ突っ込んで来た。

そして、右手の刃物を振り下ろす。


俺はそれをしゃがんで避け、魔物の顎に渾身のアッパーを放った。


ボスッ!


「グォ、ぐっー、」

魔物はドタっと倒れた。


「硬っ!瓦二枚分くらいかな?」



イノシシの魔物は意外と硬かった。空手で鍛えていなかったら手首が折れていたかもしれない。



すると、文字が浮かび上がった。


『討伐成功。報酬を差し上げます。』



イノシシの魔物が光だし消えた。

そして、宝箱が現れた。


「勝ったんですか?」


ミルクが泣いている。


「勝ったよ。宝箱開けてみるね」


パカッと開ける。

眩しい光が俺を包み込む。

そして、ゆっくり目を開けると、服が全体的に白色に変わっていた。剣とを1本装備している。


『コスチューム、氷の騎士を獲得しました。』

『属性・氷を獲得しました。』


「氷の騎士....か」


『スキル・ 凍結を獲得しました。』

『 凍結・自分の周囲20メートル以内の敵を2分間凍らせ、戦闘不能状態にする。』



『スキル・氷柱を獲得しました。』

『氷柱・自分の周囲20メートル以内の敵に飛び道具と同じ威力の攻撃可能。』



『スキル・雪崩を獲得しました。』

『雪崩・自分の周囲50メートルに渡り、雪崩を起こすことができる。効果時間5分間。15分後に再使用可能。』



『唯一無二のスキル・冷たい斬撃(コールドスラッシュ)を獲得しました。』

『この一撃でほぼ全ての敵を倒せます。』



『その他スキル・氷の芸術(アート)を獲得しました。自分で氷の橋や道、階段など、思い描いたものを作れます。クールタイム無し。』



『特性 ・物理攻撃無効化を獲得しました。』

『※物理攻撃によるダメージを受けません。』



『弱点・魔法攻撃に弱い。スライムにかなり弱い。』



『スライム耐性・無し。』


「俺は妨害キャラなのかな?」


「あ、あの、」


「ん?」


「私も何か装備やスキル貰えたみたいなんですけど....」


見ると、服が変わっていた。

魔法使いが良く被ってそうな黒の帽子には月のマークが描かれている。そして、青と黒と赤の色の服。


そして、文字が浮かび上がっている。


『コスチューム、魔法使いを獲得しました。』


『属性・光、闇、氷、地、雷、風、火、水、の全てを獲得しました。』



『スキル・ヒールを獲得しました。』

『味方の怪我などを癒すことが可能。』



『スキル・ 魔法攻撃を獲得しました。』

『20m先まで魔法の波動による攻撃を放つことが可能。』



『スキル・ステータス強化を獲得しました。』

『味方のステータスが5分間大幅に上昇します。 15分後に再使用可能。』



『唯一無二のスキル・ 全属性攻撃(フルアタック)を獲得しました。』

『この1発で広範囲に渡り、ほぼ全ての敵を倒せます。』



『特性 ・ 魔法攻撃無効化を獲得しました。』

『※魔法による攻撃のダメージを受けない。』



『その他スキル・極小魔法を獲得しました。』

『弱めの火や、水など、日常生活に役立つ魔法です。』



『弱点・物理攻撃にかなり弱い。』


『スライム耐性・有り。』


「さすがに強めのスキルにはクールタイムがあるのか〜。必殺技とその他は何発でも打てるとーー。あれ?攻撃に徹したら最強じゃね?」


「あの、私、何もしてないのにすみません。私達、コスチュームと100万ヨリをゲットしましたよ!」


「よし!急いで戻ろう!」


俺達2人はギルド協会へ急いだ。




ギルド協会に入るとトワさんが安心した表情で、


「お2人ともやはりご無事でしたか。おかえりなさいませ!」


心から歓迎してくれた。すると、何やらスマホみたいなものを持ってきた。


「これは?」


「会員証です。 お2人にはまず、会員登録をして頂く必要がございます。こちらの会員証を提示すれば仲間集めも簡単になります。」



スマホみたいな物には5つの項目が書いてあった。


名前

属性

職業

所属ギルド名

種族


「あの、俺達ギルド結成してないですよ?」


「今から作るのも可能ですよ。設立費として、30万ヨリ必要です。ギルドを結成されますと、屋敷や家などを購入する事もできますよ!」



さっき100万ヨリゲットしたので、早速ギルドを設立する事になった。

ギルド名は俺達2人の名前を入れて

『ミルクココア』にした。


気になるのは種族ーー


「種族ってなんですか?」


「今から種族と属性をお調べ致します。お2人とも、こちらへ」


トワさんに奥の部屋へ案内された。

薄暗い部屋に見た感じタブレットが1つ置いてあった。


「あの、俺はヒューマンじゃないのですか?」



「この世界の住人なら生まれつき種族が決まっています。あなたがたは異世界人ですよね?」



「分かるんですか?」



「はい。異世界から転移してこちらの世界に来る方がまれに居ます。それに、お2人の服装がこの世界の服とは全く違っていたので、恐らく異世界人だと思ったのです。」



「・・・・・・そうゆう事だったんですか」



「それではこちらに手をかざしてください。」


俺は言われるがままに手をかざした。


タブレットのような物から文字が浮かび上がってきた。そこには『獣人族(猫)』その隣には『氷』と描いてあった。




「異世界の人は戦闘時、その種族の姿となって戦うことになります。戦闘時以外でもその種族の姿になりたい場合は、種族選択と言う項目がありますので、そちらで人間の姿や獣人の姿に変更できますよ。」



そして、ミルクも手をかざした。同じように文字が浮かび上がる。

彼女の方はやはり『魔族』その隣には『全属性(光、闇、氷、地、雷、風、火、水)』と描いてあった。


「凄いですね!8属性全てを持ってる方は初めて見ました!」

トワさんが興奮している。

どうやら属性は、光、闇、氷、地、雷、風、火、水、の8つのようだ。ものすごくありきたりでゲーム的だ。




そして、会員証を作る。


名前 : ココア

属性 : 氷

職業 : 騎士

所属ギルド : ミルクココア(ギルドマスター)

種族 : 獣人族(猫)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


同じようにミルクも作る。


名前 : ミルク

属性 : 全属性

職業 : 魔法使い

所属ギルド : ミルクココア

種族 :魔族



会員証を作ると、そのスマホみたいな物をくれた。

そこには自分のステータスが簡単に書いてある。



ココア、ステータスLv1

氷の騎士

スキル・凍結・氷柱・雪崩・詳細

唯一無二のスキル・冷たい斬撃(コールドスラッシュ)・詳細

その他スキル・氷の芸術(アート)・詳細

特性・※物理攻撃無効化・詳細

スライム耐性・無し・詳細

毒耐性・無し・詳細


どうやら詳細を押せば説明が出てくるようだ。

トワさんに聞いた。


「あの、ステータスレベルが上がるとどうなるんですか?」



「全てのスキルの威力や効果が強くなったり効果時間が長くなったりします」



「それと、スライム耐性『無し』なんですけど・・・」



「えっ?それはかなりピンチです!」



トワさんは俺が喋り終わる前に驚いた表情をして言った。



「にゃもっ!? どうゆう事ですか?」



「戦闘時、あくまでも生身の状態で戦う事になります。その時に受けた攻撃などを緩和するためのスキルを誰でも持っていまして・・・・・・」



「俺の場合、物理攻撃無効化とかですか?」



「はい。けれど、スライムは特殊でして、スライム耐性が無いと言う事は、攻撃が通用しない、逆に攻撃を受けると致命傷か即死になります」



俺はミルクのステータスを確認した。


ミルク、ステータスLv1

魔法使い

スキル・ヒール・魔法攻撃・ステータス強化・詳細

唯一無二のスキル・全属性攻撃(フルアタック)・詳細

その他スキル・極小魔法・詳細

特性・※魔法攻撃無効化・詳細

スライム耐性・有り・詳細

毒耐性・無し・詳細


俺は質問した。


「トワさん、スライム耐性有りってどうなんですか?」


「スライム耐性があれば、大抵のスライムは倒せますので大丈夫ですよ」



「良かった〜」




こうして、異世界での初日が終わった。

今日はとりあえずギルド協会に泊めてもらうことにした。

魔王の討伐か和平を結ぶ為、明日からはメンバー集めと家探しが待っている。

異世界ものを書くのは初めてです。

こんな駄作ですがよろしくお願いします!



また、少しでも気になった方、感想や、評価、ブックマークなどよろしくお願い致します。

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