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第1章 第12話 依頼、『スライム討伐!』

明らかに日本とは違う、騒がしい朝がやってきた。

日本にいた時、いつも昼まで寝ていたので、今は健康的な週間が身に付いてきている。

その要因としては、俺を朝、起こしてくれる。



「モカ、起きて」



「ココアさん!起きてください!」



ほら来た。いつものように起こしてくれる。



「さっさと起きろ。ご主人様!」



なんだか、敬語なのかタメ口なのかよく分からない言葉が聞こえた。



「俺の猫パンチをお見舞いしてやろう」


なんだかかっこいい男の人の声だった。


「って!誰だ!」



俺は思わず飛び起きた。

そこにはカナとミルク、そして、白猫がいた。



「ん?猫?」



「やっと起きたか。早くしてください」



「しゃ、喋った!」



「そりゃそうよ、だって猫じゃん」


カナは素の表情で言った。

俺からしたら考えられない。

すると、白猫が話しかけてきた。



「俺の名前を決めろ!早めにお願いします」



タメ口の後にはちゃんと敬語。

ツンデレのような猫だった。



「まぁ、モカ、名前を決めるのはご飯の時で良いじゃん。早く来て」



「今日もカナさんのご飯、美味しそうですよ!」



言われるがままに白猫を抱いて食卓に向かった。

すると、そこにはアイリスさんとアゲツネさん。



「ギルドマスターさん、おはようございます」



「ギルマスおはー」



「えっ?何で急にギルドマスターって呼ぶの?」



「そっちの方がかっこよくないですか?それに、昨日までとは違って、今日から正式にこのギルドのメンバーになりましたからね!」



「あ、でもあたしは盗賊だから、あくまでも仮入隊って感じでよろしく!」



2人はどういう感覚でこのギルドに来たのだろうか?

すると、抱いていた猫が言った。



「さっさと名前を決めてくれ!今すぐお願い!」



白猫に早く名前を決めろと急かされる。

とっさに出てきた名前は、



「・・・じゃあ、俺が氷の騎士で君は白猫だから、氷っぽい名前で、『ヒョウガ』ってどう?」



「良いですね!ヒョウガ!」



「長い、覚えらんない」



「私、アイリスと文字数一緒ですね!」



「呼べれば何でも良いんじゃないの?どーせあたしは仮だし」



「って事で名前は『ヒョウガ』だ!」



「ありがとな!名前をくださって」



キャラをどっちで行くか統一して欲しいと思った。

そして、俺はヒョウガに聞いた。



「ヒョウガ、お前、スライムを感知できるのか?」



「当然よ!余裕です」



「スライムを倒せたりとかは?」



「それも余裕!任せてください」



ヒョウガとの会話は少し違和感があるが、俺よりはスライムに対して役に立つ存在.....のはず。



「今日の依頼はスライムの討伐ですけど、ココアさん、大丈夫ですか?」



「お姉さんが護ってあげるから大丈夫でしょ?」



「それにこの俺がいる!頼ってくださいね」



今日の依頼は、スライムがうじゃうじゃ発生していて、その場所が街の近くなので、駆除するように、という依頼を引き受けていたのだった。


「死にそうな雰囲気が...」



「大丈夫だご主人!俺がついています!」



「そーですよ、ギルドマスターさん。いざとなれば、この聖剣で辺りを切っちゃいますから!」



「・・・アイリスさん、可愛い顔でサラッと怖い事いうの辞めてもらえますか・・・」



とりあえず俺たちは目的地に向かった。

それを見て絶句した。


「っな!感知しなくても分かるじゃねーか!」



見える範囲に10匹のスライムが居た。



「ライブ開始!」


アイリスさんの合図で一斉に皆が飛び出していった。

スライムを簡単に倒している。

すると、ヒョウガに言われた。


「お前はあんな弱いのを倒せないのか!まぁ、任せてください。右!」



カサカサッと音と共に、1匹のスライムが飛び出してきた。



「ヤバっ!」


俺はとっさに高く跳んだ。



「噛みつきー!ガブッ!」



「プシュー」



何とヒョウガがスライムに噛み付いただけでスライムを倒してしまった。



「えっ、何?スライムって噛み付いたら倒せる程度の敵なの?」



「この程度、余裕だな!さぁ、じゃんじゃん行きましょう!」


そう言ってヒョウガは辺りのスライムに噛み付いた。


「ガブッガブッ!猫パンチ!ガブッガブッ」




「「「「プシューーー!!!」」」」




簡単にスライムを倒していく。



「ーーー猫でも倒せるのに、俺には倒せないって、自信無くすなー.....」



他の4人の様子を見てみると、さすがに自分が恥ずかしくなった。



「ーーにゃも!?武器を使わずに倒してる・・・」



アイリスさん以外は、普通に蹴ったり叩いたりして倒している。

アイリスさんの倒し方?というと、



「握手会をしまーす!スライムさん!並んでください!」



アイリスさんがスライムの手を握ると、スライムは一瞬、照れたかのように赤くなり、「プシュー」と消えていく。




「ーーどういう状況??」



よく見ると、アイリスさんの手が若干光っている。

恐らく浄化であろう。

その何とも言えない光景に見とれていると、ヒョウガが叫んだ。


「後ろだ!主様!」



ハット振り返ると、1匹のスライムが俺目掛けて跳んできた。



「にゃも!?」



俺は後ろに跳んだ。

そして、ヒョウガがスライムに向かって、



超猫(スーパーねこ)アッパー!!」



ボスッ!


ヒョウガの渾身の一撃が決まった。スライムは空高く舞い上がり、


「プシュー!」



消えた。



「ヒョウガ、お前、すごいな!」



「余裕だろ!ほ、褒められても、にゃふ〜っ」



「嬉しそうだな....」



「んなわけあるか!にゃふふっ」



ヒョウガはやっぱりツンデレだ。

それよりも、このギルド、可愛いくて、めっちゃ強い人が集まってしまった。

あらためて、仲間に恵まれたと思う。

アゲツネさんは(仮)ではあるが。



そうこうしていると、見える範囲にスライムは居なくなっていた。



「ギルドマスターさん!これで依頼は達成ですね!」



アイリスさんがこちらに駆け寄って来た。

すると、地面が妙に揺れ始めた。


ゴゴゴゴゴゴ



「ーーなんだ!」



「下からスライムの反応あり!主様、離れてください!」



ヒョウガの言う通りその場から離れた。

すると、地面からかなりでかいスライムが現れた。



「ーー不味いね...巨大スライム.....」


珍しくカナが後ずさった。

そして、俺の方に走ってきた。


「ピュッ!」


巨大スライムが俺に向かって何かを吐いた。


バシューーーッ



謎の液体からカナが護ってくれた。



「危なかったね、このスライムの毒は毒耐性が無かったら骨ごと消える。間一髪」



「ーーーマジか.....。カナ、大丈夫か!服が!」



服の背中辺りが溶けていた。

それだけじゃない、地面に散った液体が地面を溶かしている。



「大丈夫。お姉さんは死なないから。でも、さすがにあれをモカがくらったら、骨も残らないから蘇生が出来ない」



他の3人もこっちに来た。



「どうしましょう。私、毒耐性を持っていません」



「わわわわ、私も持ってないです!」



「あたしも無いな〜」




カナ以外は、さすがに毒耐性は持っていないようだ。



「お姉さんができる限りやってみる。」



そう言って1人向かって行った。



「援護します!癒しの(ヒーリング)ステージ!」



「縛ってあげる!百年の孤独!」



アイリスさんがカナを癒している。そして、アゲツネさんは敵の動きを綺麗に止めた。



「ありがとうございます」


カナは巨大スライムに一直線。


「抱いてあげる。5秒の夢は2秒で終わる。水の斬撃(ウォータースラッシュ)



カナの卵カッターが炸裂した。

巨大スライムはもうほとんど動けない状態だ。



「絶対防御」



「おい!その構え!まさか!」



「ミク。お願い!」



「ひゃうん!またですか!?全属性攻撃(フルアタック)!!」



ドガーーーーン!!


巨大スライムは吹き飛び消えた。そして、当然、カナも吹っ飛んでいった。



「かかか、カナさん....」




ミルクは腰が抜けている。

ヒョウガが言った。



「あの娘、生きているぞ!大丈夫です!」



ヒョウガが走った。

俺はミルクを背負い、ヒョウガに着いて行った。

100mくらい進んだ所に、人影があった。



「カナさん!」



カナは無事、立っていた。

俺たちはカナの元へ駆け寄った。



「いやー、思ったより吹っ飛ばされたわ。お姉さん、もっと鍛えるね」



「カナさーん!グズッ」



「泣かない泣かない」


カナはミルクの頭を撫でる。

そして、俺を見て言った。



「魔王幹部には、スライム使いもいる。さすがに危険かもしれない。それでも行くの?」



「もちろん!何がなんでも和平を結ぶ!それだけだ!」



とは言ったものの、スライムが来たら俺には倒せない。ただただ足を引っ張るだけになる。

一体、どうしたら良いのか分からない。

だが、俺には物理攻撃無効化という特性がある。それを上手く使うだけだ。

それに、



「頼りにしてるよ!ヒョウガ!」



「任せろや!にゃっほ〜い!」



テンションの高い猫だ。

だが、頼りになる相棒だ。



俺たちは帰る為、街を歩いていた。

すると・・・・・・



「「「「キャーーー!!!」」」」


「「「アイリス様〜〜〜!!!」」」




討伐を終えて帰るだけだというのに、騒がしい。

だが、こんな声も聞こえてきた。



「何であんな子どものギルドに入ったのでしょうね〜」


「そーよねー。それに、見て、あの女の子、服が溶けてるじゃない!」


「あんな危ないギルド、大丈夫なのかしら」



どうやら俺は嫌われているのかもしれない。

すると、底へ火に油を注ぐかのように、ガウンとゲインが来てしまった。



「兄貴〜!ぐへへっ」


「帰りですか〜!お供します!」



「お前らか....」


俺の嫌な予感は的中。また変に思われている様な声がした。



「見て、あのはしたない男2人組!」


「まぁ!男3人で一体何をする気なの!」


「本当だ!俺たちのアイリスちゃんに何をするつもりだ!」


「けしからん!あのガキども!」



(あー、違うんですよ〜。こいつらは勝手にー。)



俺は下を向いて歩いていた。

それを見かねたのか、アイリスさんが言った。



「皆さん!私はもう、海心(かいしん)のメンバーではありません!ですので、このギルドのメンバーは私の家族です!悪く言う人は許しません!」



周りの人々が静かになった。

そして、カナが耳元でボソッと囁いた。


「アイリスさん、モカと似たような事言ってるね」



「確かにな。まぁ、ギルドメンバーは家族だろ」



「面白い人達だね。このギルドのメンバーは」



「お前もな。それより服、何か買わなきゃな」



「私が選んで差し上げますよ!」



カナはアイリスさんに半ば強引に近くの服屋に連れて行かれた。

少しすると店から出てきた。



「ジャーーン!どうですか!」



鮮やかな水色の服に着替えていた。


「何見てんの?あんま見んな!」



「ーーここにもツンデレが居たな...」



「おー!カナ、似合ってるじゃねーか!」


「見違えたなー」



「って!お前らまだ居たのか!」



正直、ガウンとゲインの事はほぼ忘れていた。

しつこく着いてくるガウンとゲインを何とか引き離し、家に着いた。



「カナー」



「何?」



「今日の晩御飯何?」



「スタミナを付けるためにカレーにする」



「うふふっギルドマスターさんとカナさんは新婚さんみたいですね」




「「ちょっと待て!!」」



「ココアさんカナさんずるいです!」



「ミルクは話をややこしくしないでくれ!」




今日は死ぬ事は無かったが、ハチャメチャな1日であった。

今回も読んでいただきありがとうございます。



また、感想や評価、ブックマーク登録など、私の力になりますので、もしよろしければそちらもよろしく願い致します。

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